電話料金節約のために、家の電話を俗にいう「ひかり電話」にしている方も多いと思います。
(東京なら)03で始まる電話番号をもらえるのに、基本料金が500円程度(+インターネットの接続料金)で済むのでおトクですよね。
一方、光インターネット接続にも激しい競争があります。
魅力的な料金を見て、他社への乗り換えを考えている方もいらっしゃると思います。
我が家も自宅の光回線を他社に替えようと検討しました。
しかし、光回線を他社に替えると、電話番号が必ず変わってしまうということが判明し、諦めました。
ポイントになるのは「電話加入権」です。
加入権不要が売り物の「ひかり電話」で、なぜ?
MNPならぬLNPとは?
携帯電話では当たり前になった「ナンバーポータビリティ」。
Mobile Number Portabilityの略「MNP」のほうが、言葉としては有名かもしれませんね。
要するに、電話会社を乗り換えても電話番号は変わりませんよという制度です。
MNPばかりが有名になっていますが、固定電話にも同様の制度があります。
こちらはLocal Number Portabilityの略で「LNP」というらしいのですが、私たちは最近まで聞いたことがありませんでした。
というわけで本記事の話題はLNP。
固定電話の会社を乗り換えようと思ったら、ナンバーポータビリティができないので諦めた、という件です。
我が家の電話番号歴
我が家は一戸建て時代、KDDIの「auひかり」と、それに付随する「auひかり 電話サービス」を利用していました。
一戸建てに引っ越す前、固定電話はKDDIの「メタルプラス」を利用していました。
加入権不要の固定電話というやつです。
同じ市内での転居だったので、KDDIに「電話番号を変えずに、auひかり電話に移行できますかね?」と聞いてみたところ、OKとのこと。
これがLNPなんだなと納得し(実は違うのですが;後述)、手続きを終えました。
LNPできない電話番号がある!?
そして数年経ちました。
「auひかり」の料金は高止まりしています。
数年前に「ずっとギガ得プラン」という3年縛りの割引サービスを始めたものの、焼け石に水です。
一方で後発のサービスが続々登場しており、最近ではNURO 光(ニューロ)が好印象です。
月額料金は「auひかり」より安いし、無料でウイルスチェックのサービスもついてきます。
加入時のキャッシュバックも、一時金ではありますが魅力的です。
家計も決して楽ではないので、固定費はできるだけ削減したいところ。
面倒な工事立会を我慢して「NURO光」に乗り換えるか――
そう決断しかけたとき、ある事実にぶつかり、目を疑いました。
我が家はナンバーポータビリティ(LNP)できないのです。
つまり、「NURO光」に乗り換えると、固定電話の番号が変わってしまうのです。
運命を分けるのは「電話加入権」
今の家に引っ越すときには番号そのままでよかったのに、なぜ、今回はダメなのか?
意外にも、ポイントになるのは「NTTの電話加入権の有無」でした。
「加入権不要」でもらった電話番号はNG
まず今回がダメな理由から説明します。
すでに答えを書いてしまったのですが、NTTの電話加入権に基づいて発行された電話番号でなければ、そもそもLNPできないのです。
以前住んでいたアパートに入居する際、オットーもツマーもNTTの電話加入権は持っていませんでした。
一方ツマーは以前から「メタルプラス」を契約しており、アパートへの転居手続きをしたところ、現在使っている電話番号が発行されました。
上のページで「NTTが発行した番号」となっていても油断はできません。
NTTの加入電話にも、電話加入権が不要の(その代わり月額料金が高い)「ライトプラン」というのがあるからです。
このライトプランだと、他社電話に一度はLNPできるものの、LNPし終わった段階でNTTと完全に縁が切れてしまうので、再度のLNPはできないとのことです。
……とここで一時はNURO光のサポートページへのリンクを貼っていたのですが、現在このページは存在しません。
さらに、以下のような新情報を目にしたので貼っておきます。2019年以降、光電話どうしのLNPが可能になったというのです。またライトプランに関しても制限が特に記されていないことから、2019年に何らかの改善がなされた可能性があります。
不可解な制限の理由は?
なぜ、こんなことになっているのでしょうか?
理解に苦しみますが、調べているとヒントらしきものを見つけました。
LNPは、電話番号を一旦NTTに戻す?
たとえばA社の光電話からB社の光電話に乗り換える場合、LNPを利用しようとすると、まず使っている電話番号をA社から一旦NTTの固定電話に戻し、B社の光電話を開通させ、その後あらためて電話番号をB社に付け替えるのだそうです。
つまり「NTTの固定電話以外」から「NTTの固定電話以外」へは直接LNPすることができないようです。
また「NTTの固定電話以外」から「NTTの固定電話」へのLNPは、「一旦休止していた電話加入権を、前と同じ番号で復活させる」という形式でなければならない、と想像されます。
同一社内なら同番移行できる場合もある
それでは、我が家で「メタルプラス」から「auひかり電話サービス」に乗り換えた時には、なぜ番号が変わらなかったのでしょうか?
これはどうも「同じ会社だからKDDIが何とかしてくれた」ということのようで、厳密にいえばLNPではなかったようです。
上記ページでは、ソフトバンクの「おとくライン」(メタルプラスと同種のサービス)で発行した電話番号は継続できないのに、ホームプラス電話(メタルプラスの後継サービス、ただしメタル線の代わりにLTE網を使う)ならOKとなっています。
対策:あえて電話加入権を持つ
以上をふまえると、「加入権不要」を売り物にする各社の光電話に新規加入する際、あえてNTTの電話加入権を入手するという選択肢があります。
つまり、一旦はNTTの加入電話を開通させてNTT発行の電話番号を取得し、その後すぐ、LNPで各社の光電話に移るのです。
これで、以後は何度乗り換えても電話番号は変わらないというわけです。
NTTの電話加入権というと「定価」72000円もするものです。
しかし今や価値は暴落しています。
買い方もお手軽で、たとえば楽天市場で検索すると1万円台で買えてしまいます。
1万円で将来の「LNP権」を買えるなら検討に値しますね。
私たちは今後どうするか?
私たちの場合、今回だけ電話番号が変わるのを我慢すれば、策はあります。
電話加入権を入手の上、「加入権に基づいた電話番号」を新規に取得して、この番号で「NURO光」に乗り換えるのです。
しかし、家に(メタルの)電話線が引き込まれていない、というところが難点です。
というわけで、指をくわえて「NURO光」を見送った私たちです。
全回線LNP対応を求む!
以下、愚痴という名のオピニオンです。
LNPの主な導入理由は、「電話番号による囲い込み」を防ぎ、事業者間の競争を促進することだったはずです。
この制度の導入当初は、固定電話においてNTT東西が圧倒的な強さを誇っていたので、「新規参入から新規参入への移転」は考慮されなかったのかもしれません。
しかし従来の固定電話が徐々に「IP化」し、NTT東西の加入電話が相対的に弱体化している現在、LNPの範囲を広げるべきではないでしょうか。
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