ついに開始!タクシー事前確定運賃、4社の実価格を徹底比較

8月7日から、東京23区+武蔵野三鷹のタクシーで「事前確定運賃」の実証実験が始まりました。
実験の内容について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

2017年8月7日から2ヶ月間、東京23区のタクシーでちょっと変わった実験が始まります。タクシーを呼んだ時点で運賃が確定するというものです。...

実験に参加する4社のアプリが出揃いましたので、物好きにも4社ともインストールして比較してみました。

8月8日時点では、会社によって意外に料金差があることが分かりました。また、使い勝手も各社で微妙に異なります。

総じて、日本交通がかなり強気の価格設定をしており、相当の渋滞がない限りは通常のメーター運賃のほうが割安になりそうです。
一方、おおむね9000円以上の長距離では国際自動車の価格設定が安く、特に一般道経由の場合に割安になりそうです。

なお、運賃は今後、実績を見ながら微調整される可能性があります。事実、初日の8月7日と2日目の8月8日では、同じ区間を同じ時刻に利用しても、提示される運賃が数百円単位で違っている(8月8日のほうが高くなっている)ことを確認しています。
実際に利用される際はご自分でお確かめください。

4社のサービス内容を比較してみよう

まずは実験に参加している4社のサービスを簡単に比較してみましょう。

日本交通国際自動車第一交通産業大和自動車交通
実験参加台数417032011840
即時配車×
予約配車×××
障割対応乗車時予約時不明乗車時

別記事でも紹介しましたが、実験エリアの全域で実用になりそうなのは日本交通だけです。その他3社はインフラ整備が追い付かなかったせいか、東京南東部の営業所が細々と参加している状況です。

4社のアプリを並べてみると…

ということで、ここからは4社のアプリを比較してみます。

「大本命」日本交通は「全国タクシー」アプリで対応

まずは大本命の日本交通から。「全国タクシー」という既存アプリで普通にタクシーを呼べば、条件に合致する場合に事前確定運賃を選択できます。すでにアプリを使ったことのある人なら違和感なく入っていけます。

有料道路の使用有無を選ぶこともできるのですが、方法が若干トリッキーです。
タクシー注文画面には「有料道路」のオプションがありません。元々備わっていた「料金検索」という画面で「有料道路」にチェックを入れてスタートとゴールを入力、その後「今すぐ呼ぶ」画面に移行すると、有料道路利用を指定して事前確定運賃を利用することができます。

また、選ばれた経路の総距離は「今すぐ呼ぶ」画面では表示されませんが、これも「料金検索」画面へ行けば表示されます。

なお、予約時には事前確定運賃は利用できません。

国際自動車、アプリ完成度はイマイチ

次に国際自動車。間違いなく大手のタクシー会社ですが、これまで意外にも配車アプリはありませんでした。2017年内には本格的にアプリを導入するようですが、今のところはこの実証実験に特化したアプリしかありません。

実験用のアプリということで、機能はあっさりとしています。キーワードから場所を検索したり、よく利用する場所を登録したりする機能はありません。何度も使っているとイライラします。

また、指定する「乗車場所」と「スマートフォンの認識している現在地」が一定以上離れていると、運賃を計算できない仕様です。
間違い防止(イタズラ防止?)のためだとは思いますが、ビル内にいると正確な現在地を把握できないこともよくあり、これもイライラの種になります。

東京以外では有名? 第一交通産業

次に第一交通産業。東京ではあまりメジャーでない会社ですが、北部九州を中心に全国展開しており、タクシー配車アプリ「モタク」というのをすでにリリースしていました。
今回、この「モタク」をベースにした実証実験専用のアプリを配信しています。

ベースとなるアプリがあるだけに、場所の検索やお気に入りの場所の登録など、アプリの完成度はなかなかのものだと思います。

ただ、付近に呼べそうな車がいないと、そもそも事前確定運賃を表示してくれません。実用上はそれで問題ないのですが、自宅付近に同社の実験参加車がいないため、今回の「実験」は出先でしかできず、苦労しました。

大和自動車、「予約のみ」のハンデが大きすぎる?

最後に大和自動車ですが、個人的には詳細に比較する気が失せてしまいました。

というのは、4社の中で大和自動車のみ、予約配車時に限り事前確定運賃を利用でき、即時配車には対応していないからです。

プレスリリースを読んでいるときには「まあ、タクシーを予約することも時々あるから、利用することもあるかも」と思ったのですが、これは「全国タクシー」に慣れきってしまったから。通常なら、タクシーを時間指定で予約すると、迎車料金とは別に予約料金が発生するのです。

大和自動車の場合、実証実験アプリでタクシーを予約すると、原則どおり「迎車料金410円」と「予約料金410円」の双方がかかります
迎車料金410円は自宅から乗車する場合には仕方ない出費ですが、さらに410円の予約料金を払いますか? 私たちの感覚では、よほどの事情がない限りは払いません。

アプリ自体は「東京無線」のアプリをベースにしたもので、使い勝手はまずまずです。ただ、実証実験の規約を毎回読まされるのには若干辟易しました。また、現在位置の取得に失敗するとアプリが起動しないというのも東京無線アプリと同様です。

4社の事前確定運賃を相見積もり!(近距離編)

アプリの比較は以上ですが、問題は運賃です。同じ2地点間を移動するのに、4社の事前確定運賃はどのくらい違うのでしょうか?

まずは「新宿→上野」で比較してみます。約9kmの道のりで、実証実験の対象となる乗車の中ではかなりの短距離に分類されます。
道路状況が違うと運賃も変わってくる可能性があるため、4社ほぼ同時に比較しましたが、大和自動車だけは予約が必須なので、「翌日の今」に予約した際の運賃を比較します。

まずは結果をご覧ください。
距離について、大和自動車のアプリでは表示されないので、Googleマップで手動算出しました。また所要時間について、国際自動車、大和自動車では表示されないため空欄としてあります。

日交国際第一大和
距離(km)8.99.08.99.7
時間(分)2930
運賃(円)4160425040004690

大和自動車の「主要道優先」が目立つ

4社中3社はほぼ同じ距離なのですが、大和自動車だけが1km近く遠回りのルートを提示してきています。

この区間に限らず、大和自動車のアプリは意地でも主要道を走るといった経路を提示してきます。その結果、他社より距離が長くなる(=割高になる)傾向にあります。

元々予約料金が必須というビハインドを抱えていることもあり、積極的に大和自動車を選ぶ場面は少ないというのが私たちの見立てです。

近距離だと差は小さい

その他3社については、ルート、運賃ともにほぼ横並びという印象です。近距離で第一交通が若干安めになることが多いかな?とは思いますが、数百円の差なら、選んだ経路が少し違うだけですぐ逆転しそうです。

通常の2割増しは「やや流れの悪い状態」

4社の中では平均的な運賃4160円を提示してきた日本交通。この運賃、安いと思いますか?

4160円のうち410円は迎車料金と考えられるので、実質的な運賃は3750円です。
一方、提示された経路は総距離8.9kmとのことで、これに対する通常のメーター運賃(渋滞や信号待ちが全くない場合、以後「理論値」と書きます)は3130円となります。
3750÷3130=1.20で、提示された事前確定運賃は理論値の2割増しということになります。

私たちの経験上、通常のメーター運賃が理論値の2割増しになるのは、道路が少し混んでいるなと感じるときです。渋滞がひどければ3割増しになることもある一方、流れがよければ昼間でも1割増し程度で済むことがあります。

ということで、道路状況が「やや流れの悪いとき」にこの値段なら妥当ですが、渋滞もなくスムーズに流れているとすれば、4160円という運賃は割高です。逆に大渋滞ということが分かっていれば割安になります。

4社の事前確定運賃を相見積もり!(中距離編)

2例目として「新宿→三鷹」で比較してみます。距離としては大体15km、普通に乗れば6000円程度のところです。

日交国際第一大和
距離(km)15.115.115.016.4
時間(分)3938
運賃(円)6660634064807270

やはり大和自動車は主要道優先で、距離が長めに出ていますね。ほかの3社は全く同一のルートになりました(100m差は誤差でしょう)。

「新宿→上野」で一番高かった国際自動車が、今回は逆に最安となっています。この先見ていくと分かりますが、国際自動車は距離が延びれば延びるほど安めの事前運賃を提示してきます。

事実上の業界標準ともいえる日本交通の運賃は6660円。先ほどと同じく、迎車料金を除けば理論値の2割増しという設定です。

4社の事前確定運賃を相見積もり!(セミ長距離編)

3例目として、もうちょっと足を延ばし「新宿→新百合ヶ丘」で比較してみます。おおよそ25km前後の道のりとなります。

日交国際第一大和
距離(km)24.525.124.525.4
時間(分)6261
運賃(円)1069092301014010490

このあたりから国際自動車の安さが際立ってきます。その一方、予約料金込みかつ遠回りの大和自動車よりも高い運賃を提示しているのが日本交通です。理論値の23%増しになるのですが、この強気はどこからくるのでしょうか。

国際自動車の安さは相当なものです。提示された9230円という運賃は、迎車料金を除くと8820円。一方、25.1kmに対する理論値は8570円で、わずか2.9%増し。深夜早朝でもなければ一般道経由でこの値はまず出ません。迎車の必要がなくても迎車したいくらいです。

4社の事前確定運賃を相見積もり!(長距離・一般道編)

4例目は「新宿→横浜」です。30kmをやや超える道のりで、普通は何らかの有料道路を利用するところでしょうが、あえて一般道経由で比較してみました。

日交国際第一大和
距離(km)32.632.632.530.8
時間(分)7878
運賃(円)13760118201309012710

何ということでしょう! これまで遠回りを連発してきた大和自動車が、逆に1社だけ最短距離を提示しています。他社と2km近い差が出ており、4社中2番目の安さを実現しています。

しかし、それより遠回りなのに安値をつけているのが国際自動車。32.6kmに対し運賃11820円は理論値の4.6%増し。3例目に続き、相当割安といえます。

その一方、日本交通は最高値の13760円を提示しています。理論値の22%増しと、いつもの「2割増しルール」を忠実になぞっているようです。

4社の事前確定運賃を相見積もり!(長距離・高速編)

最後に5例目、「新宿→茅ヶ崎」を見てみます。60km強なので、さすがに一般道経由はあり得ないと思い、有料道路経由を選択しました。その結果がこちらです。

日交国際第一大和
距離(km)60.760.860.760.7
時間(分)6073
運賃(円)26720207402339023060

距離は4社とも見事に一致したのですが、運賃のばらつきはどうでしょう。国際自動車は20740円、日本交通は26720円。同じ実験に参加しているとは思えません。

有料道路経由は明らかに割高だ!

どちらが妥当な価格かと言われれば、間違いなく国際自動車です。

ただ、迎車料金込み20740円というのは理論値(19480円)の4.4%増しで、60km強のうち55km強が有料道路(渋滞してもメーターが上がらない)であることを考えると、これでも若干割高では?と思います。

考えてもみてください。一般道は5kmしか走行しないのですよ。一般道区間が大渋滞で理論値の3割増しになったとしても、5km分の運賃(約2000円)が3割増しになるだけ、つまり600円増しです。
ですから、一般道部分が大渋滞しても、メーター運賃は19480+600=20080円。これに迎車料金410円を加えても20490円なので、20740円という提示価格は「相当ひどい渋滞時の価格」となります。

以上の論評は、ぶっちぎりの最安値をたたき出した国際自動車に対するものです。ということは、残る3社に対する評価は言わずもがなです。特に日本交通、26720円ですと? お話になりません。実証実験の主旨から外れているといってもよく、システム不具合だと信じたいレベルです。

まとめ:これ、本当に安心して乗れるの?

以上、始まったばかりの「タクシー事前確定運賃」について、4社のアプリで具体的な運賃を調べてみました。

おおむね1万円以下の領域では、各社ともそれなりの精度で運賃を算出しているように思います。若干の割高感は否めませんが、大渋滞したときの保険料と思えば許容できます。

一方、1万円を超える場合には会社ごとのばらつきが大きく、一般道経由では相当割安な運賃が提示されることもある一方で、有料道路経由では4社中3社が、メーター運賃より相当割高な運賃を提示してきました。

実験が始まったばかりでタクシー会社も試行錯誤している面はあるのでしょうが、今回の試用結果を見る限り、言葉は悪いですが「アプリが高い運賃を吹っかけてくる」という事例もあるように思います。

元々「タクシーに不慣れな人でも、事前に運賃が分かるので安心して乗れる」というのが実験の目的のはずですが、これでは安心して利用できません。実験が進むにつれ改善されることを望みます。

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