地方タクシー探訪 (2) 宮城県塩竃市 まさかの地方都市クオリティ

タクシー
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東京23区のタクシーを常用している「自称・タクシー評論家」の私たちが、旅先で体験したタクシー事情を語る記事、第2弾は仙台市の近郊、宮城県塩竃市です。

地元の方からすれば「そんなの当たり前じゃん」ということばかりなのでしょうが、東京在住の方には、多少は参考になるのではないかと思います。

仙台市も合わせると、この日は5回もタクシーに乗りました。乗るたびに何か事件が起きるので、今回の旅行の目的は「タクシーを体験すること」なのではないかと思えてきました。

1乗車目:本塩釜駅→寿司屋(塩竃)

8月下旬の週末、家族で塩竃へ行きました。目的は寿司です。

目指す寿司屋は、本塩釜駅から徒歩10分ほどの距離でしたが、この日の塩竃は特に暑く、ツマーは東京からの大移動ですでに疲労し渋い顔。

駅前にはタクシーが4台待っていたので、迷わずタクシー利用を決めました。

短距離乗車はやはり嫌われる?

こんな近距離で大丈夫かな?と思いつつ、涼しい車内に乗り込みます。

「近くで申し訳ないんですが、○○寿司まで…」

注目の運転手さんの反応は――苦笑とも失笑ともつかぬもの。
とりあえず笑われました。この程度で済んだからよしとしましょうか。

まあ実際、笑っちゃうほど近いんですけどね。
駅からはほぼ一本道で、ロータリーを出た途端に目的地が見えるといった具合。

23区なら410円で済むところ、塩竃市の料金は1.5kmまで670円だったか。
領収書は当然のように出てきません。

家族3名、全員が「ありがとうございました」と言いながら下車したのですが、運転手さんからの返答はなし。

やはり短距離はご不満ですか。

2乗車目:寿司屋(塩竃)→仙台うみの杜水族館

ネタの分厚い寿司を食べ終え、タクシーを呼んでもらいました。
ものの5分で到着です。

レトロ車両と偽かりゆしウェア

ちょっと古めの車両かな、と思って乗り込むと――ちょっとどころじゃないよ!

当然のようにMT車で、無骨なシフトレバーが屹立しているのですが、根元のビニールカバーが外れかかっており、これを20~30本はあろうかという輪ゴムで縛って固定しています
今は昭和何年ですか。

運転手のいでたちもなかなかのもの。
これが沖縄だったら、ああ、観光客向けに「かりゆしウェア」を着用してるんだな!と感心するところですが、塩竃で「かりゆし」的な緩いシャツを着た運転手さんに遭遇するとは。

カーナビなどありませんが、行き先は有名な水族館なので、運転手さんは迷うことなく車を進めます。

Googleマップをチェックしていましたが、きちんと最短経路を走っており、何の心配もなく水族館近辺まで来ました。

まさかの「プチぼったくり」

ところどころに「津波云々」という標識があったので、ムスコーへの教育的効果も狙って、オットーは珍しく「震災のとき、この辺はどうでしたか」などと運転手さんに話しかけてみました。

ここから何かが狂い始めます。いや、最初から狂っていたのかもしれませんが。

とある交差点で水族館の建物が左手に見えたのですが、タクシーは左折せずに直進。
これは、水族館が右折入場を禁止しているためで、道路標識も「水族館は直進」となっているので理解できます。

次の交差点で左折すると、そこは3車線で、左から「三陸道 水族館 水族館」という標識が出ています。
しかし津波の話に夢中の運転手さん、一番左の「三陸道」レーンを直進
タクシーだとこっちからも行けるの?と思いながら見守っていると、当たり前ですが車は円形のランプウェイへと突っ込んでいきます。

おっと違った」と言いながら、強引に元の道に戻りました。

そしてここからがアンビリーバブル。
次の交差点で左折し、水族館への最終着陸態勢に入ったので、オットーはタブレット端末をカバンにしまって財布を取り出したのですが、その数十秒後、タクシーは右折。

――ん? そっちは海では??

位置関係に違和感を覚えつつも黙って乗っていると、水族館にはなかなか着きません。

左折を何度か繰り返し、思ったのとは違うところに水族館の建物が見えてきました。

タクシープールがあるのですが、「ここでいい?」と降ろされたのは本線上。
まあ、目くじらを立てるほどの交通量ではありませんでしたが。

余裕で3000円を切ると思われた料金は、「右折入場禁止」の影響もあり、いつの間にか3000円を超えていました

釈然としないままタクシーを降り、あとでGoogleマップのタイムラインを確認してみると、やはり不要な大回りをしていたことが発覚

概算ですが、700~800mは余計に走ったようです。
差額は3メーター程度、金額にして250~300円と思われます。

3000円前後の乗車で250円ですから目くじらを立てるほどでもなく、誤差の範囲ということもできます。

しかし、平成も終わろうとしている日本に、わざと遠回りをするタクシー運転手がまだいたのか!ということに衝撃を受けました。

前述のとおりボロ車でしたが、そこはやはり平成30年、ドライブレコーダーは搭載されていました
記録映像を再生すれば、何をやったかはバレバレです。

私がタクシー会社に文句をいえば、運転手さんは相当な苦境に立たされると思うのですが、そういうことまで頭が回らないのでしょうか。

観光客は自衛を、タクシー関係者は猛省を

塩竃は東京からすれば田舎といえますが、それでも仙台近郊の地方都市です。

塩竃レベルでこうなのですから、全国的にはこの手のタクシー運転手がまだまだ残っているのではないか、と考えるのが自然です。

 

タクシーを降りてから、この一件についてひとしきり盛り上がりました。

ツマーは
「よそ者だと思ってナメられた。もう車内で東京の話はしない
とのこと。

恰好でバレるような気はしますが、一定の対策にはなるでしょう。

また、オットーの考えた対策は、一人が助手席に座り、スマホ等でカーナビアプリ(Googleマップ、Yahoo!カーナビ等)を常時立ち上げておく、というもの。

乗客が、目的地までの距離や方向をおおまかにでも把握していれば、万一の際にとれる対応は変わってくると思うのです。

 

――というのが今回得られた教訓ですが、海外旅行でもないのに、何でこんな心配をしなきゃいけないんだ、という思いは強くあります。

正直、この一件で、私たちにとっての塩竃のイメージは大きく毀損されました。

特に観光を主な収入源としている地域では、観光客にこうした負の印象を持たれることは死活問題です
「悪事千里を走る」の言葉どおり、悪評はSNS等で瞬時に拡散する時代です。

そうでなくても、ドライブレコーダーやGoogleマップのタイムライン等、移動経路を客観的に証明できる手段は日本全国に浸透しています。
うまく逃げおおせたと思っても、あとで動かぬ証拠を突きつけられる――こんな展開はドラマの世界だけではありません。

これを読んでいるタクシー関係の皆様。
間違っても意図的な遠回りなどするものではないと、肝に銘じていただきたいと思います。

子サイトはじめました!
本記事をお読みいただき、ありがとうございました。

全くの素人が持ち家を売り、賃貸へ引っ越した記録を時系列でまとめたサイトを運営しています。
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