2021年現在、携帯電話各社の料金プランにおいて、音声通話は「かけた分だけ」「5分(あるいは10分)以内の通話は定額」「すべての通話は定額」と、3つの類型に分かれているといえます。
2017年の話になりますが、料金節約のため、ドコモの「かけ放題」から「5分定額」に移行したところ、見事に失敗した、という例をご紹介します。
固定費の節約は重要ですが、自分でコントロールできない要素がある場合には、「保険をかけておく」という考え方もありなのではないか、と考えさせられました。
2017年2月、ドコモ料金値下げの朗報
古い話なので詳細は端折りますが、一時期まで、ドコモの料金体系は「データ使用量が最低だと、電話かけ放題が強制的にセットにされる」といったものでした。
これが2017年2月に改定され、「5分以内かけ放題」と「データ使用量月2GB」(2GBは当時、実質的に最低の使用量)の組合せができるようになりました。
我々は、さっそくツマーの料金プランを「完全かけ放題」から「5分以内かけ放題に」変更しました。これで月々1000円も安くなりました。
ウチは長電話なんてしないんですよ。したとしても家族間ですよ。そう言い切っていました。
4月10日現在のドコモ通話料が……
さて4月に入り、夕食時に家族で他愛もない会話をしていますと、ツマーが何気なく
「昼間、お母さんと電話したんだけどさ…」
と言います。まあ、これ自体、世間的には極めて普通のことです。
が、オットーはこれを聞いて、ある心配を始めました。そして数日後の4月10日、思い立ってドコモの料金を調べてみると――あぁ~~、という結果でした。
税抜き2660円です。30秒20円ですから、無料通話5分を加えて71.5分となります。
一度電話したら、そのぐらいにはなるでしょ
まあ、そうなりますな
とりあえず、かけ放題に戻します
これを見てオットーは決意しました。完全かけ放題に戻そうと。
料金プランを「5分以内かけ放題」に変更した2月と3月、たしかに基本料金は1000円(+税)浮いていました。しかし実は、両月とも5分を超える通話があり、実質的な節約額は1000円未満でした。
具体的に、2月は200円、3月は640円の「Xi通話料」が発生していました。ということで2月と3月の節約額は(1000-200)+(1000-640)=1160円にしかなっていませんでした。
そこへ来て、4月は10日現在で2660円のマイナスです。差し引き1500円のマイナス。
4月はあと20日あり、この間に同様の長電話がある可能性を否定できません。
月途中でかけ放題に戻しても、日割りにはなりません
かりに今、この瞬間から「完全かけ放題」に戻すとします。すると基本料金は1000円高くなります。
月の途中でコース変更しても日割り計算にはならず、1ヶ月まるまる、高い方が適用となります。
そして、当たり前といえば当たり前ですが、すでに発生してしまった2660円の通話料は、完全かけ放題に変更しても戻ってきません。
そりゃそうですね。後出しで変更していいんだったら、みんな最初は「5分かけ放題」にしておいて、月末に明細を見てコース変更しますよね。
4月10日の夜、これ以上の損失を抑えるため、料金プランの再変更を決行しました。
ドコモにはしてやられました。このページの広告収入で今回の損失を穴埋めするには何年かかるんでしょうか…。
スマホから固定電話を使えないか?
悔しいのでいろいろ考えましたが、これといった策は見つかりませんでした。
ただ、皆さんのお宅では実現可能かもしれないので、いちおう考えたことを書いておきます。
我が家の場合、ツマーが体調不良で常に布団に横たわっており、長電話もその中で行われます。
物理的には固定電話(コードレスホン)でも十分です。
しかし我が家のコードレスホンは年代物で、電池もだいぶ劣化しているので、10分ぐらい通話すると電池切れで止まってしまいます。
また、スマートフォンが手元にあるのに、わざわざ起き上がってコードレスホンを持ってくるだけのやる気は起きません(だからこそゴロゴロしているわけです)。
そこで、スマホを使って、固定電話の回線から発信できないか?と考えました。
着信ができればなおよしです。
スマホを固定電話の子機にできる電話機があった!
このニーズに対する一つの答えは、「スマホを子機にできる固定電話機」を導入することです。
有名どころでは、パナソニックが2010年代にそのような電話機を売り出しています。
「あなたのスマホが、子機になる。」というキャッチフレーズ。まさに我々が欲しているものです。
最大4台のスマホを固定電話の子機にできるとのこと。
スマホの電話帳の相手に固定電話から発信したり、逆に固定電話への着信をスマホで取ったり。
もう、当時の我が家にドンピシャの機能です。
で、おいくらですか?というと…2021年2月現在、カタログモデルで生き残っているのが、コードレス電話付きFAXの最上位機種、1機種のみということが判明しました。
実勢価格でいうと25000~30000円といったところで、初期投資としてはちょっと高いですね。
そして、現行1機種しかないという時点で、このニッチな機能が消費者に評価されておらず、ジリ貧であることが窺えます。
上記機種には、家の固定回線にかかってきた電話をIP電話経由でスマホに無料転送できる(外出先で家の電話をとれる!)という優れた機能もあるのですが、本サービスの前提であるIP電話サービス「SMARTalk」が、2021年2月現在、無期限で新規加入を停止しています。
もう、固定電話が、というより音声通話自体がジリ貧なんですよね…。
NTTの「ひかり電話」はスマホに飛ばせる!
気を取り直してもう一つ。
我が家は残念ながら対象外なのですが、NTT東西の「ひかり電話」は「スマホdeひかり電話」と銘打ったサービスを行っていて、これに対応するアプリをインストールすると、スマホからひかり電話(固定電話)の発着信が可能になります。
対応アプリとしては「AGEphone」「LivyTalk」の2種類があるそうです。
じゃあ、アプリを入れれば我が家の「auひかり」でも使えるのでは?と思ったのですが、これが無理らしいのです。別にNTTが意地悪をしているわけではなく、光インターネット接続を申し込んだ際に家に設置する機器の機能の問題だそうです。
光接続なんてどれも同じようなものと思っていましたが、さすがNTTといいますか、密かに差別化を図っていたのでした。
終わりに――24時間通話定額という「保険」
というわけで、ツマーの契約は、2021年2月現在で未だ「24時間かけ放題」です。
5分通話無料が税込770円、かけ放題が税込1870円なので、差額はやはり1000円+税のままです。
この月1080円という料金をどう見るか。
私たちは「保険」と考えることにしています。
「5分通話無料」のプランより毎月少しずつ損をしますが、その代わり、突発的に長電話しても大損はしない。
多少の定常的な出費で大損害のリスクを回避するという意味で、24時間かけ放題はまさに保険だと思います。
オットーは、各種料金を細かくチェックするのが趣味みたいになっているので、今回のような失敗はありません。
しかし、そうしたことに興味がなく、かつ心身ともに健康といえないツマーは、「5分過ぎたから固定電話からかけ直すわ」といったところまで気が回りません。つまり通話料をコントロールできないわけです。
この、「コントロールできない通話料」に対するコントロール策が、24時間かけ放題です。
本物の保険については見直しサービスが花盛りです。
たしかに固定費ですから、一度適切に見直せば、労せずして大きな節約効果を得られます。
しかし、自分たちに本当に必要なリスクヘッジ策を見極めないと、いざという時に痛い目に遭います。
たかだか数千円のオーダーですが、それを実感した一件でした。
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