節約ネタとして時々メディアに取り上げられるのが各種のギフト券です。いわゆる金券ショップでギフト券を買ってきて普段の買い物に利用すると何%かおトクになりますよ、ということです。
1000円のギフト券を990円で入手できれば確かにおトクではありますが、では実際にいくら、あるいは何%おトクになるのでしょうか? 実は他の決済手段のほうが、ポイントまで考えたらおトクになることはないのでしょうか?
この問題を解くカギは「お釣り」にあります。世の中にはお釣りの出るギフト券と出ないギフト券があり、同じ額面でも、その価値には意外と大きな差があるのです。
お釣りの取扱いには3パターンある
ギフト券を使ったときにお釣りが出るかどうか、ということに関しては3つのパターンがあります。利用者にとっておトクな順に紹介します。
パターン1:現金でお釣りが出る
まず最初の「お釣りが出る」ギフト券。有名どころではセブン&アイ共通商品券やジェフグルメカードがこれに該当します。
お釣りが出ますから、たとえば1000円の商品券で400円のものを買ったら、600円は現金でもらえます。
パターン2:お釣り分が金券で返される
次に「お釣り分が金券で返される」ギフト券。図書カードやクオカードなど、主にカードタイプのものがこれに該当します。
たとえば1000円のクオカードで400円のものを買うと、カードの残額が600円となり、あと600円分の買い物ができます。
[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”icon_t.png” name=”ツマー”] これって「お釣りが出ない」とは違うの? [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”R1″ icon=”icon_o.png” name=”オットー”] 確かに現金でお釣りをもらうことはできないけど、400円の買い物に1000円の券を出してもOKという点が↓のパターン3とは違うね [/speech_bubble]
パターン3:お釣りが出ない
最後に「お釣りが出ない」ギフト券。クレジットカード会社のギフトカードなどがこれに該当します。これに該当する券には、たいてい「釣り銭はご容赦ください」などと書いてあります。
たとえば1000円のギフト券で400円のものを買うと、ギフト券は回収され、お釣りはもらえません。実際にはお店の人が「お釣りが出ないので現金で払ってください」と言うはずなので、事実上、1000円未満の買い物には使えないことになります。
お釣りの有無でこんなに違う!
以上、お釣りの取扱いについて3パターンを紹介しましたが、これってそんなに重要なことなの?と思われた方もいると思います。
たしかに、高額の買い物をする人には大して差はありません。しかし、金券ショップで商品券を買い、それを比較的少額の買い物で消費する人にとっては実に大きな差があるのです。
たとえばコンビニで使える1000円の商品券が980円で売られていて、在庫も潤沢にあるので、毎回この商品券で買い物をすると考えてみます。
1000円のものが980円で買えるから2%引きになる――そう考えるのは正しいでしょうか?
お釣り分が金券で返される場合
この1000円の商品券がクオカードだったとします。
1000円未満のものを買うと「お釣り」がカードに残り、ちょうど1000円分の買い物をしたところで使い切れます。残額が足りなくなったら次のクオカードを継ぎ足して使うことにすると、コンビニでの買い物はちょうど2%引きになります。
お釣りが出ない場合
これが、お釣りの出ないクレジットカード会社のギフトカードだったらどうでしょうか。
まず、そもそも1000円未満の買い物には使えません。1000円ちょうどの買い物であれば割引率は2%となりますが、コンビニで買い物をしてちょうど1000円などということは稀です。
ということは、ほとんどの場合に1001円以上の買い物でこのギフトカードを使い、不足分は現金で補うことになるので、割引率は2%未満になります(1回の買い物で20円しか割引にならないため)。
お釣りが現金で出る場合
そしてこれが、お釣りの出るセブン&アイ共通商品券だったらどうでしょうか(セブンイレブンでしか買い物できないという問題はひとまずおいておきます)。
お釣りが出ますから、1000円以下の買い物でも必ず商品券1枚を使い切ることができます。1枚使うごとに20円分得をするので、割引率は必ず2%以上になります。
極端な話、21円のチロルチョコをこの商品券で買えば、お釣りが979円返ってくるので、実質1円でチロルチョコが買えることになるのです!
割引「率」ではなく「額」で考えてみよう
以上のように、少額の買い物では、お釣りの有無によって実質的な割引率が大きく変わってきます。
少し視点を変えて、割引「率」ではなく、商品券1枚あたりの割引「額」で考えたほうが分かりやすいかもしれません。
たとえば1000円の商品券を980円で買えれば1枚あたり20円の割引となります。これはお釣りが出ても出なくても同じで、商品券を1枚買って使い切るごとに20円得をします。
ということは、たくさん商品券を買ってたくさん消費するほうが絶対的な「お得額」が増えていきます。だから、同じ買い物でも多くの枚数の商品券を消費できるのが望ましいということになります。現金でお釣りをもらえる商品券は、少額の買い物でも最低1枚の商品券を消費できるから「おいしい」のです。
おすすめ商品券はこれだ!
そんなわけで、私たちが金券ショップで買う商品券は、だいたいが「現金でお釣りの出るもの」になっています。
ジェフグルメカード
筆頭は「ジェフグルメカード」です。外食チェーン店を中心に利用できるもので、金券ショップでは500円券を475~480円で購入できます。
よく利用するのはKFCで、家族の分をまとめて購入するので500円券1枚では絶対に足りないのです、たとえば2300円なら券を5枚消費できるのでちょっとおトク感があります。
セブン&アイ共通商品券
次に「セブン&アイ共通商品券」。こちらは利用価値が高いせいか売価も高く、自分の行動範囲では1000円券の売価が990円にしかなりません。割引率にすると1%と低く、率だけを見るなら電子マネーやクオカードのほうがお得です。
しかし見方を変えると、1回買い物するごとに10円の値引きになるわけですから、少額の買い物では利用価値があります。
オットーは一時期、セブンイレブンの「100円コーヒー」を愛飲していたのですが、この商品券でコーヒーを買うと通常100円のものが実質90円で済む(割引率10%!)のでだいぶ得をした気になっていました。
ルミネ商品券
あと、ちょっとローカルですが、東京近辺の方ならルミネ商品券も見逃せません。通用範囲が狭いせいか売価が安く、1000円券が970円ぐらいで買えるのです。そしてお釣りも出ます。
ルミネというとファッションというイメージですが、店によっては食料品フロアもけっこう充実しています。もしそうした店を日常的に利用しているのであれば、1枚消費するごとに実質30円引きとなるルミネ商品券はお得です。数百円の少額決済なら、ルミネカードの「常時5%オフ」よりもお得になるでしょう。また、ルミネ内の書店で図書券のように利用するというのもいいでしょう。
地域商品券(必ず事前に確認!)
ローカルといえば、金券ショップという縛りからは外れますが「地域商品券」も釣り銭OKのことがあります。地元の商店でしか使えない商品券で、たいていが期間限定ですが、割引率が10%ぐらいなので釣り銭のことを考えなくてもお得です。
ただ、期間限定なので、「期限までに本当に使い切れるか?」という心配がありますよね。そこで大きく影響してくるのがお釣りの有無です。
もし現金でお釣りが出るというのであれば、「買いすぎて期限までに使い切れない」という心配は大きく減ります。どれだけ少額の買い物であっても1枚消費できるわけですからね。これが「お釣りは出ない」となると、500円なり1000円なり、商品券の額面以上の買い物をしなければいけないので、グッとハードルが高くなります。
私たちの住んでいる自治体でも、過去に何度かこの商品券を売っていて、大手コンビニチェーンでも一部の店に限り通用するので、発売日に立ち会えれば購入することにしていました。が、ある年から急に「お釣りは出ません」ということになり、知らずに商品券を買い込みすぎて泡を食ったことがありました。
クレジット会社のギフトカードの活用法
逆に、あまり食指が動かないのがクレジットカード会社のギフトカードです。1000円券を980円ぐらいで売っているようなので割引率にすると2%。それなりにお得なのですが、端数を現金払いすると実質的な割引率が下がってしまいます。特に少額決済では影響が大きいといえます。
また、このギフトカードを使うとお店独自のポイントの対象外になったり、ポイント付与率が下がったりする場合があります。
そんな中、イトーヨーカドーは比較的使いやすいといえます。端数をクレジットカード払いにできる上、ギフトカードで払った分にもイトーヨーカドーのポイントがつくからです。ハッピーデーの5%オフにも対応しています。こうしたお店を常用していれば、クレジット会社のギフトカードも有効に活用できそうです。
お釣りにも例外がある
以上、お釣りに関して紹介してきましたが、お店の判断でお釣りの有無を変えているところもありますので、2例ご紹介します。
例1:かつての東急ハンズ新宿店
以前、新宿の東急ハンズに行ってちょっと驚いたのですが、「クレジット各社のギフトカードは100円以上の買い物でお願いします」と書いてありました。つまり、お釣りは出すが、100円に満たないような超少額決済は勘弁してくれということです。
そのときは400円程度のものを買ったのですが、1000円のVJAギフトカードを出したら快くお釣りをくれました。ギフトカードには「釣り銭はご容赦願います」とか何とか書いてあったと思いますが、店の独自の判断でお釣りをくれることもあるということです。
こういう「独自判断でお釣りを出してくれる店」を知っていれば、クレジット会社のギフトカードも利用価値がだいぶ違ってくるなと思った次第です。
なおその後、東急ハンズでは全店で「ギフトカードにはお釣りを出しません」ということになった記憶があります。今探すと根拠が見当たらないので自信がなくなってきましたが…。現状は利用前にご自身でお確かめください。
例2:松本楼
次に逆の例です。
洋食店「松本楼」の某支店で食事をした際、ジェフグルメカードを利用したのですが、レジの人曰く「使えますが、お釣りは出ません」。ジェフグルメカードでお釣りが出ないというのは初めての経験です。
言われてみれば、グルメカードの裏面に「お釣りが出ます」とは書いてありません。だから公約違反ではない、ということなのでしょう。
ちょっと損した気分ではありますが、それでもクレジットカードで支払うより若干はトクになるので、グルメカードの持ち合わせがあれば利用するようにしています。
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