自家用車のない我が家にとって、自転車は不可欠の乗り物です。
ヤマハの電動アシスト自転車「PAS」が通勤、買い物などに大活躍しています。
このPASのバッテリーが、購入後5年半で突如ダウンしてしまいました。
満充電なのに、走行後数分で電源が強制的に切れてしまうのです。
自転車店に持ち込んだところ「寿命ですね」と宣告を受けたのですが、諦めきれずにいろいろ調べてみたところ、見事に復活しました!
なお、2021年1月に、今回問題にしているバッテリーに対しリコール(無償交換)が発表されました。
使い続けると危険ですので、それらしきバッテリーをお持ちの方は、まずリコール対象でないか確認してみてください。
事件発生! 通勤途中で電源断
2017年10月、小雨の降る朝のことです。
オットーはいつものようにPASに乗って通勤していました。自宅から駅までは10分そこそこの道のりです。
2分ほど走り、最初の信号のところで急に電動アシストが途絶え、ペダルが重くなりました。
しばらく走り続けましたが回復しません。
こういうときは大抵、自転車本体の電源を一旦切り、再度投入すると直ります。
が、今回は一旦電源を切ったところ、二度と電源が入らなくなってしまいました。
自転車を停めてバッテリーを取り外し、自転車本体の電子回路を一旦リセットします。
しかし、バッテリーを元に戻してもやはり電源は入りません。
自転車本体ではなくバッテリー(電池そのもの)にも残量確認ボタンがあるので、これを押してみました。
すると、4つあるランプのうち2と3が点滅していました(写真は正常時)。
通常なら、電池の残量に応じてランプが点灯する(点滅ではない)ところです。
バッテリーに問題がありそうだというところまでは分かりました。
これ以上の処置はできないので、仕方なくアシストなしで駅までの道を走り切りました。
2番目と3番目のランプが点滅、その意味は?
故障の詳細が気になって電車の中で調べてみたところ、以下のことが分かりました。
- ヤマハPASのバッテリーの2番目・3番目のランプが点滅するのは「通信異常」を示す
- バッテリー内部のプログラム書き換えが必要らしい
プログラムの書き換えにより、2点の不具合が修正されます。
修正点1:長期使用時の強制停止
まず1点目は「バッテリー長期使用時の強制停止」です。
プログラム書き換え前は、バッテリーの使用期間・総充電量が一定値を超えると、安全のためバッテリーを強制的に使えなくする機能が備わっていました。
リミッターといえば分かりやすいでしょうか。
私たちのモデル(2012年)だと「9年」もしくは「総充電量6700Ah」という「寿命」が設定されており、これを超えるとバッテリーが強制的に使えなくなります。
しかし、その後の調べで、この寿命を超えても安全上の問題はないということが判明したそうです。
そこで、プログラム書き換えによって「寿命」そのものを延ばした上で(年式によっては延びません)、寿命を超えても強制使用停止にはせず「お知らせ」だけにする、というふうに機能を変更することになりました。
つまり、プログラムを書き換えることで、「古いのを承知で使い続ける」ということが可能になります。
修正点2:通信機能の改善
次に2点目は「通信機能の改善」です。
2011・2012年製のバッテリーでは、通信機能の一部に誤作動を起こし電源が遮断される場合があるそうです。
この場合、バッテリーの2番目・3番目のランプが同時に早い点滅をするとのこと。
まさに私たちの経験した状況です!
不具合内容について、詳しくはヤマハの公式サイト(下記ページ)を見ていただければと思います。
自転車店に相談してみたら…
以上のことが分かったので、会社の帰りに自転車店へ向かおうと心を決めました。
プログラム書き換えには専用の機械が必要で、設置店はヤマハの公式サイトで調べることができます。
幸い、いつも行く大型スーパーの自転車売り場にはプログラム書き換えの機械が備わっていることが判明。
事前に自転車店に電話することにしました。
故障の内容を伝えたところ、お店でも内容を調べてくれました。
「一旦充電してみて、復活すればそのまま使用継続、ダメならプログラム書き換え」との回答でした。
その日は帰宅が遅くなり、自転車屋へ行けなかったので、とりあえずバッテリーの充電をやってみました。
翌朝、恐る恐るバッテリーをセットすると、ちゃんと電源が入りました!
が、危惧したとおり、走行開始後数分でまたも電源がダウン。
もはやリセットを試す気にもならず、自力で駅まで向かいました。
やっぱりプログラム書き換えが必須だった、ということだと理解しました。
まさかのご臨終!?
翌日、何とか営業時間内に自転車店へ行くことができました。
電話しておいたので事はスムーズに進み、プログラム書き換えに着手してもらったのですが、数分後、店長らしき人から意外な宣告が。
「残念ながらバッテリーの寿命ですね。」
えー!
通信は途絶している
即座に反論するだけの材料がなかったこともあり、諦めてその場を去りました。
バッテリーを自転車にセットして電源ボタンを押すと、電源が入り、ライトは点灯します。
しかし、手元のインジケーターに表示される電池残量(通常は0~90・FLと表示)は空白になっていました。
電池残量を自転車本体側で認識できていないのだと考えられます。
これは確かにご臨終っぽいな――失意の中で帰宅しました。
寿命が早すぎないか?
しかし、寿命が早すぎやしないか? 帰宅しながらそう思いました。
前述のとおり、ヤマハの設定した寿命は前述のとおり「9年」もしくは「0%からのフル充電750回」です。
また、我が家では残量が20%を切るまで充電はしない方針で使ってきています。
これは「電池に優しい充電方法」といえます。
さらに言えば、今回の不具合が起きるまで、我が家のPASはフル充電で平坦地を数十km走れるだけの能力がありました。
プログラムの書き換えすらおぼつかない電池残量とは思えません。
ということで、不良品でもない限り、まだ寿命が来たとは思えません。
ただ、唯一の対処法であるプログラム書き換えができなかったことは厳然たる事実です。
新しいバッテリー、安く購入するには?
この日は帰宅後に急きょ通院することになり、スーツを脱がないまま、すぐにまた家を出ました。
病院の待合室で検索したところ、バッテリーの実売価格は3万数千円といったところでした。
さすがにお高い!
が、探すと3万円程度で新しいバッテリーを購入できることが分かりました。
見た中で一番安かったのは「Yahoo!ショッピング」です。
このとき2時間限定タイムセール(Tポイント5倍)をやっていたこともあって、反射的に購入してしまいました。
諦めきれずにヤマハに電話した
そして翌日。少し心の余裕ができたところで、
「古いバッテリーは本当にもう使えないのか?」
という疑問が再び頭をもたげてきました。
諦めきれず、ヤマハ発動機のフリーダイヤルにかけてみました。
症状を伝えると、「2・3灯目のランプ点滅は通信異常」とのことであり、「お手数ですがプログラム書き換えを」との回答でした。やっぱりね。
そこで、違う店でもう一度、プログラム書き換えにチャレンジしてみることにしました。
幸い、家から1km強のところにもう1軒、プログラム書き換えのできる自転車屋があります。
書き換え再チャレンジ、その結果は?
自転車屋に行きたい一心で定時に退社し、アシストなしで自転車屋へ直行しました。
ライトだけは点灯可能、そしてバッテリー残量表示は…
昨夜も家で充電したので、このときバッテリーは見かけ上正常な状態でした。
電源を入れれば2、3分はアシストありで走れると思われます。
しかし、バッテリーが異常状態になってしまうとプログラム書き換えに支障があるかもしれないと思い、あえて電動アシストは切っておきました。
ただ、昨夜試したとおり、ライトだけは点灯させることが可能です。
一旦電源を入れ、ライトを点灯させた状態で電源を切ると、アシストなしでライトだけ点灯する状態となります。
ちなみにこのとき、自転車本体のバッテリー残量表示は依然として「空白」でした。
ライトが切れることもなく、10分ほど走って自転車屋に到着しました。
ライトを消そうと思って手元のスイッチを操作したところ、誤って主電源を入れてしまったのですが、表示されないはずのバッテリー残量が「FL」という表示になっています。
あれ? 復活した?
あっさり書き換え成功! しかし…
店は意外に混んでいたのですが、前もって電話しておいたので、他のお客さんの作業と並行してプログラム書き換えを進めてもらうことができました。
10分ほどして、何事もなく書き換えは終了しました!
昨日の「書き換えできない事件」は何だったのでしょうか…。
自転車本体にバッテリーを取り付け、電源を入れると、バッテリー残量表示は「空白」。
あれ? 直ってない!?
おかしいですね、と自転車屋さんと話をしていると、数秒後に「FL」という表示が出ました。
自転車屋さんによると、ハンドルに取り付けられているスイッチにも寿命があり、ボタンを何度も押しているうちにひび割れ、中に水が入って、最終的に故障するという例が多くあるそうです。
バッテリー残量表示が出ないのはスイッチ内部での接触不良の可能性もあるなと納得し、恐る恐る電動アシストありで帰宅しました。
その後はほぼ異常なし
その後数年間(バッテリーが本当の寿命を迎えるまで)、異常は全く発生しませんでした。
時々、手元のバッテリー残量表示が空白になることはありますが、1秒もしないうちに直るのが常です。
実用上は全く問題ありません。
ということで、さっさとプログラム書き換えをすればよかった、というのが結論です。
もし、これをお読みでプログラム書き換えがまだだという方、悪いことは言いません。
すぐ書き換えたほうが身のためです。
副産物:ヤマハPASのバッテリーの実力は?
以上のように問題は解決したのですが、原因調査の過程で、バッテリーの実力についての情報を得ましたので最後にご紹介します。
元ネタは以下のページです。
バッテリーの実力を知る隠しコマンドがあった!
バッテリー本体にはボタンが1つあります。
通常、これを1回押すと数秒間、バッテリー本体に電池残量が表示されます。
実は、このボタンを長押しすることで、「これまでの充電回数」と「現在のバッテリー総容量(実力値)」を見ることができるのです。
まず、バッテリー本体の残量表示ボタンを20秒押し続けます。
数秒間は現在の電池残量がランプで表示されますが、しばらくするとこの表示が消え、20秒経ったところで「これまでの充電回数」の表示になります。
私たちの場合(2017年10月現在)、1~3のランプが同時に点滅しました。これは「充電回数200~250回」を示します。計算どおりです。
さらに10秒間押し続けると、ランプの表示がまた変わります。
次に表示されるのは「現在、バッテリーが新品比で何%の容量を持っているか」です。
バッテリーは充放電を繰り返すうちに劣化し、貯められる電気の量が減っていきます。ボタンを30秒長押しすると、「新品時を100%としたとき、現在フル充電すると何%の電気を貯められるか?」という「実力値」が表示されるというわけです。
私たちの場合、ランプは1~4が全部点灯しました。これは「75~100%」を示します。
少なくとも新品の3/4の容量はあるということで、まだまだ実用に堪えるといえます。
充電250回ならまだまだ現役
この結果はオットーの感覚に合うものです。
日々自転車に乗っていて、バッテリーが古くなってきたという実感は特にありませんでした。
「購入から5年半も経っているので、バッテリーの寿命ですね」と言われると、予備知識がなければ「そうですか」と言ってしまいそうですが、今回に限っては「予備知識はないが、実感と合わないな」というのが正直な感想でした。
ここでご紹介した「隠しコマンド」は、そうした実感を見事に裏付けてくれました。
メーカーが公表しているスペックからいっても、また今回の測定結果からいっても、充電250回はまだまだ現役です。
月に何回充電しているかによって寿命は変わってくるでしょうが、そんなに簡単にダメになるバッテリーではないのだ、ということは知っておいてよいと思います。
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