アルコール度数6%のチューハイは自作できるか?

今日はオットーの独り言にお付き合いください。

以下のような問題を考えます。

[問1]
アルコール度数25%の焼酎40gに炭酸水何gを混ぜるとアルコール度数6%になるか?

何となく、小学生の算数の問題にありそうな感じですよね。
ところがこれ、真面目に考えると結構難しいのです。

さらに応用問題として以下を考えます。

[問2]
アルコール度数25%の焼酎40gに、炭酸水とレモン果汁を混ぜて、アルコール度数6%、レモン果汁12%の飲み物を作りたい。炭酸水、レモン果汁は各何g加えればよいか?

こちらは2020年の灘中学校の入試問題ですが(嘘)、これが解けると、オットーの毎日の晩酌がスッキリします。

単なる算数ではない!

アルコール度数25%の焼酎を6%に希釈するんでしょ? 簡単じゃない?と、私も最初は思いました。

焼酎40mlに含まれる純アルコールは40×0.25=10mlですから、これに炭酸水126.7ml(=10÷0.06-40)を加えれば「全体量166.7ml、うち純アルコール10ml」となり、アルコール度数は6%。はい終了!

しかし、上記の計算には誤りがあります。そして真面目に考えれば考えるほど、いろいろな疑問が湧いてくるのです。
以下の項目を眺めて、なお「これは単純な問題だ」と言い切れますか?

  • 体積をml単位で計量することは難しいため、キッチンスケールで重さを測りたい
    (なので冒頭の問題文はg表記である。)
  • 水は100mlあたり100gであるが、アルコールの比重は約0.8であり、100mlのアルコールは約80gである。
  • そもそもアルコール度数の定義は? 体積比なのか? 重量比なのか?
  • 実は、水とアルコールを混ぜると体積が減る
    (たとえば水100mlとアルコール100mlを混ぜると200ml未満になる。)

これらを考慮しながら、何とか答えを導き出していきます。

アルコール度数の定義は酒税法にあった

まず大前提として、アルコール度数はどのように計算するか?という点から。

答えは「酒税法」にあります。重量比ではなく体積比が正解でした。

酒税法(昭和二十八年法律第六号)

第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 アルコール分 温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。(以下略)

容量」とありますので、重量ではなく体積で割合を計算するのが正解です。
ここからして知りませんでした。

この定義のせいで、「重さしか測れない」という我が家では計算が面倒になります。
が、熱膨張などを考えると、かえって重さで計算したほうが単純化できる気もします(酒税法に「温度15度の時」という前提があるのはおそらく熱膨張のためです)。

100+100が200にならない世界

次に知っておきたいのは、水とアルコールを混ぜると体積が減るということ。

なぜか?と問われると、分子レベルの話なので実感をこめて説明することができませんが、「石1リットルと砂1リットルを混ぜると、砂が石の隙間に入り込むので2リットルより小さくなる」というイメージで理解すればよいと思います。

このため、体積ベースで考えると頭がこんがらがってきます。

政府が真面目に測らせている! 酒の比重

調べてみると「酒類総合研究所」という独立行政法人があり、国税庁の求めに応じてアルコール度数の計測方法を詳細に定めているのですが、その一環で「摂氏15度におけるアルコール度数ごとの比重・密度」の一覧表が作成され、公開されています。

今回の問題で使いそうな数値を抜粋すると以下のとおりです。

アルコール分(vol%)密度(15℃)比重(15℃/15℃)
00.999101
60.990640.99153
250.970110.97098
1000.793510.79422

密度の単位はg/mlであり、正確にいえば水の密度は1ではありません(上の表より、温度15度だと0.99910g/ml)。
一方、比重は「同体積の水と比較したときの質量」であり、単位は無次元です。
水の密度が限りなく1に近いため、以下では「水の密度は1g/ml」と考え、比重を使って計算します。

また温度について、酒税法では「摂氏15度」となっており、温度が変わると密度や比重も変わってくるので、以下では15度の環境下で調合すると考えます。
ただ、重さで考えていくので、実際の調合を何度で行うかということは結果に影響してこないという認識です。

第1問を解いてみる

長くなりましたが、いよいよ計算に入ります。有効数字の扱いが雑なのは仕様です。

25度の焼酎の純アルコール量は?

まず25度の焼酎を40gグラスに注ぐという前提ですので、この中に含まれる純アルコールの量を知りたいところです。

25度の焼酎を作るには、たとえばアルコール250mlと水750mlを混合すればよいわけです。
これを重量で考えると、アルコールが250×0.79422=198.555g、水が750g、計948.555gとなります。
この比率を「計40g」に換算すると、25度の焼酎40gの内訳は、アルコールが8.373g、水が31.627gとなります。

蛇足ながら、アルコール250mlと水750mlを混合した後の体積は1000mlとはなりません。
重量が948.555gですから、先ほどの比重表を用いると、体積は948.555÷0.97908=968.823mlとなります。混合により3%以上も縮んでいます!

6度のチューハイの出来上がり量は?

同じ要領で、出来上がりである6度のチューハイの重量比を計算します。

6度の液体を作るため、アルコール60mlと水940mlを混ぜた場合、その重量はアルコールが47.6532g、水が940g、計987.6532gとなります。

25度の焼酎40gに含まれる純アルコールは8.373gでしたから、これを6度に薄めた際の出来上がり量は8.373÷47.6532×987.6532=173.54gとなります。

173.54gのうち40gは25度の焼酎なので、薄めるために必要な炭酸水の量は173.54-40=133.54gとなります。
これが第1問の正解です。

ちなみに、出来上がり量173.54gは、体積に換算すると175.02mlとなります。
この度数だと水と大差ないですね。

第2問も解いてみよう!

さらに第2問、炭酸水の一部をレモン果汁に置き換え、レモン果汁12%のチューハイを作る場合です。
ここで「レモン果汁12%」が体積比か重量比かという問題がありますが、ここでは体積比として考えます。

レモン果汁の成分は?

ポッカレモンの成分表を調べると、15mlあたりクエン酸が950mgとなっています。
他の成分も多少はあるでしょうから、水以外の成分は15mlあたり1g程度と考えられます。

クエン酸その他の成分が全部水に溶解し、体積に影響を及ぼさないと仮定すれば、レモン果汁15mlの中身は「水15gと酸1g」となります。

炭酸水をレモン果汁に置き換える

さて第1問を解いて、焼酎40gに加えるべき炭酸水の量は133.54gと分かっています。
一方、出来上がり量は175.02mlでしたから、このうちの12%、すなわち21.00mlをレモン果汁にすればよいことになります。

レモン果汁21mlの中身は「水21gと酸1.4g」ですので、レモン果汁は重量22.4gだけ加えればよいことになります。

一方、加える炭酸水は21mlすなわち21g減らし、133.54-21=112.54gとなります。

まとめると、焼酎25度を40g、炭酸水を112.54g、レモン果汁を22.4g加えれば「アルコール度数6%、レモン果汁12%」というスペックを満たした飲み物が完成です!

私は、グラスをキッチンスケールに載せたうえで「焼酎→炭酸水→レモン果汁」の順に注いでいるので、正解は以下のような手順となります。

  1. 焼酎を40g注ぐ
  2. 炭酸水を113g注ぐ(ここまでの累計153g)
  3. レモン果汁を22g注ぐ(合計175g)

これまでのチューハイはどうだったか?

実は、これまでの私の手順(いい加減な計算による)は「焼酎40g、炭酸水110g、レモン果汁16g」でした。
炭酸水の量はほぼ正解として、レモン果汁がやや少なかったようですね。

実は、「アルコール度数6%、レモン果汁12%」というのはキリン「本搾り」のスペックそのものなのですが、レモン果汁の量が多いことをあらためて実感します。

ともかく、答えが分かってスッキリしました。

応用編:「ストロング系」を作るには

参考までに、アルコール度数9%の「ストロング本搾り」を自作する場合の調合比率は「焼酎40g、炭酸水60g、レモン果汁15g」となります。
出来上がり重量を6%に揃えるならば「焼酎61g、炭酸水91g、レモン果汁23g」で、6%にくらべ焼酎を20g増やした分、炭酸を20g減らすという具合。

甘味料がないため、相当ストロングな味が予想されますが、実際やってみると、確かに濃い!
しかし何より、炭酸水の比率が低く、チューハイらしい刺激が薄れます。せいぜい7.5度程度がよいと思われます。

[愚痴]旧・本搾りへの長い道

こんな問題を考えてきた背景の説明として、ちょっと愚痴を書かせてください。題して「旧・本搾りへの長い道」です。
数年前から愚痴として書き溜めていたものをそのまま放出するため、文体が異なりますがご容赦ください。

仕事を終えて帰宅しても、家事、育児と落ち着く暇はない。
そんな日常にあって、唯一、くつろげるのが晩酌の時間である。
結婚当初はビールとワインというのが定番だったが、経済的事情と日々の辛さからくるヤサグレ感を反映し、いつからかチューハイにシフトした。

星の数ほどある缶入りチューハイの中で、私が独身時代から愛飲していたのが「本搾り レモン」である。
元々はメルシャンの商品だったが、経営統合により今はキリンのブランドで販売されている。
したがってキリンからすれば継子的な商品であり、2011年ごろは地味な存在だったと記憶している。
しかし私の愛飲の成果か、数年前からは電車内の広告でもしばしば見かけるようになり、氷結と肩を並べるレベルになってきた。

本搾り レモンの何がいいか? それは原材料の表記を見れば分かる。
「原材料 レモン・ウオッカ」。
つまり、酒とレモンと炭酸以外に何も混ぜていないのである。
居酒屋で「レモンサワー」と「生レモンサワー」を区別しているところがあるが、世の中の99%の缶入りチューハイが前者の「レモンサワー」であるところ、本搾りは「生レモンサワー」なのである。

当然、甘くはない。
アルコール度数6%だが、それ以上の「アルコール感」がある。あまりにシンプルな味なので、ネット上では「物足りない」という意見も見かけた。
妻も当初「味がないから、あまり好きじゃない」と言っていた。しかし、何度か飲んでいるうちにハマったようで、今では逆に「他のチューハイは甘くて飲めない」と言っている。

そんな本搾りに、衝撃的な事件が発生したのは2016年の暮れ。
プレスリリース曰く「より果汁感が感じられる味わいに進化」だそうであるが、要するに味が変わったのである。
そしてそれは大衆への迎合であった。

新たなデザインの缶を目にしたとき、真っ先に見たのは原材料欄であるが、すぐに一抹の不安を覚えた。
「レモン・ウオッカ・レモンリキュール」となっているのだ。

帰宅して一口飲み、不安は現実のものとなった。
甘い。
レモンリキュールとは、おそらく梅酒のレモン版のようなものだろう。レモンを酒に漬け込む工程で、砂糖などの甘味料を入れているのではないか。
また、レモンリキュールによって加わった香りが、どうにも人工的だ。妻は「トイレの芳香剤かよ」と言っていたが、そんな感じだ。

甘くないことが取り柄だったのに、それを捨てて取っつきやすさを選んだ。
なぜ、本搾りを選んで飲む人がいるのか? そこを取り違えているとしか思えない。
甘いのが好きだったら氷結でいいではないか。

味の変更で売り上げが大幅に落ち、キリンが方針を転換することを期待したが、3年以上が経過し、小売店で本搾りの陳列が減ったという印象はない。
むしろ、期間限定だったはずのオレンジが定番商品化し、ますます勢力を拡大している感すらある。

ともかく、私も妻も、リニューアル後の本搾りは飲めないということで意見が一致した。

ということで、まずはリニューアル前の本搾りを買い溜めした。
幸か不幸か、近所にあか抜けないスーパーがあって、在庫の回転率が悪い。そのため、しばらくは旧仕様の本搾りを買うことができた。
この際、350mlも500mlも関係ない。陳列されているものは全部買う。これを繰り返した。
しかし、半月もするとさすがに在庫が尽き、そのスーパーにもリニューアル後の本搾りが並ぶこととなった。

となると、やるべきことは一つ。
自分でウオッカとレモンと炭酸を混ぜ、昔の本搾り レモンを再現することだ。

ここからは算数の問題である。
本搾り レモンはアルコール度数6%。またレモン果汁は11%<※注:実際には12%>含まれている。残りは炭酸水だ。
これらが重量比なのか体積比なのか分からないが、おそらく重量比だろう。<※注:当時の見解であり、実際には誤りです>
ウオッカのアルコール度数には差があるが、探した中で最も安かったウィルキンソン・ウオッカは40度だった。
以上より、350gの本搾り レモンを得るには、以下のとおり混合すればよいことになる。

  • ウオッカ(40度) 52.5g
  • レモン果汁 38.5g
  • 炭酸水 259g

デジタルのキッチンスケールを使えば、そこそこの精度で計量できる。

なんだ簡単じゃん!と思って始めたのだが、実際には盲点がいくつかあった。

まず重要なのがレモン果汁だ。

生のレモンを絞るのは手間、コストともに辛い。
いきおい市販のレモン果汁を使用することになるが、売れ筋商品であるポッカレモンを用いたところ、全然ダメであることが分かった。安価なレモン果汁には香料が含まれており、チューハイにするとこの香料が目立ってしまうのだ。
理由は分からないが、アルコールと果汁が混ざると、果汁の(そして香料の)香りが開くような印象がある。

香料を含まないレモン果汁となると、いきおい「有機レモン果汁」のような、わりと高級なものになる。
調べると「香料無添加タイプ」というポッカレモンも存在するが、業務用のため、普通の店ではまず目にしない。
少しでも安いレモン果汁を求めて通販サイトをさまよい歩いたところ、「ビオカ」のイタリア産有機レモン果汁に落ち着いた。

ただ、これを入れても旧・本搾りと同じ味にはならない。
比較のため、国産の有機レモン果汁も2、3品試したが、概して国産のほうが酸味がストレートで、いかにも柑橘類という味がする。
イタリア産はこれに比べて口当たりが柔らかく、アルコールと混ぜると、強い酸味のほかに、果汁の甘みを感じる。
甘くないという点では国産の方が好みだが、それでも旧・本搾りと同じ味にはならないし、価格面で難ありだ。

だいたい、本搾りなんて350ml缶が100円そこそこで売られている、かなりの安酒である。
どう考えても高級な果汁など使っているとは思えない。
かりに使っていたとしたら、絶対、宣伝文句に「広島・瀬戸田産レモン果汁使用」などと謳うはずである。
ということからすると、イタリア産レモン果汁のほうが「正解」に近いのではないかと思うのだが、なぜだか同じ味が出ない。

では酒を変えたらどうか?と試行錯誤したが、こちらも、何を使っても同じ味にならない。

原材料にウオッカと書いてあるんだから、そのへんの安いウオッカでいいんだろ?と思い、まずは酒のディスカウント店で、ウィルキンソンのウオッカを買ってきた。
しかし何かが違う。
旧・本搾りで感じた「アルコール感」が足りない。
自分で作ったチューハイは、アルコール度数6%では、アルコールをほとんど感じずに抵抗なく飲めてしまうのである。

ウオッカについては、この他にも安いものを数種類試したが、どれも似たり寄ったりの結果となった。
まだ高級なウオッカは試していないが、前述のとおり本搾りは安い酒であり、そんな高級なウオッカを使っているとは思えない。

アルコール度数を8%、9%ぐらいにすると旧・本搾りに匹敵する「アルコール感」を得られるが、これはアルコール「感」ではなくてモロにアルコールである。
旧・本搾りと同じ感覚で飲んでいると、飲み過ぎになってしまう。

ウオッカと書いてはあるが、実は違う酒がベースだったのでは?と思い、果実酒用のいわゆる「ホワイトリカー」も試した。
しかし、味が似ないことに変わりはない。そして、味が若干好みから外れた気もする。

ということで再びウオッカに戻したのだが、結局、何をやっても旧・本搾りの味に近付かないので、諦めて酒を焼酎に替えることにした。
なぜって、ウオッカは最安値のものでも意外に高いのだ。それに、一般的な店では大容量のものを扱っていない。
そこへいくと焼酎は「ザ・安酒」であって、大体の店で4リットル入りという超絶的な容量のものを買える。
この手の焼酎というと「大五郎」「ビッグマン」などを想起するが、実はセブン&アイやイオンがプライベートブランドの大容量焼酎を販売しており、安さに拍車をかけている。というわけで、セブンプレミアムの焼酎25度に落ち着いた。
もしや…と思って、ホッピー派に人気の「キンミヤ焼酎」も試したのだが、残念ながらセブンプレミアムとの差を感じなかった。その程度の舌である。

もはや、原材料からして旧・本搾りと違うものになっているが、飲み慣れてきたのでいいことにする。

とはいえ、限られた材料で、できるだけ美味く飲むために工夫はしている。500mlのペットボトルに焼酎を移し替え、冷凍庫で凍らせるのである。

前述のキンミヤ焼酎が、パウチ容器入りの焼酎(冷凍前提)を「シャリキン」という名前で売っているのだが、その紹介記事で「25度の焼酎は家庭用冷凍庫では凍らない(ので、シャリキンは20度である)」と読んだ。
しかし実際には、25度でも硬めのシャーベット状にはなるので、チューブ入りのわさびを絞り出すようにコップに注いでいる。
時々、ペットボトルから塊が勢いよく飛び出て予定より多量の焼酎が注がれてしまう、という嬉しい事故も起こる。

あと炭酸についてだが、これだけは特に苦労しなかった。
何せ、世は空前の炭酸ブームである。
割り材として使うからには、炭酸はなるべく強めであってほしいが、最近「強炭酸水」と銘打った商品は簡単に手に入る。
宅配料金の値上げのせいか、じりじりと値上がりが続いているものの、ケース買いすれば500mlの強炭酸水を1本50円ほどで宅配してもらえる。

炭酸水こそ「どの銘柄でも味は変わらない」と思っていたが、炭酸水を常備していると「炭酸水だけを飲む」ということがしばしばあり、そうなると味の違いも少しは分かってくる。
何銘柄か試したが、安さと炭酸の強さ(舌で感じる泡の大きさ)から、最近は「イズミック」というメーカーのものを愛飲している。AmazonでもYahoo!ショッピングでも安く買える。Amazonで定番の「VOX」は泡が少し細かいように感じる。

さて、買い溜めした旧・本搾り レモンだが、「自家製本搾り」の答え合わせ用として大事に消費したため、2017年11月に賞味期限を迎えたあとも数缶が残った。上記のとおり再現は諦めたので、ここぞという日に1缶ずつ大事に飲んでいた。

その最後の1本を、2018年の私の誕生日に開缶した。
賞味期限を過ぎて1年が経とうとしていた。
生まれ年のワインが何だ。こちとらヴィンテージ本搾りだよ。どうだ!
――まあ実際には、炭酸が抜けていることを危惧し、飲むまで冷や冷やしていたのであるが。

コップに注いでみると、レモン果汁由来と思われる色と濁りが強いことにあらためて気付く。賞味期限を過ぎて若干変色したというのもあるかもしれないが、レモンの果肉が含まれているのでは?と思うような外見だ。
考えてみると、生レモンを家で絞って試したことは一度もなかった。これは一度試してみる必要があるかもしれない。

そして味のほうは、相変わらずの自然な苦み。最後の1本で今さらながらに気付いたのだが、レモンの皮に由来する苦みも若干あるような気がする。
これ、やっぱり生レモンでやったら、近付くんじゃないか?

炭酸は自分で作るチューハイより弱い。
経年で若干抜けたのかもしれないが、元々、そこまで炭酸が強くなかったのだろう。
この点は、自分で作るほうがいいなと思う。

心で涙しながら、最後の1本を飲み干した。

なお後日、隣のばあちゃんに自家製のレモンを頂いたので(長閑だな)、早速これでチューハイを作ったところ、これがうまいうまい。
味に立体感がある。
皮に由来する苦みが加わり、これでようやく旧・本搾りを超えた、と思った。
ただ、価格と手間の両面で、自分でレモンを買うには至っていない。

話はこれで終わらない。

本搾りには季節限定品がある。
これまで何種類か飲んで、好みでないもののほうが多かったが、2015年の「秋柑」は個人的に大ヒットだった。数種類の柑橘類をミックスしたものだが、「甘くない」という一線はしっかり守っており、つい2ケースも箱で買ってしまった。

定番商品のレモンが昔の味に戻ることは諦めるとしても、この季節限定品ならば「当たり」を引き当てる可能性がある。
そう思っていたら、2018年9月、恒例の「秋柑」が発売開始となった。
期待を裏切られるのが怖いので、控えめに1缶だけ購入。

して、その味は――うーん。やや甘い。
レモン、うんしゅうみかん、オレンジ、シークヮーサーの4種類を使用しているとのことだが、蜜柑類2種類の味が支配的だ。もう少しレモンとシークヮーサーの比率が高ければよかったのだが。
とはいえ、「新・レモン」よりは断然好みであり、追加で2缶を購入した。
レモン果汁を足せば、好みの味により近づくかもしれない。

さらに半月ほどして、ドラッグストアで、とあるチューハイが目に留まった。
宝焼酎の「果実なキレ」というもので、「甘くない」と書いてあるので「そうはいっても…」と思いつつ原材料を見たら、「レモンリキュール・レモン」だそうである。
おっ、本当に甘味料無添加!

期待せずに1本購入し、帰宅して早速飲んだ。
味が薄い。おそらく、「本搾り」に比べて果汁の比率が低いのだろう。
アルコール度数は7%と「本搾り」より高いのだが、アルコール感は旧「本搾り」よりむしろ少ない。
結果として、味は何となくボヤーンとしていて、商品名にある「キレ」は実感できなかった。
レモン果汁を足して飲めば少し改善されるが、そこまでするなら、一から自分で作ったほうがマシだ。
<※注:2019年春に終売となったもよう。納得。>

最後にあらためて「中年の主張」を。

居酒屋で普通に出てくる、混ぜ物のない生レモンサワーが、なぜ缶で販売されないのか?

釈然としない気持ちで、今晩もチューハイを作るのだろう。