そろそろ夏も終わります。
エアコンの掃除をするにはよい季節です。
我が家のエアコンは夏も冬もフル稼働しているのですが、業者に依頼するエアコンクリーニングは9年間で一度も行っていません。
しかし、日々使っている中で内部の汚れが気になる場面もあり、ついにクリーニング業者選びを始めました。
エアコンのクリーニングに関して、ネット上の記事の9割は、何らかの広告といっていい状況です。
そんな中、本記事では、特定の業者からの広告料をあてにしない立場で、適切なクリーニング業者の選び方をご紹介したいと思います。
なお最初にお断りしておきますが、本ページに掲載されている広告は、私たちが意図して選んだものではありません。
たまたまエアコンのクリーニングの広告が掲載されている可能性もありますが、当サイトとして、その業者をおすすめしているわけではないことにご注意ください。
我が家のエアコンの汚れ具合
我が家のエアコンのうち、最も酷使しているのが居間のものです。
2010年に購入後、夏はほぼ終日、冬も朝晩を中心につけっぱなしです。
5年ほど経過し、吹き出し口から茶色い水のようなものが時々垂れてくるようになりました。
逆に言うと、それ以外に汚れを実感することはありません。
いわゆる「お掃除機能つき」ということもあって、購入後7年間は本当に何も手入れをしていませんでした。
8年目の夏、意を決して中を開けてみましたが、「ふーん」という感じでした。
そのときの詳細は以下の記事をご覧ください。
そして翌年、9年目の夏。気になってまた中を開けてみたところ、それほどの汚れはありませんでした。
しかし中を覗き込むと、取り切れていない汚れが見えます。
花粉の季節が終わってもムスコーのアレルギー症状(眼、鼻)が治らないこともあり、エアコン内部の清掃が必要か?という思いがにわかに強くなってきました。
クリーニング業者の選択基準は?
エアコンのクリーニングを行う業者は星の数ほどあります。
ということは、業者選びが難しいということでもあります。
何を基準に業者を選べばいいでしょうか?
「感じのいい対応」「明朗会計」といった視点もあるでしょうが、本記事では「エアコンを傷めず、十分に清掃してくれるか」という視点で選んでいきます。
エアコンのクリーニングの目的は、当然ながら「エアコンの内部をきれいにすること」です。
しかし実際には、素人が市販のエアコン掃除スプレーで掃除するのと大して変わらないレベルの業者もあるようです。
また、使う洗剤の種類によっては、エアコンの内部が腐食することもあるということです。
いくら感じのよい人が来るとしても、そんな業者には頼みたくないですよね。
業者を選ぶ前に、構造を知る
ということで、「ちゃんとした業者」を選ぶ方法――の前に、エアコンの構造を簡単に知っておきましょう。
エアコンのことを何も知らずに清掃業者と話をすると、足元を見られる可能性があります。
以下、冷房運転を例に話をしますが、暖房運転も、熱の流れが逆になるだけで、基本的には同じです。
室内機と室外機の役割
まず、エアコンの「室内機」と「室外機」についてです。
若干不正確ながら、ごく簡単にいえば、それぞれ以下のような仕事をしています。
- 室外機は「冷たいもの」を作り、室内機に送ります。
- 室内機は「冷たいもの」に部屋の熱い空気を当て、空気を冷やしてから部屋に送り出します。(「冷たいもの」は若干ぬるくなって室外機に戻ります。)
「冷たいもの」の正体は「冷媒」です。
昔だとフロンが使われていましたが、オゾン層破壊につながるというので、現役の家庭用エアコンはほとんどが「代替フロン」を冷媒に使っています。
室内機のクリーニングでは、通常、この冷媒を意識する必要はありません。
ただし、室内機を壁から取り外して完全に分解清掃する場合には、この冷媒の扱いもポイントになります。
室内機と室外機を切り離す前に、室内機側にある冷媒をいったん室外機に集める作業が必要になるからです。
室内機の部品名を知ろう
次に、クリーニングを行う室内機の構造について見てみます。
先ほどの解説のとおり、部屋の熱い空気を「冷たいもの」に当てて冷やし、部屋に送り出すというのが室内機の仕事です。
「冷たいもの」は金属製の管の中を循環していて、その管に「熱さ」「冷たさ」を効率よく伝えるため、金属製でヒダヒダの部品がくっついています。
これを「フィン」と呼びます。
下の写真で、縦縞になっているところ(埃が付着しているところ)がフィンです。
フィンはフィルターを外したところにあるので、素人でも目視できますし、エアコンのクリーニングの画像では必ず出てきます。
汚れの大部分はこのフィンに付着しています。
また、熱い空気を吸い込んで冷たい空気を吐き出すために、室内機にはファンが内蔵されています。
通常、このファンは「シロッコファン」と呼ばれる円筒形のもので、外からほとんど見えない位置にあります。
ルーバーを外して、シロッコファンを露出させたのが下の写真です。
黒い部分がシロッコファンです(ここが回転して風が出ます)。
ファンにも埃やカビが結構付着するので、きれいにしたいところです。
主要な部品は以上の2点ですが、あと2点、よく名前の出てくる部品をご紹介します。
まずはフィルター。
これは皆さんご存じですね。フィンに埃がつかないように、吸い込んだ空気のゴミを捕集するものです。
俗に言う「お掃除機能つきエアコン」では、このフィルターの掃除を自動でやってくれます。
そうでない場合は、掃除機などで月に数回、埃を吸い取るというお手入れが必要です。
そして、やや聞き慣れないのが「ドレンパン」。
「ドレン」というのは「排水」あるいは「排水管」のことです。
エアコンを冷房運転すると、室外機から少量の水が出てきますよね。
この水は、熱い空気がフィンで冷やされたときに結露して発生するものです。
元は部屋の空気中の水分ということになります。
この、フィンに発生した結露(=ドレン)を室外に捨てるため、いったん受け皿のようなものにドレンを集めます。これが「ドレンパン」です。
「パン」は「平らな鍋状のもの」ということで、「フライパン」の「パン」と同じような意味だろうと思います。
その業者、どこまで分解する?
さて、いよいよエアコンクリーニングの業者選びについて考えていきます。
業者ごとに大きく違うのが「どこまでエアコンを分解するか」です。
依頼前に、「どこまで分解するか」を正確に把握することが業者選びのポイントです。
その際に、エアコン内部の構造や部品名を知っていることが重要になってくるわけですね。
分解にもレベルがある
本ページでは特定の業者を推奨するわけではありませんが、エアコンの分解清掃を手がける業者で、分かりやすい解説を載せているところがありましたので、まずご紹介します。
エアコン洗浄の業者選び、本当にそれで大丈夫?洗浄方法の違いを比較
(ACクリーンサービス)
http://accleanservice.com/hikaku/
本来は営業用の内容だと思いますが、「エアコンクリーニング概論」としても非常に優れた内容です。
本ページの一部内容は、上記ページから得た情報によっています。
こういう業者ならお任せしてもいいなと個人的には思うのですが、残念ながら山口県の会社なので、私たちを含め、本ページの読者の99%程度は地理的に依頼不可と思われます。
さて、上記ページを読むと分かるのですが、ひとくちに「分解清掃」といっても、どこまで分解するかによって、手間も成果も(そして料金も)大きく変わってくるのです。
ポイント1:電子部品を外すかどうか
おそらく、最大の分かれ道は「電子部品を外すかどうか」だと思います。
エアコンの室内機は「冷たいものに空気を当てて、空気を冷やす」というのが仕事で、構造は思ったより単純です。
しかし、それを制御するために電子部品が多く使われています。
少なくとも、ファンを回すためのモーターと、そのスイッチをオンオフする回路は必要なので、電子部品ゼロということはあり得ません。
最近はセンサーで人間の居場所を感知する機種も多くありますし、「お掃除機能つき」も珍しくありません。
こうした機種だと電子部品は増えます。
この電子部品をどこまで取り外してクリーニングするか? そこが問題です。
電子部品を取り外さない場合、電子部品のところをタオルやビニールシートで覆って濡れないように処置してからクリーニングすることになります。
これでは、高圧洗浄機で電子部品のすぐ近くを思い切り水洗いすることはできません。
また、水滴が電子部品に付着した場合、腐食の原因となります。
特に強アルカリ性の洗剤を含んだ水滴だと、腐食が早いでしょう。
エアコンクリーニングの広告に作業風景の写真が載っていると思いますが、電子部品の部分をタオルなどで養生している様子がしばしば写っています。
「ウチは大して分解しません」と言っているようなものですね。
ポイント2:ドレンパンを外すかどうか
ポイント1をクリアした場合、次にチェックすべきは、ドレンパンを取り外して清掃するかどうかです。
前に説明したとおり、ドレンパンは「結露した水のたまり場」です。
言ってみれば、ドレンパンは汚水を一時的に溜めておく場所ですから、汚れていないはずがありません。
我が家のエアコンから時々茶色い水が垂れてくると書きましたが、今にして思うと、これはドレンパンから溢れてきた水でしょう。
クリーニングするからには、ここもきれいにしてほしいところです。
しかし、ドレンパンの取り外しにはかなり手間が必要なようです。
ドレンパンもクリーニングします!と書いてあっても、取り外さないでクリーニングする場合があるようです。
ドレンパンとフィンはかなり接近しているので、ドレンパンを壁から取り外さずに洗浄しても、汚れはとりきれません。
また、ドレンパンは前面だけでなく背面にもあります。
背面のドレンパンまできれいにしようと思うと、熱交換器をずらすか、熱交換器を残したまま、さらに背面のドレンパンだけを取り外すかする必要があるので、完全分解に近くなるようです。
ここまでくるとメーカーや機種による構造の差も大きく影響してきます。
具体的に「パナソニックのCS-EX229Aなんですが」などと機種名を伝えないと、どこまで取り外せるか回答できない場合も多いと思います。
クリーニングに何を求めるか?
以上のポイントをふまえた上で、業者選びの作業を始めます。
業者選びに正解はなく、自分がエアコンのクリーニングに何を求めるか?ということで、結果は変わってくると思います。
以下は私たちの考えですので、参考までにご覧ください
一度は徹底的にきれいにしておきたい
私たちの場合、エアコンのクリーニングを全くしないまま、9年目の夏を迎えました。
幸いにしてまだ壊れる気配はありませんし、顕著な能力低下もないので、もう何年かは頑張ってほしいところです。
エアコン購入当初、オットーはエアコンについて無知でしたが、エアコンの構造を調べ、何が汚れの原因なのか、どうすれば汚れにくくできるのかが分かってきました。
今、新品のエアコンを渡されたら、昔よりきれいに使えるのではないかと思っています。
だから、いったんエアコンの内部をリセットしたいのです。
それには完全分解、あるいはその一歩手前(熱交換器のみ残して他は完全に取り外し)が必要だと考えています。
業者選びのポイント(完全分解の場合を中心に)
完全分解を希望するとして、私たちが考える業者選びのポイントは以下のとおりです。
完全分解は電器屋の領域
完全分解までいくと、エアコンを設置できるだけの技術力がなければ対応できないだろう、というのが私たちの見立てです。
熱交換器を取り外すとなると、密閉されている冷媒を空気中に逃がさないよう室外機内に回収するという作業が発生します。
そして、熱交換器を取り付ける際にはこの逆、すなわち配管内を真空にした後に冷媒を解放する作業が発生します。
これはもう、エアコンの取り付け・取り外しそのものです。
また、完全分解を行う際には電子部品の取り外しも多く発生します。
通常、メーカの修理員以外の人が室内機を分解するということは、メーカは想定していません。ですから分解のためのマニュアルはありません。
(メーカとしては「分解清掃しなくても十分清潔に使えます」という立場のようです。ユーザの実感として、現時点の家庭用エアコンの機能で、内部のカビを完全に抑え込むことは難しいように思いますが…)
洗濯乾燥機の分解を自力でやったことがあるので分かりますが、分解マニュアルがない状況で初見の機種を分解するには、経験に基づく応用力が試されます。
こうした作業を、「キッチンやバスルームの清掃の傍ら、エアコンのクリーニングも請け負っている」という「ハウスクリーニングの専門家」に任せることには、やや違和感を覚えます。
もちろん、作業する人が電器店並みの技術を身につけていれば問題ないのですが。
一方、「エアコンの取り付け・取り外しの傍ら、クリーニングも請け負っている」という業者ならば、少なくとも室内機の取り付け・取り外しに関しては比較的安心して任せられます。
ちゃんと考えてから回答しているか?
最終的には、何社かに見積もりを取り、その際の反応を見て決めたいと思っています。
具体的には、見積もりを依頼したときに機種名まで尋ねてくるか、分解の範囲を具体的に説明してくれるかというところを判断基準にします。
分解の度合いが高まれば高まるほど、メーカー、機種ごとの分解方法の違いは大きくなってきます。
「○○社のエアコンでは、この部分の分解は困難です」といった解説をしているページも見かけました。
つまり、メーカーや機種によって、完全分解の難易度は大きく異なるということです。
メーカー名、機種名も聞かずに金額を回答してくるような業者は、奥の方まで分解しないつもりなのではないか?と疑ってしまいます。
もちろん、分解の範囲については重要事項なので具体的に質問します。
ここで口ごもってしまうような業者はダメでしょう。
安請け合いしない業者を選びたい
そして、料金について「変に安くないか」という点を確認します。
価格が妙に安いところは、手抜きクリーニングを疑います。
真面目に取り組めば、お掃除機能つきエアコンの完全分解は半日仕事だろうと思います。
少なくとも1時間で終わるとは思えません。
一方、クリーニングの料金は所要時間でほぼ決まると考えられます。
1日あたりいくら売り上げられるか? あるいは1日何件こなせるのか? そういったことから逆算して料金を決めていると考えるのが自然です。
つまり「安い=所要時間が短い」と考えられます。
具体的にどの程度の料金が妥当かというのは研究しきれていませんが、たとえば「完全分解」を謳っていながら1台10000円という業者があったとすると、まあ、どこかに問題があるんだろうな、と考えるのが自然です。
なお、完全分解清掃を行う業者の中には、いったん室内機を工場に持ち帰って清掃するというやり方のところもあるのですが、この場合、「清掃料金」の他に「取り付け・取り外し料金」を請求する業者があるようです。
見積もりを取る際には気をつけたいところです。
保証があるとベター
最後に、作業結果に対する保証があると明示していればベターです。
前述のとおり、エアコンの室内機を清掃のために(修理員でない人が)分解するというのは、メーカの想定外です。
つまり、分解の結果どこかが壊れたら、メーカ(あるいは家電店等の延長保証)は面倒を見てくれない可能性が高くなります。
修理が必要な場合、保証期間内でも有償修理になることでしょう。
また、特に古い機種であれば、分解の際に樹脂製の部品の爪部分が折れるといった「プチ損傷」は十分あり得ます。
こうした事態に対し、クリーニング業者が何らかの保証を用意しているか?というところは、依頼前に確認しておくべきでしょう。
まとめ:勉強しないとナメられます
以上、可能な限り中立な視点から、エアコンのクリーニング業者を選ぶ際のポイントについて解説してきました。
エアコンのクリーニングは、そもそも「自分でできない清掃を業者に任せる」というところが出発点です。
が、「任せる」と決まった時点で思考停止し、「何だかよく分からないから全部お任せ」というのでは、業者にナメられます。
効果的なクリーニングができなかったり、手抜きを許したりするのではないかと思います。
自力での分解は困難ですが、エアコンの構造自体はそこまで複雑ではありません。
この記事を参考に、エアコンの仕組みをある程度理解した上で、どのレベルまでの分解を希望するかを意識した業者選びをしていただければと思います。
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