我が家の洗濯乾燥機、パナソニックのNA-VR3500。
毎日のように乾燥機能を使っていたのですが、購入後8年にして、何度目かの「乾かない病」になってしまいました。
湿った温風の通り道に溜まった埃を取るため、前面パネルを外して清掃もしました。
しかし直らないので、ついに心臓部であるヒートポンプユニットの清掃にチャレンジすることにしました。
苦労したかいあって、効果は劇的でした。
新品同様といってもいいと思います。
難易度=中、ただし怪力が必要!?
始めに書いておきますが、この作業は、家電の分解としてはそれほど難しくありません。
外すネジは約20本ですし、「こんなところにこんなトラップが!」ということもありませんでした。
実に素直な、修理人思いの設計だと思います。
しかし、実際に作業に取りかかると、分解以前の問題が大きく立ちはだかります。
ヒートポンプユニットは本体の裏側にあるのです。
ということは――そうです。
あの重い洗濯乾燥機を引っ張り出して、裏側に人間が入り込まないといけないのです!
NA-VR3500の重量は実に82kg。普通の大人が一人で持ち上げられる重量ではありません。
しかも、洗濯機は防水パンの中に設置されていたり、脚の部分だけ嵩上げされていたりで、単純に引きずり出すだけではダメな場合が多いと思います。
10cm程度持ち上げたり、高さを保ったまま前に引き出したりしないといけません。
我が家の場合、こういう作業はオットーが一人でやるしかありません。
事前に作業手順を想定し、必要になりそうな資材はあらかじめ購入しておいたのですが、それでも相当苦労しました。
引っ張り出し作戦、我が家の場合
我が家の洗濯乾燥機は、軽量ブロック(レンガ状のもの)を脚の部分に置いて、6cmほど嵩上げされた状態で設置されています。
この「高さ6cm」を保ったまま移動しなければ無理だ。
そう思ったので、事前にホームセンターで軽量ブロックを4個追加購入してきました。
買ってきたブロックを既存の軽量ブロックの手前に置き、高さ6cmのエリアを広くするという作戦です。
その上で、前脚2本に段ボールを挟んで滑りやすくし、後ろを持ち上げて前脚に重量をかけた状態でズルズル引き出そうと考えました。
段ボールごときでは動かない
計画どおりに作業を始めたのですが、結論からいうと、段ボールを敷いたくらいではほとんど滑りません。
段ボールを敷いたのは「脚」と「軽量ブロック」の摩擦を小さくするためですが、実際には「軽量ブロック」と「床」の摩擦のほうが小さかったようです。
洗濯機を動かそうとしたところ、ブロックが床をズリズリ擦って、何cmか前に出てくることが何度もありました。
持ち家なので床に傷がついても困りませんが、借家なら冷や汗ものです。
では、軽量ブロックと床の間に段ボールを敷いてみたら?と思い、これも試してみたのですが、状況はあまり変わりませんでした。
いずれにしても重すぎて、ちょっとやそっとでは動かないのです。
荷物を運ぶ台車のようなものがあれば、あるいは簡単に引き出せたのかもしれない――そう思って探していたら、洗濯機専用の台車のようなものを見つけました。
これだよこれ! 引っ越しの際にこの商品を知っていれば…と思わずにはいられません。
父親が何か面白いことをやっているぞ!と作業を見守っていたムスコーに何度か手伝ってもらいながら、どうにかこうにか、洗濯機を50cmほど引き出しました。
これでついに、洗濯機の裏側とご対面です!
いやー、洗濯機の裏側を見てこんなに感動するとは、購入時には考えもしませんでした。
プロは「前に倒す」。しかし作業性は悪い
ちなみに、以前メーカーに修理を依頼した際には、洗濯機を引き出すのではなく、前脚を軸にして本体を前に回転させるように倒し、洗濯機の背面を露出させていました。
修理屋さんは、斜め45度ぐらいに倒して固定する治具を持ってきており、さすがプロはいろいろ考えてるな!と感心しました。
ただ、その後の分解作業は難しそうでした。斜めになっているわけですからね。
作業スペースが狭く、修理のプロでさえ、ネジを落としてしまうことも何度かありました。
それを見て「自分には真似できないな」と思い、今回は正攻法でまっすぐ前に引き出した次第です。
ヒートポンプユニットの取り外し、コネクタ多数!
ここまでくれば背面カバーを外すだけ。
銀色の背面カバーは上・中・下の3分割になっていますが、ヒートポンプユニットを外したければ、まず真ん中、次に下のカバーを外すことになります。
上記写真は真ん中のカバーだけを外した状態です。
下部に見える白っぽい箱がヒートポンプユニットです。
下カバーも外さないとヒートポンプユニットを取り出せないことが分かります。
空気の通り道のホースは簡単に外れます。
左側の白っぽいダクトは、はめ込んであるだけ。
また右側の黒い蛇腹ホースは、金属のクリップ2個で止まっているだけです(上記写真でも見えますね)。
あとは、ユニット下部に細い排水ホースがあります。
これもクリップで止まっているだけなのですが、外すと結構な量の水が出てきます。
タオルを用意しておきましょう。
以上の作業を終えると、ヒートポンプユニットと洗濯機本体をつなぐものは電気配線のみとなります。
コネクタが7つか8つあったように思います。
大半のコネクタは、水濡れ防止のシートでくるまれていました。
ようやくユニットを外せました。
ちなみに、今まで作業したところに顕著な汚れはありませんでした。
湿った空気の通り道には多少の埃が付着していましたが、乾燥の妨げになるほどのものではありません。
ついに分解! ヒートポンプユニット
ヒートポンプユニットを別室に持っていき、広いところで分解作業を始めます。
先ほどの写真で左側がヒートポンプ、右側が風を作るファンです。
カバーを取り外す前に、穴から中を覗いてみました。
確かに細かい埃はありますが、そこまで深刻には見えません。
そこで白いカバーを取り外します。
上面だけでなく、右側面にもネジが1本あります。
きちんと清掃するには、ファンも取り外したほうがよいと思います。
右側面のネジ2本を外せば簡単に外れます。
ファン自体はほとんど汚れていませんでした。
フィンがフィルターになってしまっているのでしょう。
ご本尊がついに姿を現しました。
フィンには埃がびっしりと詰まっています。これは効率が悪そうです。
フィンも汚いが、受け皿も汚い
このままの状態でも埃は大体とれるのですが、せっかくだからと、フィンを外に取り出すことにしました。
電気配線が1本出ているので、これをユニット下部の固定具から外します。
この状態でヒートポンプとフィンを持ち上げると、丸ごと外れます。
黒い円筒形の部分が重いので、無理な力を加えないように注意してください。
取り出してみて、驚いたのはフィンの汚れではなく、黒い受け皿部分の汚れです。
洗濯物の湿気がここに落ちて排水されることは分かるのですが、排水の経路は迷路のように狭く曲がりくねっています(排水口は下の写真の中心部にある丸い穴です)。
そして、至る所にヘドロのような汚れが溜まっていました。
もしや、この汚れのせいで排水がうまくいっていなかった?
電気配線やセンサーもあるので、ジャブジャブ丸洗いするのは危険そうでしたが、水の通り道を中心に、シャワーと爪楊枝などを使って清掃しました。
フィンの掃除は慎重に!
そして本題のフィンです。
フィルターを通ったあとなので細かい埃しか来ないはずですが、文字どおり「塵も積もれば」というやつで、なかなか頑固な汚れになっていました。
掃除機で表面を吸ったくらいではビクともしません。
ヒートポンプユニット交換から約5年間でこの汚れです。
(ちなみに裏側は新品同様でした。)
パナソニックの最新機種には、このフィンについた埃を少量の水で洗い流す機能がついているそうです。
確かにそういう機能が必要だなと思わずにはいられません。
フィンは極薄の金属板なので、ちょっとした衝撃ですぐに曲がってしまいます。
それは分かっていたので、気を付けて作業したつもりでしたが、取り外す際に何箇所か曲げてしまいました。
多少なら機能に影響はないと思いますが、フィンが曲がると風の通りが悪くなることは間違いないので、歯ブラシなどを使って、極力優しく、埃を取っていきます。
これ以上曲げるのが怖いので、9割ぐらい埃がとれたところで終了としました。
あとは逆順で組み上げていくだけです。これは特に苦もなく終了しました。
最後に難題が待っていた
しかし最後に難題が待っていました。
はい、洗濯機を元の場所に戻すという作業です。
引き出す時と同じように押し込んでいったのですが、左右にほとんど余裕がないこともあり、実に苦労しました。
脚が軽量ブロックから落ちそうになって冷や汗をかく場面もありました。
軽量ブロックの小移動はムスコーにお願いしましたが、これだけでも実に助かりました。
力仕事は自分一人でやるにしても、アシスタントがいれば作業効率はだいぶ上がります。
猫の手でもウェルカムです。
一人暮らしでなければ、躊躇せずヘルプを要請しましょう。
小1時間格闘したでしょうか。ようやく元の位置におさまりました。
前面を分解したときには排水ホースが外れて冷や汗をかきましたが、今回は大丈夫そうです。
効果実感! 乾燥時間は3分の1に!
試運転も兼ねて、厚手の洋服を1枚、洗濯~乾燥してみました。
最初の30分は「早くなった」という実感がありませんでしたが、1時間半も回すとしっかり乾いていました。
そして夜。大量のタオル類を含めたヘビーな洗濯物を入れ、洗濯~乾燥と連続して運転してみました。
効果は期待どおりでした。
夜中1時過ぎに運転を始め、乾燥開始が2時半ごろだと思いますが、朝5時半に目覚めたときにはすでに運転が終わり、「ふんわりキープ」の状態になっていました。
清掃前は10時間かかることもあったのに、今日は3時間足らずで終了です!
中を開けてみると実にカラッと乾いています。これですよ、これ!
まとめ:洗濯機を引き出せれば、手軽に掃除できる
ということで、素人のできる範囲で最も高度だと思われるヒートポンプユニットの分解清掃は無事に終了しました。
長々と書いていますが、私(オットー)は元々DIYなど全くやらない人です。
その私にもできましたので、大抵の人はできると思います。
何度も書くようですが、洗濯機を前に引き出してくるところが最難関です。
もし、この作業を楽にできるのであれば、ヒートポンプユニットの分解清掃は年に1回実施してもいいくらいだと思います。
前面パネルを外して行う埃取りも同時に実施すれば、乾燥機能はまず間違いなく復活します。
「もう買い替えるしかないかも…」と思っている方。
買い替える覚悟があるなら、一度、自力で分解清掃してみませんか。
その他の洗濯乾燥機記事まとめ
気付けば、当ブログで一番読まれている記事が洗濯乾燥機のメンテナンス関係ということになってしまいました。皆さんお困りなのだと思います。
以下に関連記事をご紹介しますので、気になるものがあればぜひお読みください。
まずは「乾きが悪い」という症状の予防から。
それでも乾きが悪くなってしまった場合、本記事のほか、前面の清掃も検討しましょう。
さらに、何らかのエラーが出た場合の対処法を。
故障によっては部品だけ買ってきて、自分で修理することもできますよ。
最後に、修理の人に聞いた寿命の話を…
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