比較的新しい家だと、電源やテレビのアンテナだけでなく「LANコンセント」が備わっていることも多いと思います。
特に集合住宅の場合、そこに接続すればすぐにインターネットが使える、という物件も多くあると思います。
私もそういう賃貸物件に引っ越したのですが、せっかく各部屋にLANコンセントがあるので、単にインターネットに接続するのではなく、LANコンセントを家庭内の有線LANとしても使いたいと考えました。
ちょっと探った結果、大がかりな工事も必要なく、望みどおりの使い方ができましたので、ヒントになればと思い、その顛末を書き残しておきます。
我が家のネットワーク事情
まず、我が家にある「ネットワーク機器」について、前提条件として簡単に紹介します。
大元に無線LANルータがあります。
スマホやノートPCは無線LAN接続で使っています。
あとはプリンタがあり、ネットワーク接続(無線・有線)に対応しています。
なので、無線LANだけでも暮らせないことはないのです。
電波が隅々まで届かない!
ただ、賃貸マンションに転居したところ、鉄筋コンクリート造のため、無線LANルータを家のど真ん中に置かないと、電波が家全体に届かないということが分かりました。
以前は木造の一戸建てに住んでいて、置き場所も1階のほぼど真ん中だったので、特に問題にはならなかったのですが…
このことで最初に音を上げたのは、意外にも、プリンタでした。
一応は使えるのですが、気付くとエラーを吐いています。
無線LANルータの置き場所を変えればいいのですが、LANコンセントが付近にあり、かつ棚などがある場所となると、選択肢がほとんどありません。
LANコンセントと言いながら、LANじゃない件
引っ越しのバタバタも一段落したころ、ふと思いました。
各部屋にLANコンセントがあるけど、これ、LANとしては使えないよね?と。
コンセントの先は闇
転居先のマンションは「無料でインターネットが使える」ということになっています。
接続方法について、一応パンフレットはもらったと思うのですが、要はLANコンセントにケーブルを挿せば使えます、といった程度のもの。
無線LANルータを挿してみると、確かにいきなりIPアドレスがもらえて、インターネットにつながります。
もらったIPアドレスは「10.149.xxx.xxx」。
グローバルIPアドレスではなくプライベートIPアドレスでした。
サブネットマスクは「255.255.252.0」なので結構なホスト数(約1000台分)であり、「一戸あたり一ネットワーク」ではなく、マンション内が単一のネットワークになっているのでは?と推測されます。
推測は間違っているかもしれませんが、実際のネットワーク構成が分からない以上、このコンセントをLANとして使うのは危険です。
しかし有線LANがほしい
転居した当時は、居間のLANコンセントに無線LANルータを接続し、あとのネットワーク機器はすべて無線LANで接続していました。
つまりLANコンセントは一口しか使っていませんでした。
面倒だからこのまま過ごそうかとも思ったのですが、冒頭に書いたとおり、電波の通りが悪いのです。
せめて、居間から遠い部屋にあるプリンタだけでも、有線LANで接続したいと思いました。
プリンタを設置した部屋にもLANコンセントはあるのですが、これは前述のとおり「マンション内共通LAN」の可能性もあるわけで、怖くて使えません。
賃貸物件ですから、大がかりな工事もできません。
さて、どうしたものか…
まず風呂場を疑え
まずは宅内の配線がどのようになっているか、把握したいところです。
ここで過去の経験が生きてきました。
カギは風呂場にあるんじゃないか?と思ったわけです。
一戸建てでのDIY経験
マンションに引っ越してくる前、私は新築の戸建て住宅に住んでいました。
新築時に、オプションとして「LANコンセントの設置」というのがありました。
しかしコンセントの設置までお願いすると結構高いので、LAN用の配管のみを準備してもらい、配線やコンセントの新設はDIYでやることにしました。
建物の引き渡しの際に説明を受けて知ったのですが、LANに限らず、電話やテレビの配線は浴室の天井が「ハブ」になっているのでした。
浴室といえば湿気がたまるイメージですよね。
そんなところに、なぜ配線が集まっているのか?と思いました。
しかし実際には、浴室の天井裏は特に湿っていません。
ユニットバスの場合、浴室の天井には点検口がついていると思います。
蓋を押し上げれば容易に開く一方、蓋にはパッキンや磁石がついていて、しっかり密閉されていることが分かります。
入居後、この浴室天井裏にスイッチングハブを設置し、各部屋までLANケーブルを引いて、LANコンセントを各部屋に設置しました。
マンションもこのタイプだった!
前置きが長くなりましたが、ある日、マンションの浴室点検口を開けてみました。
あったー!
やっぱり、この建物も浴室の天井裏を配線スペースとして使っているのでした。
壁面に白いスイッチングハブが取り付けられ、そこから宅内5つのLANコンセントに向けて、水色のLANケーブルがオレンジ色の電線管に入って延びていることが分かります。
そのほかに電話線、テレビ用の同軸ケーブルもここで分配されていました。
ということで、まずは浴室の点検口を開けてみるべきです。
簡単な接続替えで、LANコンセントが本当にLANになる
ここまで分かれば、あとは簡単です。
賃貸物件なので既存の設備を大幅にいじることはできませんが、それでも「LANコンセントをLANとして使う」程度の改造なら十分にできます。
入居時のネットワーク構成
まず、現状(手を加える前)の宅内のネットワークは以下のようなイメージです。
LANコンセントは「マンション内共通LAN」の所属なので、宅内で閉じたLANとして使うことはできません。
そこで、LANコンセントに無線LANルータを接続します(図の左下)。
このルータに無線で接続する限りは、宅内で閉じたLANでの通信となるので、ネットワークにプリンタを接続する等、ある程度無防備な通信をしてもセキュリティ上の不安はありません。
ただ、無線LANでは場所によって電波状態に難があります。
配線変更後のネットワーク構成
そこで今回、風呂場の天井裏に無線LANルータを移設し、以下のように配線を変更しました。
インターネット(マンション内共通LAN)から来ているケーブルは、従来、備品である宅内スイッチングハブに入っていました。
このケーブルを抜いて、無線LANルータのWAN側に差し替えます。
そして、無線LANルータのLAN側から出たケーブルを、宅内スイッチングハブ(先ほどケーブルを抜いて空いたポート)に接続します。
配線変更はこれだけです。
つまり、インターネット(マンション内共通LAN)と宅内スイッチングハブの間に無線LANルータを割り込ませたわけです。
これにより、宅内スイッチングハブやLANコンセントは宅内LANの所属になります。
無線LANと同様、プライベートなネットワークとして安心して使えます。
ケーブル1本の接続先を変更するだけなので、風呂場の天井裏で大がかりな工事をする必要はありません。
用意するものは、無線LANルータ(有線LANポートあり)とLANケーブル1本だけです。
無線LANルータを宅内スイッチングハブの近くに設置すれば、ケーブルが届かないということもないでしょう。
これで、LANコンセントは本当に「LAN」となり、特に暗号化などしなくても他人から見られる心配はなくなりました!
スマートフォンなど、無線LANで接続する機器は、これまでどおり無線で接続できます。
風呂場の天井に無線LANルータを置いて大丈夫?
心配したのは、風呂場の天井に無線LANルータを置いたら、部屋の隅の方は今まで以上に電波状態が悪くなるのでは?ということでした。
ユニットバスは金属製の殻で覆われているので、電波を妨げそうな感じもします。
しかし我が家の場合、風呂場の天井に無線LANルータを設置したところ、逆に電波状態はよくなったのです!
こればかりは間取りによるので何とも言えませんが、少なくとも我が家では、風呂場の天井に無線LANルータを置くと各部屋への見通しがよくなり、無線LAN信号の受信レベルが改善しました。
これまで、電波が弱くてしばしば接続が切れていたプリンタも、エラーを吐く頻度が10分の1以下に激減しました。
まとめ:バスタブの上にハブあり
ということで、本記事のタイトルに反し、我が家は今も無線LANだけで暮らしています。
ただ、家にあるLANコンセントは無線LANルータに接続されていますので、その名のとおり「LAN」の入口になりました。
パソコンもノート型を中心に、無線LAN接続が当たり前になりました。
しかし安定性では有線LANも捨てがたく、デスクトップパソコンやプリンタ、テレビなどは有線LANで接続したいところですね。
その際、LANコンセントがあればスマートに配線が可能です。
賃貸物件でも、ちょっとした工夫でLANコンセントを自分好みに使うことができますので、お試しください。
コメント