クロス取引、売買を別会社にして手数料を節約できる?

我が家で毎月のように実践している「クロス取引」。この取引にかかる手数料は「現物株購入」「信用売建」「貸株料」の3つです。

このうち「現物株購入」については、手数料のおトクな証券会社を選べば、通常より多少節約できることがあります。
ただし手間と時間がかかります。また、限られた資金を効率的に運用するには不向きです。

人気銘柄を早めに押さえる(=時間的に余裕がある)場合には有効かと思いますので、ご紹介します。

クロス取引の復習

「クロス取引」と聞いて「何だそれは?」と思った方は、以下のページをまずお読みください。

昨日、日本毛織(ニッケ)から500円のクオカードが届きました! 最近話題の株主優待です。オットー、ツマー合わせて1000円の収入となりました...

ごく簡単に復習すると、「現物株を買う」と同時に「信用取引で同数の株を売る」ことにより、株価が変動しても損をしない(得もしない)状況を作り出すのがクロス取引です。

実質的に株価の変動はゼロになるので、売買手数料などのコスト分だけ、必ず損をします。
ただ、現物株を購入するので、権利確定日まで待てば株主優待を得られます(配当金は実質的にはもらえません)。
株主優待の価値が売買手数料などの取得コストを上回れば、トータルでは得になるというわけです。

クロス取引は証券会社を選ぶ…のは「売り」だけ

以前、別の記事でもご紹介しましたが、クロス取引は証券会社選びが最大のポイントといえます。株の在庫は各証券会社でまちまちだからです。

何はともあれ、証券会社に口座を作らなければ株主優待生活は始まりません。 証券会社の口座ならもう持ってるよ!という方は多いと思います。が...

在庫のある証券会社でないとクロスできない

クロス取引で一番難しいのは、お目当ての銘柄を「一般信用売り」することです。

「一般信用売り」というのは、個々の証券会社が持っている株を借りてそれを売ることです。つまり証券会社によって在庫があったりなかったりするわけで、どの証券会社を選ぶかというところが最重要になってきます。

我が家では、基本中の基本、カブドットコム証券を主に利用しています。在庫している銘柄の多さ、在庫の豊富さは業界随一です。

現物株購入も同じ証券会社が有利

繰り返しにになりますが、クロス取引では「現物株の購入」のと「信用新規売り」を同時に行います。

通常、この2つの取引は同じ証券会社で行います。必須ではありませんが、それが一番面倒でなく、かつおトクだからです。

「現物株の購入」と「信用新規売り」を別々の証券会社で行うと、権利落ち日に不都合が生じます。最後の「品受け」ができないのです。

たとえば100株のクロス取引をしたとします。100株を証券会社から借りたので、これを返済することで取引が終わります。借りている間じゅう貸株料が発生するので、通常は権利落ち日(権利確定日の翌営業日)にすぐさま返済します。

売建玉の返済方法の一つとして、株の現物を証券会社に納めることで返済することができます。これが「品受け」です。
品受けは手数料無料としている証券会社が多いようです。ここが手数料節約のポイントになります。

ただし、品受けする場合、株の現物は「株を借りた証券会社」の口座になくてはなりません。他社の口座から直接返済することはできません。

品受けでなく、現金で返済することも可能です。つまり現物株は普通に売却する一方、信用売の建玉は、現在の株価で株を買って返済するという方法です。
これなら現物株が別の証券会社にあっても可能ですが、「現物株の売り」と「信用売建玉の返済」のそれぞれに取引手数料が生じます。この両方が無料になるということは稀で、有料と考えたほうがよいでしょう。

以上をまとめると、取引終了時の手数料を抑えるためには品受けが有利であり、そのためには「現物株」と「信用売建玉」を同じ証券会社に置いておく必要がある、ということになります。

現物株の購入はどの証券会社でもいい!

以上を読むと、「なるほど、現物株と信用売りは同じ証券会社でやるのがおトクなんだね」と思われたかもしれません。

ただ、品受けの条件である「現物株と信用売り建玉が同じ証券会社にあること」という制約は、あくまで品受けをするとき、すなわち権利落ち日に満たされていればよいだけです。それまでの間は、現物株が別の証券会社にあっても構いません。

ということは――そうです。現物株を他の証券会社で買っておいて、あとで「お引っ越し」すればいいのです!

現物株は別の証券会社に移管できる

一昔前は、株を買うと「株券」という現物を手にすることができました。普段は証券会社の口座に入っているので目にすることはありませんが、口座のある証券会社に言えば、現物の株券を送ってもらえました。その株券を別の証券会社の口座に預け直すこともできました。

今は株が完全に電子化されていて、株券というものはありません。しかし、株券があったときのように、現物株を他の証券会社に預け替えるということは今でも可能です。

これを利用すれば、売買手数料を見て、現物株購入をA証券で、信用売りをB証券で行うという「いいとこどり」が可能です。売買成立後すぐにA証券の現物株をB証券へ移管する手続きをとるわけです。

手数料の安い会社を選べば、さらにおトクに

では実例をご紹介します。

オットーの場合、カブドットコム証券のほかに松井証券に口座を持っています。
松井証券は1日の売買高が10万円以内の場合、手数料がなんと0円です。10万円以下の株を買うなら絶対におトクです。

ということで、2018年2月決算に向け、イオン北海道(7512)の現物株を松井証券で購入しました。代金は100株で約8万円ですから、当日中にほかの取引をしなければ手数料はゼロです。カブドットコム証券であれば手数料が100円弱(おそらく97円)かかるところです。

その一方、カブドットコム証券でイオン北海道を100株、一般信用売建しました。
同じ日の朝8時台に注文したので、どちらも9時ちょうどに取引が成立し、現物株購入と信用売建は同価格になりました。
違う証券会社からの注文であっても、価格を決める場は同じ東京証券取引所ですから問題ありません。

「いいとこどり」に死角はないのか

手数料が節約できてよかったね!で記事を終わりたいところですが、デメリットにもふれておかねばなりません。以下、続けて上記の事例で説明します。

デメリット1:手間がかかる

約定したらすぐさま松井証券に現物株の移管を申請するのですが、手続きは郵送のみの受付です。今どき郵送ですか! 他の証券会社はどうだか分かりませんが。

申込用紙と送付用の封筒はいずれもPDFファイルをダウンロードして印刷することで入手可能(郵送で取り寄せることも可能)。郵便料金は松井証券が負担してくれるという太っ腹な対応です。
しかし、取引がネット上で完結するのに、移管手続きは郵送のみ、というのは面倒です。

なお、松井証券、カブドットコム証券とも他社からの移管、他社への移管に対して手数料はかかりませんが、全ての証券会社がそうであるとは限りません。
ここで手数料が発生するようだと、わざわざ他社で現物株を購入することのメリットが大きく減殺されます。注意してください。

デメリット2:時間がかかる

郵送というステップが入るわけですから、当然、即日完了というわけにはいきません。おおむね1週間前後は見ておく必要があります

私たちの場合、1月16日朝に書類を投函しました。都内から都内への郵便物なので、1月17日(投函から1営業日後)には松井証券に到着するはずです。
ただ、1月18日18時現在では、松井証券の「預り残高一覧」画面にイオン北海道の表記があり、システム上では手続きが進んでいないようです。

…と実況を続けていくつもりでしたが、数日間「監視」を怠っていたところ、1月23日18時ごろにはカブドットコム証券のほうでイオン北海道株を確認することができました。また、同日中にメールで「移管入庫完了通知」というのが届きました。
ポスト投函から1週間後(5営業日後)ということになります。

以上のように、移管申請後1週間程度は現物株に手を触れることができません。権利落ち日ギリギリに移管を申請したら、移管が完了するまで品受けすることができず、貸株料が余計にかかります。へたをすると手数料の節約分が飛んでしまいます。

ですから、この手法は時間的に余裕のあるとき、すなわち「人気銘柄なので、権利確定日まで時間があるが在庫が尽きる前に確保した」というときに限定すべきです。

デメリット3:資金が分散する

最後に、これは資金豊富な方には当てはまりませんが、手持ち資金が複数の証券会社に分散することで、機動的な対応が取りづらくなるというデメリットが挙げられます。

私たちの場合、基本的にはほとんどの資金をカブドットコム証券に預けっぱなしです。全ての取引がカブドットコム証券で完結するなら、これで何ら問題はありません。
また、預けてある現物株を担保に信用取引を行うこともできるので、限られた資金を有効に活用できます。

ところが、今回のように「現物株は松井証券で買う」となると、その分の資金をあらかじめ松井証券に移しておく必要があります
手持ち資金に余裕がなければ「カブドットコム証券から引き出して松井証券に移す」ということになりますが、これをほぼリアルタイムで済ませるには、営業日の早い時間帯に手続きする必要があります。これを守らないと資金の移動が翌営業日以降になってしまい、「今、取引したいのに資金が別の証券会社にある」という理由でタイミングを逃す結果となります。

具体的には、カブドットコム証券の出金期限が午後(三菱東京UFJ銀行の一般的な支店の口座へは15時30分)までです。
出金はほぼリアルタイム(1時間以内)に行われると思いますが、さらにその後、松井証券へ当日中に入金するには営業日の15時までの手続きが必要です(ネットリンク入金の場合)。
結局、営業日の14時ごろまでに出金を行わないと、当日中の資金移動は無理ということです。まあ、クロス取引は通常朝9時に行うので、翌営業日の開始時点で資金が移動していればいいのですが。

以上はカブドットコム証券→松井証券の事例で、かなりスピーディな部類に入る資金移動ですが、証券会社の組み合わせによってはさらに時間を要することもあるでしょう。まず出金するところで1営業日待たされる、という例が多いように思います。

さらに、買った株を移管するにも時間を食い、移管が終わるまではそれを担保にした新規建玉ができません。

まとめ:手数料をいくら節約できるか、よく考えてから

以上、クロス取引の手数料をさらに安くするための「裏技」をご紹介しました。

本記事ではイオン北海道の例を出しましたが、この裏技を使って節約できた手数料はわずか100円未満です。そのために郵送で移管手続きを行うなど、けっこうな手間をかけています。
偉そうなことを書いて恐縮ですが、会社員の方、100円稼ぐのに何分かかりますか? どう考えても10分未満ですよね。しかるに、移管手続きや資金の移動などに、おそらく10分以上はかかるのです。目先の100円を追い求めていると、自分の貴重な時間を失います。

もちろん、証券会社やその人の取引状況により手数料の節約額は違ってきて、ひょっとしたら1000円以上の節約になることもあるかもしれません。
重要なのは、一手間かけることでいくら手数料を稼げるのか?ということ。そもそも、それを把握することに時間がかかるようなら、素直に同じ証券会社で取引するのがいいと思います。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

フォローする

AdSense 関連コンテンツ

スポンサーリンクと関連コンテンツ