クロス取引にもリスクあり!株式分割で大失敗した話

株主優待で年利3%

我が家で実践しているクロス取引は株価変動の影響を受けません。取引コストは事前に計算できます。
その企業が倒産でもしない限り、実質的にノーリスクといえます。

ところが2018年2月、企業が倒産したわけでもないのに、購入した現物株と建玉が無駄になってしまうという事態に遭遇しました。
玄人からすれば「不注意」と言われそうですが、素人には発見が難しく、交通事故みたいなものでした。

具体的には、株主優待の権利確定と同時に、株式の分割が行われたのです。
この影響で、信用売建玉が権利確定の前日に強制返済となってしまったのです。

気付いたきっかけは一通のメール

この事件の舞台となったのは、中華食堂「日高屋」を運営するハイデイ日高(7611)です。
自社の飲食券をけっこうもらえるとあって人気があり、私たちはかなり早め(1月29日)にクロスしていました。

あとは権利落ち日を待つばかりと思っていた2月8日、突如としてカブドットコム証券(当時)からメールが届いたのです。
タイトルは「建玉返済期日にご注意ください」。えっ!?

あわててメール本文を読むと、ハイデイ日高の売り建玉は、返済期日が2月22日となっています。

長期と短期を間違えたか?

最初に思ったのは「長期と短期を間違えたか?」ということです。

カブドットコム証券(現・auカブコム証券)の一般信用売りには「長期」と「短期」があり、それぞれ対象銘柄が決まっています。
長期の銘柄は3年間ポジションを保有できるのですが、短期のほうは14日しか保有できません。
つまり、短期の銘柄は、株を借りたら14日以内に返済しないといけないということです。

権利確定日に売り建玉して、翌営業日に返済するような取引だと、2日間しか借りていないわけですから、長期でも短期でも関係ありません。
しかし、私たちが実際にクロス取引を行う銘柄はほとんどが長期です。
おそらく、短期の銘柄は扱ったことがないと思います。

というのは、短期の銘柄はだいたい在庫が数千株(単元が100株だとすると数十人分)しかないからです。
人気があるから早めに建玉…と思っても、14日しか保有できないので、権利落ち日の約2週間前までは手出しできません。
そして「今日から建玉してよい」という日になると、一瞬で売り切れてしまいます。

説明が長くなりましたが、ハイデイ日高は長期の銘柄です。それを確認して建玉したはずでした。
それが、実は短期の銘柄だったのか?と焦ったわけです。

しかし、落ち着いて考えると、ハイデイ日高を売り建玉したのは1月29日で、返済期日は2月22日となっていますから、短期ではありません(14日以上保有できています)。

はて?

こんなルールがあったの!? 株式分割時の信用取引

調べてみると、すぐに理由が分かりました。株式分割です。
冒頭に書いたとおり、決算と同時に株式分割を行うのだそうです。
そのため、通常はポジションを3年間(現在は10年間)保有できるところ、権利確定日の前日までに返済しなさいということになったのでした。

しかしなぜ、株式分割があると、強制返済になってしまうのでしょう?

通常は分割しても問題ない

決算と同時に株式の分割が行われることは珍しくありません。
私たちの取引してきた銘柄でも何度かそういうことがありました。

が、これまでは特に影響を受けることがありませんでした。
たとえば1株を2株に分割するのであれば、100株ぶん建玉したものが、分割日を境に200株ぶんに化けてくれ、何の問題もなく取引できました。

だから、株式の分割に注意を払う必要性を感じていなかったのですが、ここに落とし穴がありました。

整数倍でない分割が問題だった

今回、ハイデイ日高の株式分割は1:1.2、つまり1株を1.2株に分割するという中途半端なものでした。
これが問題を引き起こしたのです。

auカブコム証券のサイトをよく読むと、株式分割時の建玉の取扱いについてきちんと記載されています。

これによると、分割が「整数倍」か「小数倍」か、ということで話が変わってきます。

たとえば「1株→2株」「1株→100株」といった、分割後の株数が分割前の整数倍になる場合には、建玉の株数が調整されます。
要は、うまいことやってくれます。

一方、「1株→1.2株」のような、分割後の株数が分割前の小数倍になる場合には、一般信用取引では「権利付最終日の前営業日に、返済期日が繰り上げとなります」だそうです。
制度信用取引ならまだ救いがあるようなのですが…

100株が分割して120株になると端株の扱いが面倒だから、分割前に全部返済してくださいよ、一般信用で貸してる株はウチの証券会社の持ち物なんだから文句言わないで従ってよ!ということなのでしょうか。ともかく、遭遇したらアンラッキーなことではあります。
参考までに、これもクロス取引で人気のあるSBI証券についても調べてみましたが、やはり一般信用売りの建玉は、小数倍の分割の際は権利確定日までに返済する必要があるようです。

対策はあるのか?

以上のような事情を把握し、ひとしきり落胆しました。

が、返済期日までポジションを持っていても優待がもらえるわけではありませんし、クロス取引をやめて(売り建玉だけ決済して)現物株で勝負しようという気にもなりません。
メールを読んだ直後に大人しく品渡しを行い、清算を完了しました。

株主優待をもらえないのに、現物株の購入、信用新規売り建玉、そして貸株料と、手数料だけはとられてしまいました。
まあ合計しても1000円に届くかどうかというレベルですが、ガッカリしたことは確かです。

今後、このような事件に巻き込まれないためにはどうしたらいいのか?と考えましたが、目を付けた銘柄のIR情報をこまめにチェックするしかありません

実は、取引前にプレスリリースが出ていた

今回思ったのですが、会社としては、「株式分割を行う」という情報は、分割のどれくらい前までに発表すればよいのでしょうか?

ちょっと調べてみたところ、会社法第124条3項に定めがあり、株式分割のような、既存株主に影響のある事柄については、基準日の2週間前までに公告を行う必要があるのだそうです。
つまり分割の2週間前までは黙っていても違法ではないということで、このタイミングで言われると厳しいものがあります。

一方、ハイデイ日高のプレスリリースを調べてみると、ハイデイ日高が株式分割を公表したのは1月12日でした。プレスリリースは会社法に基づく公告にはあたらないと思われますが、手段はどうあれ、自主的に早めに発表してくれていたということです。

一方、私たちがクロス取引を行ったのは1月29日です。
プレスリリースには「1:1.2」ということも明記されていますので、これをチェックしていた人は、少なくともカブドットコム証券の一般信用売りは利用しなかったはずです。

オットー
オットー

ここに玄人と素人の差が出るわけです。

また、確証はありませんが、株式分割の情報があれば、取引画面に「取引注意情報」のような文言が表示されるのではないかと思います。
このお知らせは公告まで出ないのか、プレスリリース等の「公告ではないが確かな情報」があれば出るのか分かりませんが、いずれにしても私たちは、こうしたお知らせを特に確認もせず取引していました。
ちゃんと注意しないといけないのですね。

まだまだ株取引は奥が深い

以上、ちょっと調子に乗ってきた素人が、よく確認せずに取引して失敗したという例でした。

分かった気になって記事を書いていますが、まだまだ分からないことが多いということがよく分かりました。

オットー
オットー

今回の一件は、「ネタをやるから手数料払え」という、ブログの神様の配慮でしょうか…

子サイトはじめました!
本記事をお読みいただき、ありがとうございました。

全くの素人が持ち家を売り、賃貸へ引っ越した記録を時系列でまとめたサイトを運営しています。
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