クロス取引、資金不足時の裏技が! ただし落とし穴に注意

クロス取引で株主優待を入手している我が家。

3月や9月の優待ラッシュ月には手持ち資金を全部使っても希望銘柄を買い切れず、余力の限界ギリギリまで取引しています。

そのあたりの事情は以下の記事をご覧ください。

昨日、日本毛織(ニッケ)から500円のクオカードが届きました! 最近話題の株主優待です。オットー、ツマー合わせて1000円の収入となりました...

この銘柄をクロス取引したいのに、余力があと数万円足りない――そんな悩みを抱える方も多いと思います。

そんなときに使える裏技があります。「信用買い」からの「品受」です。

これでクロス取引特有の資金不足問題を乗り越え、真の限界まで取引することができます

しかし、通常の方法に比べて一手間が必要です。

その「一手間」をうっかり忘れると、手数料だけ取られて優待はもらえないという残念な結果になります。

私たちは1件やらかしてしまったので、自戒と注意喚起を兼ねてご紹介したいと思います。

50万円の株は、50万円では買えない?

1株5000円の株を100株購入するのに必要な金額は? 50万円ですね。

手数料を考えても501,000円ぐらいでしょうか。
(以下、面倒なので手数料は考えないことにします。)

ところが、買付余力(手持ち資金)が51万円ある状態で、50万円ぶんの株を買おうとすると、「資金が足りません」と言われることがあります

なぜでしょう?

正解は「成行だと、売買代金が値幅制限の上限までいく可能性があるから」です。

クロス取引は「成行」が基本

株を買う際には、大きく分けて2つの注文方法があります。

  • 「1株○○円以下で買えるなら買います」と指定する「指値
  • 「価格はいくらでもいいので買います」という「成行

クロス取引では、前場・後場の取引が始まる前に成行注文を入れておくことが基本です

以下、その理由の説明です。

ちょっと長くなってしまったので、興味のないかたは読み飛ばしてください。

「売買同時」でも価格は違う?

クロス取引は「100株買う」のと同時に「100株売る」という手法です。

売買を同時に行うから「売り」と「買い」が必ず同じ価格になり、株価変動リスクを受けないというのがミソです。

しかし、実際にやってみると、「同時に」売買することは困難であると気付きます。

パソコンを2台用意して、2台で同時にログインして、同時にマウスをクリックするようなことをやらないと無理ですよね。

かりにそういう環境を整えたとしても、実は市場が動いている間はうまくいかず、売買が(典型的には)1円差で成立してしまうのです。

多くの証券会社では、各銘柄の「複数気配」を見ることができます。

これを見ると、たとえば現在の株価が295円のとき、市場には「296円だったら売ります」という人と「295円だったら買います」という人が存在し、両者が一歩も譲らず睨み合っている、という状態になっていることが分かります。

ここに
「値段はいくらでもいいから、100株買います!」
「値段はいくらでもいいから、100株売ります!」
という二人(実は同一人物)が同時に入ってきたとしますね。

その結果、じっと我慢していた人たちから
「じゃあ296円で売ります」
「じゃあ295円で買います」
とお声がかかり、結果「296円で買い」「295円で売り」となります。

残念ながら同一単価にはなりません。

もちろん、指値で「295円で買い」「295円で売り」と注文すれば、買い、売りとも295円でできます。

ただ、実際の市場には「296円だったら売ります」という人しかいないわけで、295円で売れるという保証はありません。売り、買いの一方だけ成立してしまう可能性も大いにあります。

市場スタート時だけの「価格決定ルール」

上記のような心配がない希少なタイミングが、市場が開く時、つまり朝9時と昼12時半です。

まず、市場が開く前に売買双方の注文(予約)を入れておけば、「売りと買いを同時に行う」の「同時に」を簡単にクリアできます

市場が開くと同時に注文が実行されるわけですからね。

そして、市場が開く際にすでに入っていた注文に関しては特別な株価決定のルールがあり、「成行で買い」と「成行で売り」の注文が両方あれば、双方とも同一株価で取引が成立することが保証されています

簡単にいえば、
「いくらでもいいから100株買います」という人(Aさん)

「いくらでもいいから100株売ります」という人(Bさん)
がいる場合、BさんがAさんに100株を売ったという扱いになります。

具体的な価格は分かりません(指値で買っているその他の人の動向に左右されます)が、とにかく売買が同価格で成立することは間違いありません。

以上のような性質を利用して、クロス取引は「市場が開く前に、成行で注文」というのが基本中の基本になっています。

成行注文は「最悪の場合」への備えが必要

以上のように、クロス取引をやろうとすれば「市場が開く前に、成行で注文」となります。

しかし成行で現物株を買うと、余計に資金を拘束されるのです。

理由は簡単です。

「いくらでもいいから買います」という注文なので、「考え得る最高額で取引成立」となっても大丈夫なように購入資金を準備させられるからです。

株価の変動には「値幅制限」といって上限と下限があります。

どれだけ買い注文(あるいは売り注文)が殺到しても、一定以上には値上がり(値下がり)しません。

「ストップ高」「ストップ安」などという言葉を時々耳にしますよね。
これは値幅制限が適用されたという意味です。

とはいえ、たとえば前日の終値が5000円だと、今日の株価は(典型的には)最高6000円まで上がる可能性があります。

結構、値幅がありますよね。

つまり「前日の終値が5000円だったから」と、100株買うのに50万円用意すればOKというわけではなく、値幅上限の60万円を用意しないと成行注文は受け付けてもらえないのです。

実際にそんなに値動きすることは稀であり、せいぜい5050円ぐらいで成立する(505,000円あればOK)でしょう。

しかし、51万円しか持っていなければ、そもそも成行で買えないわけです。

「信用買い→品受」で制限回避!

ようやく裏技の紹介まで来ました。

成行の現物買い注文は、一時的にせよ、実際の株価より相当多くの資金を拘束されることが問題でした。

これを回避するため、現物買いではなく信用買いを行うという手があります。

少ない保証金で、買った「ことにしてくれる」信用取引

信用取引は、現物株の数十%の保証金があれば株を売り買い「したことにしてくれる」という制度ですので、時価50万円の株に対して、資金は20万円もあれば十分だと思います。

また現金の代わりに現物株を保証金として利用できる場合もあります(カブドットコム証券では通常そのようになっています)。

資金が足りないということはまずありません。

「品受」で現物株を手に入れる

ただ、信用買いをしただけでは現物株を持っているわけではないので、株主優待の権利はつきません

そこで、信用買いの注文が実行され、株を買った「ことになりました」という段階で、「品受」という手続きを行います

品受とは、信用取引の返済(清算)方法の一つで、買った「ことになっている」株を、現金を出して実際に買い、現物株を受け取るという手続きです。

たとえば、前日の終値が5000円だった銘柄を100株、成行で信用買いし、その結果、5010円で100株を買った「ことになった」とします。

この場合、現金501000円を支払って「品受」すれば、買った「ことになった」ものを実際に「買った」状態となります。

単価が5010円と確定しているので、値幅上限の資金を準備する必要はありません。

この方法なら、手持ち資金が51万円しかなくても、実質的に成行で買い注文ができることになります!

借金は早めに返そう

この方法のデメリットは、信用買いをした場合、返済までの日数に応じた金利が発生するという点です。

信用買いは「お金を借りて株を買う」という取引なのです。

ですから、品受は当日中に行うべきです(これでも1日分の金利が発生します)。

手数料節約のため、あえて信用取引を選ぶ?

本題から若干外れますが、手数料を節約するため、資金が十分あるのに、あえて「信用買い→品受」というステップを踏むのがよい、ということがあります。

たとえばカブドットコム証券の場合、現物と信用で取引手数料の計算方法が違います。

2018年4月改定の手数料体系では、たとえば45万円の株を購入する場合、手数料(税抜き)が以下のようになります。

  • 現物買い:250円
  • 信用買い→品受:180円+金利(約37円)=約217円

信用取引のほうが手数料が安いため、1日分の金利を支払ってもなお、「信用買い→品受」のほうが安くつくわけです。

ちなみにカブドットコム証券の場合、品受には取引手数料がかかりません。

約定金額によって、どちらがトクかは変わってきます。

そして、我々の失敗

以上、大変長くなりましたが、信用取引を活用すれば、手持ち資金をギリギリまで使えることがお分かりいただけたと思います。

が、通常なら「現物買い」という1ステップだけでよいところ、「信用買い→品受」という2ステップになることで、手続きを忘れるというリスクが生じます。

今回、私たちが失敗したのはまさにこの点で、品受を忘れてしまったのです。

品受を忘れるとどうなるか?

「信用買い」が成立した状態で、品受せずに放置するとどうなるでしょう?

一般的には、借金をする期間が長くなるので、金利がかさみます

私たち程度の投資額だと、1日延びても数十円というレベルかと思いますが、ともかく損はします。

そして、権利確定日の取引終了時までこのことに気付かないと?

――はい、そうです。株主優待の権利がつきません

「信用買い」をしただけでは、自分は株主にはなっていないからです。

私たちは、権利確定日の9時寸前に、あわてて「信用買い」と「信用売り」を同時に注文しました。

取引は成立したのですが、その日は忙しく、品受しないまま15時を迎えてしまいました。

気付いたのは夕方。

あわてて品受するも、「明日付けで品受します」というつれない返事。まあ、そうですよね。

クロス取引なので株価変動で損をすることはありませんが、売買手数料を払ったのに株主優待はもらえないという、散々な結果になりました。

数百円ではありますが、損をしてしまいました。

上級者でも時々ミスをする、いわんや…

以上、私たちのうっかりミスをご紹介しました。

株主優待に関して、私たちは初級者の域を出ていません。

一方、世の中には上級者と呼べるような方々がたくさんいます。

そのような人たちのブログを見ていると、たまに私たちのような「手続き上のうっかりミス」をやってしまった!ということが書いてあります。

上級者でもそのようなミスを犯すわけです。

となると、初級者はよほど注意しなければ、間違って当然ともいえます。

権利確定日のお昼休みにはアラームを設定するなど、本記事を参考に、自衛していただければと思います。

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コメント

  1. はじめまして(*^^*)クロス取引で欲しい銘柄がどれも高くて買えずにいたので、とても勉強になりました(*^^*)!わかりやすいブログを本当にありがとうございます(>_<)!!!また勉強させてください(///ω///)

  2. ツマー より:

    コメントありがとうございます!
    お役に立てたようで何よりです。

    私たちも、偉そうに記事を書いていますが初心者と大差なく、よく失敗して落ち込んでいます。
    12月決算でいえば、すかいらーくの買い時を完全にミスりました。すでに一般信用売りの在庫がありません。11月決算にめぼしい銘柄が少ないので、11月のうちから手をつけておくべきでした。