すかいらーくの株主優待券がカード化!使い勝手は?売買相場は?

株主優待で年利3%

株主優待狙いの投資をする人には「超」有名銘柄といえるのがすかいらーく(3197)です。
人気の理由は還元率の高さ。1000株(2018年5月現在で約160万円)持っていれば、年間で株主優待券を何と69000円分もらえてしまうのです。利率にして4%超です。しかも、このほかに配当ももらえます。

そんなすかいらーくの株主優待に大きな変化がありました。従来の「株主優待券」に代えて、2018年6月末権利確定分からは「株主優待カード」を配付するというのです。

もらえる金額は変わりませんが、多くの株主にとって、優待券のカード化は不便になる方向だと思います。

ただ、金券ショップやネットオークションの売買相場にはあまり影響しないというのが当サイトの予想です。

以下で詳しく検討してみました。

株主優待の仕様変更が発表!

すかいらーくは、2018年5月10日に「株主優待券の仕様変更に関するお知らせ」というプレスリリースを出しています。

株主様ご優待券の仕様変更(カード化)に関するお知らせ(すかいらーく)
http://ssl.eir-parts.net/doc/3197/tdnet/1582081/00.pdf

内容はタイトルのとおり「仕様変更」で、株主優待券の金額はそのままに、これまでの「500円券」から「1000円」「3000円」「5000円」のカードに変更するということです。

宅配で使えない! 使い勝手は悪化

この仕様変更、多くの利用者からすれば「改悪」としか思えないものです。

最大の改定ポイントは、利用できる店舗が減るということです。
中でも、ガスト、バーミヤン等の宅配で利用できなくなる、というのが大きな改定点です。

別に意地悪ではなく、宅配員がカードを扱う機械を持っていないから、ということだと思いますが、宅配利用者には不便です。

 

我が家では、荒天時などにガストやバーミヤンの宅配を利用することがあり、株主優待券はすべて宅配で消費していました。
宅配で使えなくなると、株主優待券を自家消費することは絶望的です。

持ち運びは楽だが、シェアしにくくなる

また、従来500円券だったものが1000~5000円のカードになるため、枚数が減り、家族や知人とシェアすることが若干難しくなります

ただ、このへんはすかいらーくも考えているようで、100株保有者に対する優待は「3000円券×1枚」ではなく、わざわざ「1000円券×3枚」が送られてくるようです。

 

また、カード化によってスリムになるため、逆に持ち運びやすくなって歓迎、という人もいるかもしれません。

カード化されても500円単位でしか使えない

わざわざカード化するのであれば、使い勝手が向上してもよさそうなところですが、券の効力は従来と全く変わりません。

つまり、優待券は今後も500円単位でしか使えず、お釣りは出ません

 

昔「500円単位の紙」だったものがカード化した、といえば図書カードが先輩格です。

図書カードは、お釣りこそ出ませんが、本を買う際に1円単位で支払いができます。
1円単位で使えるので、そもそもお釣りという概念が不要です。

 

すかいらーくの優待カードも同じようにできたはずですが、実際には500円単位でしか使えないままです。

「市場価格」への影響は?

発行枚数が多いこともあり、すかいらーくの株主優待券は、金券ショップやネットオークションで相当数が流通しています
実際の相場については、以下の記事でご紹介しています。

【2020/5/2更新】すかいらーくの株主優待券、買取相場は? 今売るのは損?
2017年、株主優待を3倍増にして話題になった「すかいらーく」(3197)。 すかいらーくのお店を日常的に利用する方は思う存分食べればいいと思うのですが、そうでない方は現金化を考えるところですよね。 現金化の手段を「金券ショップで売る」「ヤ...

先般、「株主優待3倍増」という大盤振る舞いが行われた際には、予想どおり「市場価格」の下落がありました。

では、今回の株主優待カード化により、市場価格はどう変化するのでしょうか?

 

私たちは、「価格はほとんど変わらない」と予想しています
ただ、金券ショップでは、流通数が減ることもあるのではと考えています。

そう考える理由については、次項の考察をお読みください。

カード化の推定理由1:転売抑止

以前より不便になる面が目立つカード化ですが、わざわざシステムの開発費用をかけてまでカード化した理由は何でしょうか。

まず思いつくのは転売の抑止です。

 

1枚500円の金券だと、金券ショップでもネットオークションでも転売は容易です。
誰が見ても「この券に500円分の価値がある」と分かります。

 

これがカードになると、一見して「このカードに残額がいくらあるのか」ということが分かりません

金券ショップでは、この点がネックになり、売買が多少は控えられるのではないか、と予想します。

効果は限定的か

ただ、プレスリリースによると、カードの残額はウェブサイトで確認できるようにするそうですので、一般の人がカードの残額を知ることは可能です。

また、「図書カードNEXT」など、見た目には未使用か使用済みか分からないカードも金券ショップやネットオークションで流通していますので、売買が不可能とは思えません。

さらに言えば、株主優待カードのバーコード部分にスクラッチ加工が施されているなどして、券が未使用かどうか、ということを外見で判別できる可能性があります

(2018/10/15追記 外見では券の使用状況が全く分からない仕様のようです。)

券種についても、1枚1000円・3000円・5000円と手ごろな価格であり、高額すぎるという理由で売買が大幅に控えられるとは考えにくいところです。

 

ということで、それほどの転売抑止効果はないように思えます

カード化の推定理由2:偽造防止

次に思いつくのは偽造防止です。

新たなカードは、ウェブサイトで残額を確認可能という仕様からして、バリュー(残額)をカード本体ではなくコンピュータシステム上に蓄積するタイプのカードと思われます

もしそうだとすると、偽造はかなり難しくなります。

現在の偽造防止策もかなり高度

ただ、現行の株主優待券も印刷はかなり凝っていて、偽造防止の工夫が施されています

さらに券面裏側のバーコードには券の番号の情報も入っているようで、やろうと思えば券単位での使用状況管理もできそうです。
つまり、優待券をカラーコピーで偽造しても、偽造券は本物と券番が同じなので、バーコードスキャンで見抜くことができるというわけです。

また、手間をかけて1枚500円という少額の金券を偽造するというのは「割に合わない」と考えられます。

ということで、この理由も決定打とは言い難いものがあります。

蛇足:プリペイドカードの変遷

以下、蛇足になりますが、プリペイドカードの技術的変遷について多少触れておきます。

テレホンカードに代表される古風なプリペイドカードは、カード自体に残額が記録されていました。
このため、磁気部分を変造すれば残額を改ざんすることが可能で、かつ、それほど精密な技術を要しなかったようです。
偽造テレカが社会問題化し、高額カードが販売停止になったという歴史もあります。

この反省をふまえ、最近のプリペイドカードでは、残額をシステム上に記録するものが多くなっています
銀行のオンラインシステムと同じように、カード1枚ごとに専用の「口座」があり、買い物をするときにそこから残高を引き出していくイメージです。
この方式だと、残額を書き換えるにはシステムに侵入するしかなく、かなりハードルが高いといえます。

カード化の推定理由3:発行費用削減

最後に「意外とこれが理由かもしれない」と思ったのが、優待券の発行コストです。

前述のとおり、すかいらーくの株主優待券は、偽造対策もしっかりしています。ちょっとした紙幣です。
シリアルナンバーもしっかり入っており、おそらく、印刷コストはそれほど安くないと思われます。

そしてすかいらーくの場合、印刷枚数がとんでもなく多いのです。

すかいらーくの株主優待券、年間発行額は?

すかいらーくの発行済み株式数は2017年末現在で2億株弱。海外の某ファンドが所有していた株の大部分は個人投資家に流れたという説があり、2017年末現在の株主数は約37万人だそうです。

公表されている大株主上位10名を除いて計算すると、株主1人あたりの平均持ち株数は約450株となります。
もちろん、11位以下の大株主も相当な株数を持っているでしょうから、優待券狙いの個人投資家に限っていえば、平均持ち株数はもっと少なくなります。

以上より、優待券狙いの株主数を総株主数の約8割の30万人、株主1人あたりの持ち株数を300株として概算することにします。

 

300株に対する年間の株主優待券発行額は20000円です。
※保有株式数により「1株あたりの発行額」が多少変わってきますが、概算のためここでは違いを無視します。

すると年間の株主優待券の発行数は額面にして実に60億円、500円券にして1200万枚となります。

どこの国の通貨ですかこれは。

 

1000円札の印刷コストが13円程度という記事があり(参考:https://zuuonline.com/archives/115589/2)、すかいらーくの株主優待券の印刷コストは1枚10円台ではないかと想像します

印刷コストは年間ざっと1~2億円というところですね。

カード化で発行費用大幅減?

この大量の株主優待券がカードに置き換わると、コスト削減効果が大きそうです。

まず、券の枚数が劇的に減ります。新しい株主優待カードは1000円、3000円、5000円の3種類で、保有株数に応じた枚数は以下のようになります。

  • 100株:現状12枚→今後6枚
  • 300株:現状40枚→今後12枚
  • 500株:現状66枚→今後15枚
  • 1000株:現状138枚→今後21枚

保有株数にもよりますが、枚数は最低でも半減、1000株保有だと実に6分の1以下となります。総発行枚数は6割減程度と思われます。

カード1枚あたりの発行コストが現在の優待券と同等ならば、これだけで数千万円のコストダウンとなります。システム開発費を支払ってもお釣りがきそうです。

 

カードの発行コストは仕様によりピンキリで、素人には全く見積もることができません。
1枚あたりのコストが現行優待券の3倍、4倍となればコスト面でのメリットはありません。

ただ、新しい優待カードは使い捨てであり、バリューがシステム上に蓄積されるタイプと想定されます。
これなら厚紙にバーコードが印刷されている程度でよく(バーコードや残額確認用PINコードをスクラッチ式にする程度の工夫はあるでしょうか)1枚あたりの発行費用は、偽造防止加工を施した現状の優待券といい勝負なのでは、と想像します

カード化の推定理由4:セルフレジへの対応

最後に、これは若干こじつけっぽいのですが、カード化は、今後ファミレス界で進行するであろう「セルフレジ化」への対応か?などと考えました。

 

すかいらーくグループでは、2017年から一部店舗にセルフレジを導入しています。レジへ伝票を持っていき、精算機を操作すれば、人手を介さずに支払いができるというものです。

このセルフレジは、現状、クレジットカード、iD、Edyに対応しているそうで、現金や株主優待券は非対応です。一方でバーコードを読み取る機能は搭載されています。

となると、新たな株主優待カードがバーコード式であれば、ハードウェア的にはセルフレジにも対応可能となります。

 

前述のとおり、株主優待券の発行金額は推定で年間数十億円規模です。
これだけの金額の決済が、「セルフレジで株主優待券を使えないから」という理由だけで従来の有人レジに流れるとすれば、それなりに大きなインパクトといえます。

株主優待カードの利用者はリピーター率が平均より高いと想定され、「初めての利用に抵抗があるが、使ってみると便利だった」というセルフレジとの親和性は高いといえます。

まとめ:株主優待の削減は当面ない!?

以上、すかいらーくの株主優待券の仕様変更について考察してみました。

ネガティブなことを書きましたが、ここまでシステムに手を入れるということは、当面はこの規模の株主優待を続けるという意思表示とも受け取れます

 

かつてすかいらーくの大株主であったベインキャピタルが全株を売り抜けた時点で、破格の株主優待を継続する動機は薄れ、したがって株主優待に大幅な改悪がある――というのが私たちの予想でした。

しかし本記事で見てきたように、すかいらーくは株主優待の金額を変えず、券の仕様を大幅に変更しました

仕様変更は、ざっくり言えば「優待の大盤振る舞いによる弊害の解消」ではないかと思うのですが、この弊害を解消するために「優待を減らす」のではなく「券の仕様を変更する」という、ある意味で積極策に出たわけです。

ということは、すかいらーくの株主優待はしばらく安泰なのか?

引き続き注視していきたいと思います。

子サイトはじめました!
本記事をお読みいただき、ありがとうございました。

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