当サイトで何度となくご紹介している、我が家の洗濯乾燥機、パナソニックのNA-VR3500。
2008年モデルなので今年で10年目となり、先日は修理を依頼するも、やんわり断られるという「余命宣告」を受けています。
一方、私たちは「なかなか乾燥しない」という問題を自力で解決するため、分解清掃のノウハウを積み上げてきました。その集大成がこちらの記事です。
前回の分解清掃から1年弱となった2018年6月、またも乾燥機能が低下してきたので、「ちょっと早いのでは?」と思いつつも分解清掃を敢行しました。
結果は「掃除してよかった!」となりました。
分解は「前面」「背面」の2通り
この機種の分解は、大別すると「前面から」「背面から」の2通りあります。
前面から:簡単だが効果は限定的?
前面分解の方法は以下の記事を見てください。
前面分解の目的は、温風の通り道(ダクト)に溜まった綿埃を除去することです。湿った綿埃が一定以上溜まると、乾燥時間が長くなります。
前面分解は、洗濯乾燥機を引き出さなくてもできるのでお手軽です。
慣れれば30分で分解、清掃、再組立てが可能です。
一方、当サイトで紹介している清掃方法を採り入れている場合、効果に関しては限定的です。
というのは、温風ダクトの埃は、分解しなくても水洗いで8割がた除去することができるからです。
「分解しないと除去できない」という埃は多くありません(清掃結果は後述します)。
背面から:君は洗濯機と相撲を取るか
一方、背面分解の方法は以下の記事にまとめてあります。
背面分解の目的は、乾燥機能の核となる「ヒートポンプユニット」を取り出して清掃することです。
ヒートポンプユニットには多数の配線がつながっており、前面分解より難易度は高めです。
また、扱いを誤ってユニットを破損すると確実にメーカ修理が必要となります。
が、何といっても最大の難関は、洗濯機の背面を拝むこと。これに尽きます。
この洗濯乾燥機の重量は実に80kg超。これを前に引き出す作業はリアルに「相撲」です。
世の中にはこんな洗濯機設置台があるそうで、次に洗濯機を買うときにはこれも買おうかと思っています。
大変な分、効果は劇的です。乾燥時間が一気に3分の1になることもあります。
今回の症状
さて、我が家の洗濯乾燥機ですが、冒頭に書いたとおり、分解清掃から1年でまた乾燥機能がダメになってきました。
湿気を除去できない?
観察の結果、温風の温度は十分上がっているが、湿気が除去できていないように見えました。
この世代のパナソニックの洗濯乾燥機は湿度センサーを持っておらず、乾燥終了を温風の温度でのみ判断しているようです。
詳しい方、違っていたらご指摘ください
最初、温風の温度は室温程度から始まります。
これが1時間、2時間と経つと徐々に高温になっていき、並行して湿気も除去されていきます。
湿気が残っていれば温度上昇は緩やかですが、洗濯物が完全に乾けば急速に温度が上昇すると思われます。
なので、温風の温度が一定以上になれば乾燥が終わっている「だろう」と判断するわけです。
ただ、時間さえかければ温風の温度は上がりますので、湿気が残っていても、温度だけを見れば乾燥が終わったという判断になってしまいます。
今回はこの状態ではないかと考えました。
推定原因はヒートポンプ
温風に含まれる湿気を除去できないという症状から、ヒートポンプの不具合が疑われます。
ヒートポンプはエアコンと同じ仕組みで、湿気を含んだ温風を冷やします。
すると結露が発生し、空気と水を分離することができます。
水分を減らした空気は加熱され、再び洗濯物のほうへ戻っていきます。
ヒートポンプの熱交換器部分に埃が溜まり、温風を十分に冷却できずに湿気が永遠に循環している。
今回はそんな状況ではないかと想像しました。
ということは、背面分解が必要ということです。
1年前にやったばっかりなのに…
1年分の汚れはいかに?
面倒ではありますが、洗濯物が乾かないのは困りものなので、6月のとある日曜日に分解清掃を決行しました。
前面分解して鼠一匹
まずは前面を分解しました。何度かやっているので楽勝です。
温風ダクトに手を突っ込んで埃をかき出しましたが、出てきた埃はゴルフボール大。
予想どおり少量でした。
前述のとおり、温風ダクトの埃は、水洗いによって大部分を除去できるのです。
5分でできるほど簡単なので、この清掃は1ヶ月に1回ぐらい実施しており、温風ダクトに多量の埃が溜まっている可能性は低いと考えていました。
背面分解しても猫一匹??
いよいよ背面分解です。
あの巨体を引き出すにはやはり苦労しましたが、「引き出す」のと「押し込む」のでは、引き出す方がまだ楽なように思いました。
苦労して最低限の作業スペースを確保し、背面カバーを外していきます。
そしてご本尊であるヒートポンプユニットを取り出しました。
開けてびっくりです。
大して汚れてないじゃん!
写真右下あたりには埃がかなり付着していますが、左上の4分の3ぐらいは埃が少なく、まずまず健全そうに見えます。
ちなみに、前回の分解掃除前の写真がこちらです。
ここまで汚れていれば、そりゃあ乾燥できないのも分かります。
が、今回はそこまで汚れているように見えません。
ついに壊れたか?
悩んでいてもしょうがないので、金属フィンを歯ブラシで清掃することにします。
フィンはごく薄く、ちょっとしたことで変形してしまうので、前回の清掃時にはあえて頑張りすぎないようにしました。
しかしその結果、1年足らずで乾燥機能が低下してしまったので、今回はできる限り丁寧に埃を取り除いていくことにします。
30分以上頑張った結果がこちらです。
それほど感動的なビジュアルではありませんが、粉状の細かい埃をかなり落とすことができたと思います。
一人ではやっぱり無理だった
一旦外したユニットやカバーを復元し、渾身の力で洗濯乾燥機を元の位置に戻します。
この際、脚の部分に置いているレンガ状のブロックを移動させるのに、ムスコーの手が大いに活躍しました。
オットーが前脚を持ち上げ、その間にムスコーがブロックを小移動。見事な連携プレーです。
オレ見事!
小2の子供にも務まる作業ですが、一人では無理でした
私の出番はないの?
そもそも二人分の手を入れる場所がないんだよね…
最後は「押し相撲」で何とか元の位置まで戻しました。
清掃の効果は大きい!
さっそく試運転として、厚手の衣類を1枚乾燥してみました。2時間弱で乾燥が終わりました。
量が少ないので「すげー」とは思いませんでしたが、少なくとも分解清掃で故障したということはなさそうです。
数日後、ついにその真価を試されるときが来ました。大判のバスタオル1枚、フェイスタオル5枚、綿の下着類多数を一気に乾燥するのです。
乾燥を始めると、予想時間は「2:20」と出ました。
以前なら「嘘つけ!」とツッコミを入れるところですが、果たして…
乾燥機を回し始めたのが0時過ぎでしたが、2時半前に床に就いたところ、洗面所から「ピーピー」という音が!
時間どおりに終わった!
翌朝、中身を確認してみると、それはもう完璧な乾き具合。
新品のときを思い出せませんが、これは新品同様といって差し支えないでしょう。
といった具合で、見た目はそれほど汚れていなかったヒートポンプユニットですが、埃をしっかり落とすことで機能が回復することが分かりました。
延命対策:独自のフィルターを追加する?
以上「めでたしめでたし」なのですが、正直、年に1回このような分解清掃をするというのは面倒ですし、逆に壊してしまうリスクもあります。
本来、ヒートポンプユニットの手前には埃を除去するフィルターがあり、そこで埃は取り除かれているはずなのです。
しかし実際には、ヒートポンプユニットに埃がびっしり付着していて、乾燥機能を低下させています。
ということは、フィルターの目を細かくすればいいのではないか?という発想が生まれます。
実際に同じことをやっている人がすでにいらっしゃるようで、ネット上でいくつかの記事が見つかります…と思って探したら見つかりません。
記憶によると、換気扇用のフィルターを適当な大きさに切って取り付けるとよいのでは?ということでした。
換気扇用のフィルターならば、風量を確保しつつ汚れ(台所だと主に油分でしょうが)を付着させるという機能を期待できます。
ということで100均でフィルターを買ってきて取り付けてみたのですが、すぐにズレるうえ、大してホコリがとれないので、早々に実験をやめました。
余談:排水フィルターの追加は必要か?
「洗濯乾燥機 フィルター」と検索すると、乾燥フィルターではなく排水フィルターに取り付ける追加的なフィルターの情報が多く見つかります。
専用商品が売られているほか、100均で売っている流しネットのようなものが有効だ、という記事も読んだことがあります。
しかし私たちは、排水フィルターへの追加対策には懐疑的です。
別に捕集しなくてもよいゴミを、手間をかけて捕集しているように思えるからです。
金をかけて手間を増やしている?
専用商品の説明文を読むと、「面倒な排水フィルターの掃除を楽にする」ことが主目的のように読めます。
しかし私たちが思うに、これは本末転倒です。
フィルターを追加設置することで、かえって手間が増えているように思うからです。
確かに洗濯乾燥機の取説では、「乾燥機能を使ったら、排水フィルターをその都度清掃」となっています。
しかし、毎日衣類を乾燥している我が家でも、排水フィルターのゴミの量は、1ヶ月に一度の清掃で全く問題ないレベルです。
一方で追加的にフィルターを設置すると、今まで取りきれなかったゴミ(衣類から出た細かな埃と思われます)を大量にキャッチできます。
1週間ぐらいしてからフィルターを見てみると、大量のゴミがとれている(多分1ヶ月はもちません)。
「こりゃあ大変! でもフィルターを捨てて新しいのを取り付けるだけだから楽になったよねー」と、何となく満足する。
違うだろー!と思うわけです。
排水口に流れてサヨウナラーだったゴミをわざわざキャッチして、メンテナンスの頻度を高めているだけではないでしょうか。
そのゴミを取る目的は?
「いやいや、仕方なく流していたゴミをきちんと回収することは大事だよ」という反論もあるかもしれません。
では、細かいゴミを取らないと、どんな悪影響があるのでしょうか。
私たちにはそれが思いつきません。
標準の排水フィルターで取りきれなかったゴミは、洗濯物と一緒にドラム内を循環したあと、最終的にはフィルターをすり抜けて排水されます。
つまり洗濯機の中には残りません。
「排水管をいたわる」という目的なら、確かにフィルターは有効だと思います。
ですが、洗濯排水ですから台所排水のような粘性はほとんどなく、細かい埃が管にどんどん付着していくという心配はいらないように思えます。
そもそも、排水フィルターの目的は、乾燥によって出た綿埃の大きな塊が排水管に流出し、管が詰まってしまうのを防止することにあると考えられます。
細かい埃や髪の毛などは、乾燥の有無に関わらず排水管へ流れていきます。
これは洗濯機が登場した数十年前から変わりません。
それで困っていないのですから、今さらわざわざ水際でキャッチする必要もないのでは、と思うわけです。
排水フィルターよりも乾燥フィルターの充実を
繰り返しになりますが、排水フィルターは、ゴミを取り損ねても排水管に流れていくだけですから、多少のことなら放っておいてもよいわけです。
一方、乾燥フィルターは、取り逃したゴミがヒートポンプユニットに溜まってしまいますので、これはできるだけ回避したいのです。
多少風量が落ちるのを覚悟しても、目の細かいフィルターを追加設置すると、分解清掃の頻度が下がり、幸せになれるのではないかと思います。
まとめ:洗濯乾燥機のメンテナンスは奥が深い
以上、何記事目だよ!という洗濯乾燥機のメンテナンスの話でした。
正直、現代の家電でここまでメンテナンスに手間のかかるものを私たちは知りません。
そのことに目を付けて、「痒いところに手が届く」的なグッズが市販されているようですが、先に述べたように、排水フィルターに追加フィルターを取り付けるのは、本当に意味があるのかと思います。
今後も研究を続けます
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