パナソニックの洗濯機ブログのようになっている当ブログですが、以前頻発していた「HA0」エラーについて、簡単にご紹介しておきます。
本来「H」で始まるエラーは「ユーザでは直せないので修理を依頼しろ」という意味なのですが、自然に直る場合もあります。
原因を知れば、エラーを出しにくくする対策、あるいはエラーになってしまったときの対策もできるようになります。
以下では、我が家で10年以上使っていたNA-VR3500L(2008年モデル)を前提に説明します。
年式の近いパナソニック製のドラム式洗濯乾燥機であれば、似たような状況が起こりうると思います。
「HA0」とは何の故障?
まず最初に、「HA0」というエラーが何を意味するか?ということから。
パナソニックのFAQによると「排水ドレインポンプに異常があります。部品の交換が必要です」だそうです。
排水ドレインポンプ……って何?
乾燥時に出た水分を捨てる部品です
ここでいう「排水」というのは、洗濯やすすぎ、脱水で出た水を捨てるということではありません。
乾燥機能を使ったときに、衣類から出た水分を捨てるということです。
洗濯・すすぎ・脱水時の不要な水は、弁を開くことで自然に流れ出ていきます。
以下の記事でご紹介した「排水弁」です。
ここが壊れた場合には「H25」という別のエラーが出ます。
一方、乾燥機能を使ったときに出る水分は、自然には流れていきません。
乾燥で出た水は、ヒートポンプユニットの下部(以下「ドレイン」)に溜まります。そして、この水分を排水弁へ持って行く経路は「下り坂」になっていません。つまり、重力に頼って排水するということができません。
そのため、乾燥時の水分を排出するための小さなポンプが備え付けられています。
これが、冒頭に名前の出てきた「排水ドレインポンプ」です。
乾燥中、10分に1回程度の頻度で、「ウィーーーン」という5~10秒ほどの若干苦しそうな音が聞こえてくることがあると思います。これが排水ドレインポンプの動作音です。
順調に乾燥が進み、衣類から水分が抜けてドレインに溜まっているという証拠ですから、本来は歓迎すべき動作音です。
ポンプそのものの故障は検知していない
さて問題の「HA0」エラーですが、実は排水ドレインポンプの故障そのものを検知しているわけではありません。
排水ドレインポンプは、ドレインの水位が一定以上になると動き出し、水位が下がると止まります。
そのため、ドレインの水位を検知するセンサーが設けられています。
「HA0」エラーは、「排水ドレインポンプが何度も(具体的には10回程度)動作しているのに、水位が下がったことをセンサーが検知できない」ときに発生すると考えてください。
確かに、排水ドレインポンプが故障すれば、そのような状況になります。
排水できないわけですからね。
しかし排水できない理由はそれだけではありません。
たとえば以下のような理由が考えられます。
- 乾燥機能では通常発生しないような大量の水がドレインに溜まっている
- 排水経路が詰まって排水できない
- 水位センサーが故障している
上記のような原因で「HA0」エラーが発生している場合、排水ドレインポンプを交換する必要はありません。
特に1番目の「大量の水が溜まっている」場合には、どうにかして水を抜けばいいのですから、修理をする必要すらありません。
我が家で「HA0」が多発していたころの話
実は、我が家では一時期、毎晩のように「HA0」エラーが発生していました。
そのため、「H」で始まるエラーであるにもかかわらず、私は全く動じなくなっています。
当時のエラー発生理由は明らかで、洗濯中に泡が立ちすぎたことです。
泡立ちのよすぎる洗剤
洗濯用洗剤にもいろいろあり、兼業主夫になりたてのころ(?)に試行錯誤しました。
その過程で、洗浄力の弱いドラム式でもそこそこ汚れが落ちる、P&Gの「アリエール サイエンスプラス7」という粉末洗剤を見つけ、愛用していました。
ちなみにこの商品、根強いファンがいたようなのですが、惜しくも終売となってしまいました。
今は、似た系統の粉末洗剤である花王「アタック 高浸透リセットパワー」を使っています。
通常の使い方でも汚れ落ちはよく、酸素系漂白剤配合のため、ふつうに洗濯しているだけで洗濯槽の汚れもかなり落ちます。
洗濯機がドラム式で、蛍光増白剤が気にならない方にはおすすめできる洗剤です。
で、昔使っていたアリエールのパッケージに、「汚れが気になる場合は1.5倍量で」みたいなことが書いてあったように思うのです。
汚れ気になるよ!ということで1.5倍量を入れたところ、汚れ落ち以前の問題として、かなり泡立つようになりました。
1.5倍量を入れないまでも、洗濯物の量に対してちょっとでも多めに入れると、洗濯機の中が泡だらけになります(今でも時々やってしまいます)。
洗濯をする上で、泡立つということは汚れ落ちがよくなるということであり、よいことだと思っていました。
しかし、1.5倍量を入れると大抵、洗濯の途中で「HA0」エラーが発生し、洗剤まみれの状態で洗濯がストップするのでした。
寝る前に洗濯~乾燥を開始したのに、朝起きると「HA0」表示で洗濯は道半ば…ということがしばしばあり、ガックリきていました。
泡がヒートポンプに侵入?
なぜ、泡立ちがよすぎて「HA0」エラーとなるのか?
今も100%の確信はないのですが、「こうだろうな」というメカニズムは分かっています。
洗濯槽(ドラム)には、乾燥をする際には「暖かい風」が入り込んできます。
つまり、ヒートポンプユニットからドラムへ通じる風の通り道があるわけです。
この「風の出口」は、ドラムの上の方にあるのだと思います。
出口を直接観察したことはないのですが、以下の分解写真(背面から撮影)でいうと、まずヒートポンプユニットが下部の白い箱です。乾いた空気は右下から右上、90度曲がって左上へ、黒いダクトで流れています。
黒いダクトの終点、すなわち風の出口はドラムの上部ということになりますね。
ドラム式洗濯機の水量は少なく、通常、洗濯や脱水を行う際には、水位はドラムの半分にも達しないと思います。
つまり、風の出口が水に浸かるということはないわけです。
しかし、泡立ちがよすぎるとドラム全体に水分(泡)が行き渡り、前述の「風の通り道」から、水分がヒートポンプユニットに向かって逆流すると考えられます。
これが「HA0」エラーの原因と考えられます。
余談ですが、右下の黒い蛇腹状のホースのさらに下、白い円筒状の部分には乾燥用の送風ファンがあるのですが、このファンが動かなくなって交換してもらったことがあります。
修理担当者から「ファンが錆びていた」と聞いた気がしますが、洗濯時の泡がこのファンに達していたとすれば、錆が出たことにも納得がいきます。
ということで泡立ちすぎには気を付けましょう。
洗濯中に異音がしたら要注意
「HA0」エラーは、前述のとおり「一定回数排水しても水位が下がらない」というものです。
なので、エラーに至るまでには排水ドレインポンプが何度も作動するわけです。
排水ドレインポンプが動くと「ウィーーーン」という結構大きな音がします。
一度で排水しきれない場合、一旦動作が止まるものの、1分ぐらいするとまた「ウィーーーン」と動き出します。
この動作が10回ほど続き、なお水位が下がらなければ「HA0」エラーです。
エラーに至る前に排水が済めばセーフです。
通常、排水ドレインポンプの「ウィーーーン」という音は、乾燥運転中にしか聞こえません。
この音が洗濯中に聞こえたら、これすなわち、泡立ちすぎのサインです。
対処法は「泡を減らして通常運転」
では、泡立ちすぎで「HA0」エラーが出たらどうするか?
基本的には、泡立ちの原因を取り除き、気長に排水することになります。
排水ドレインポンプが故障していない限り、何度も排水していれば、いつかはドレインの水位が下がります。
排水ドレインポンプを動作させるには、洗濯、すすぎ、乾燥のいずれかで運転することが必要です。
つまり、一旦電源を切って再投入し、泡立ちを抑えるなどして新たな水分の流入を食い止めた後、洗濯を続行すればよいのです。
洗濯物の入れすぎも要注意
以上のことが分かって以来、泡立ちがよくなりすぎないよう、注意するようになりました。
洗剤を入れすぎて泡が多いと思ったら、タオルを1枚追加して入れ、泡立ちを抑えるようにしていました。
おかげで「HA0」エラーを目にすることは、ほぼなくなりました。
シーツを洗うと「HA0」
ところが、今でも年に何度かは「HA0」を見てしまいます。
大抵は、ドラムいっぱいに洗濯物を入れている時に起こります。
典型的には、シーツを洗う際ですね。
泡立ちが通常どおりであっても、洗濯物が常にドラムの上部まで達するような状況だと、「風の通り道」から水分が逆流してしまうのだと思います。
対処法が分かっているので焦りはしませんが、送風ファンのことを考えると「やっちまったなー」という気にはなります。
ついに排水できなくなった!?
ずっと同じ洗濯機を使っているのに、12年目にして、慣れ親しんだ「HA0」で焦ったことが最近ありました。
水洗いできる掛け布団を買ったのですが、これを半ば無理矢理ドラムに押し込んで洗ったところ、脱水まで無事に終わったものの、直後の乾燥運転中に「HA0」エラーが発生したのです。
何度かトライすれば直るだろうと思ったのに、「電源切~再投入~運転再開」を3回ぐらい繰り返してもダメで、さすがに肝を冷やしました。
これは分解もやむなしかと思い、覚悟を決めて給水・排水ホースを外し、本体を前に傾けたところ、防水パンに大量の水が流れ出しました。
もしや……と思い、分解せずに洗濯機を元に戻して電源を入れてみると、排水ドレインポンプが何度か動作したところで、ついに排水が完了しました!
おそらく、ドラム内が洗濯物で満たされたことにより、変なところに水が入り込んだのでしょう。
本体を前に傾けただけで水が流れ出てきた理由は謎だったのですが、後日、ヒートポンプユニットを分解してその理由が分かりました。
この部品はヒートポンプユニットの受け皿、つまりドレインです(写真はユニットを取り外した状態です)。
ヒートポンプユニットで発生した水分、またドラムから逆流してきた水分はここに溜まります。
部品の中央下部に薄いグレーの部分がありますが、これが簡易的な弁になっていることが分かりました。普段は閉じているのですが、中に水が溜まりすぎたり、洗濯機を前に傾けたりするとこの弁が開き、ドレインに溜まった水が洗濯機の外へ流れ出ます。
ともかく肝を冷やしました。無理は故障の元ですね。
まとめ:故障ではなくても、故障の元ではある
以上、我が家で起こった「HA0」エラーの原因と対策についてご紹介しました。
おそらく、「HA0」エラーの8割はここに書いたような原因だと思いますが、本当に排水ドレインポンプが故障したり、排水経路が詰まって排水できなくなっていたりということも考えられますので、そこは状況をよく観察して対応してください。
また、文中で紹介したとおり、「HA0」エラーが発生するということはドレインの水位が高いということです(センサーの故障でない限りは)。
その水がドラムからの逆流であるならば、本来は濡れない場所が濡れているということですので、典型的には乾燥用ファンなどの劣化が通常より早くなることが懸念されます。
「何度かやり直したら直るからいいや」というのではなく、なるべく「HA0」エラーを出さない洗濯方法を工夫したほうがよいと思います。
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