我が家ではパナソニックのドラム式洗濯乾燥機、NA-VR3500を9年以上愛用しています。
特に乾燥機能に関しては手入れが重要で、たとえば以下の記事で、自分でできるメンテナンス方法を多数ご紹介しています。
しかし洗濯中、ドラムが何かにぶつかるような音が発生するようになりました。
大事になる前にと思って修理を依頼したところ、やってきた技術者に「寿命だから諦めなさい」と宣告されるという、まさかの結論になりました。
10年目の修理は得策なのか?
次回購入時には何に気をつければよいか?
そんなことが見えてきました。
ドラムがボディに衝突? 洗濯中に異音が…
洗濯乾燥機の異変に気付いたのは、2018年3月末か4月始めのこと。
洗濯中に大きな音がするようになりました。
元々、機械的には辛い洗い方
2008年モデルのこの機種は、「ジェットダンシング」という洗い方を売り物にしていました。
要は「たたき洗い」です。
洗濯の際には、まずドラムを急速に回転させ、遠心力で洗濯物をドラムに張り付けます。
この洗濯物が頂点に達したところでドラムの回転を急に止め、洗濯物を下へ落とします。
この時にたたき洗いするわけです。
以後、回転方向を右、左と交互に変えながら同じ方法で洗います。
この洗い方は「左回転→急停止→右回転→急停止→…」とドラムの動きの変化が激しく、機械的な部分に大きな負担がかかりそうだ、と素人目にも分かります。
金属が削れる音?
そして今回の異音は、この「ドラムの動きの変化」の際に起きています。
つまり、回っていたドラムが急に止まり、逆向きに回転し始める際に、何かにぶつかるような大きな音がするようになったのです。
正常時にも、洗濯物がドラムにぶつかる際に音はします。
しかし最近は、金属と金属がぶつかって、どこかが削れているのではないか?というような摩擦音がします。
10年近く使ってきて、洗濯中にこのような音を聞いたことがないので、何らかの異変が起きていることは間違いありません。
そして乾燥時まで…
この症状が気になりだして2週間ほど経ったころだったと思います。
今度は乾燥時に異音が出るようになりました。
乾燥が始まるとすぐ送風用のファンが回りますが、このファンから異音がしているようです。
何かと共振しているような音に聞こえました。
乾燥中も時々ドラムが反転するのですが、この反転のタイミングで異音も少し変わります。
洗濯中の異音と同じ原因ではないか?と思いました。
修理の依頼が簡単になっていた!
ということで久々に修理を頼むことにしました。
前回までの修理は、家電店で加入した5年間の延長保証の一環でお願いしており、まずは購入店へ電話して、そこからパナソニックの修理担当部署につないでもらうというやり方でした。
しかし今回は延長保証が切れており、通常の修理となります。
そのためパナソニックに直接申し込みました。
2018年ともなると修理の受付もかなり自動化されており、ウェブ上で症状の申告と日時指定が可能でした。
感心するのは対応の早さで、午前中に申し込むと、うまくすればその日のうちに対応してくれるようです。
たまたま水曜日が仕事のない日だったので、ピンポイントで水曜午前を指定しました。
しばらくすると確認の電話が来て、詳細な訪問時刻は当日朝に電話がいきます、とのこと。
そして前日の夕方、再び電話が来ました。
10時から11時の間に行きます、当日朝の連絡はありませんとのこと。
電話で長々と症状を訴えることもなく、日程調整に手間取ることもなく、あっさりと手続きが済みました。
修理開始、数十分で決着
修理当日は約束の時間に担当者が自宅へ来てくれました。
症状が再現しない
さっそく修理を開始。どういうときに異音が出るかということを再度申告し、「実演」を行います。
しかし、ありがちなことに、症状が再現しません。
まず洗濯については、洗濯物を入れずにスタートしてみたのですが、何かが削れるような音は出ません。
乾燥についても同様で、実に静かな滑り出しです。
参ったなと思いつつも、修理を始めてもらいました。
分解は前面だけ、あっさり診断がつく
前回の修理時には前面を分解した記憶がありません。
洗濯乾燥機の前脚を軸にして本体を手前に60度くらい回転させ、背面を露出させて分解修理をしていたと記憶しています。
ところが今回は、まず前面下部のカバーを外しました。
するとファンのついたボックス状のユニット(制御基板)が出てきます。
少し見にくいのですが、写真の赤丸部分が問題のユニットです。
このユニットを外すと、洗濯機を運転させながらドラムの動きを覗き込むことができます。
この分解方法は初めて目にしましたが、ドラムが実際にどこかにぶつかっているか?ということを確かめるにはよい方法です。
以後、ずっと修理状況を睨んでいるのも申し訳ないかと思い、別の場所でしばらく待機していました。
すると、30分もしないうちに呼ばれて、冒頭にもあるように「余命宣告」です。
直す?諦める? 苦渋の決断
結論からいうと、「直すか、諦めるか」という二者択一を迫られることになり、私たちは「諦める」を選択しました。
原因はメカケースか?
まず、分解したところ、ドラムが何かにぶつかっている形跡はないということです。
本当に衝突があると金属が削れて粉が出ることもあるそうですが、そういった兆候はなく、振動を抑えるサスペンションも状態は良好だそうです。
何らかの原因でドラムの可動範囲が広がり、本来ぶつからない部位に衝突…ということではないようです。
洗濯時の異音は「メカケース」の中が原因と考えられる、とのこと。
メカケースは自動車でいうところのギアにあたるという説明で、おそらくモーターの駆動力がドラムに伝わるまでの間に介在している変速機のようなものでしょう。
また、乾燥時の異音については洗濯時とは別の原因が考えられるそうです。
処置としては、メカケースとヒートポンプユニットの全交換になるとのこと。
修理代、まさかの5万円超え!
気になるのは修理代ですが、上記修理内容でいくらになるか?
聞いてびっくり、約55000円だそうです!
あまりに高いので、さすがに「お願いします」と即答はできず、過去の経験をもとに注文をつけました。
まず乾燥について、ヒートポンプユニットの全交換は不要と考えました。
その理由は3つあります。
- ヒートポンプユニットは過去の修理で一度全交換しているため、経年は4~5年で、再度の交換は不要だと思われること。
- 以前、乾燥用のファンが全く回らなくなってしまったことがあるのですが、その際にはヒートポンプユニットの全交換ではなく、ファンだけ(あるいはモーターだけ)を交換したこと。
- ヒートポンプユニットは以下の記事にあるように自主的に分解清掃しているので、経年のわりに交換の効果が小さいと思われること。
ということで、ヒートポンプユニットの交換は不要ですと告げたのですが、それでも修理代は4万円超と、依然として高額のままです。
せめて2万円以内なら、と思ったのですが。
このことから分かったのですが、ヒートポンプユニットの価格は意外に安く、部品単体では15000円以下のようでした。
寿命は10年、3500回
うーんと唸っていると、修理担当者は「自分がユーザの立場であれば、直さずに諦めます」と率直なご意見。
その心は、この洗濯乾燥機がすでに寿命を迎えている、ということです。
今、5万前後の修理代をかけて修理しても、寿命のために今度は別の部位が故障する可能性があります。
するとさらに修理代がかかるばかりか、修理部品が枯渇していて修理できないことも考えられ、そうなると今回の修理代の大部分が無駄になってしまいます。
今の症状が致命的でないならば我慢して使い続け、動かなくなったときには買い替えるのが得策ではないか。
そういう提案でした。
にわかには決断できなかったので、さらに話を聞きました。
まずメーカとして、洗濯乾燥機の寿命は10年と考えているそうです。
確かに、一般的な電化製品の想定寿命として10年というのは妥当な線だと思います。
そうはいっても、10年間酷使した場合と週に1回しか使わなかった場合では傷み具合が違うので、動作回数という指標もあり、3500回とのことでした。
我が家の場合、毎晩1回洗濯しているので、9年間で3000回程度と想定されます。
なので寿命までもう少しですね…と回答しようかと思っていたのですが、さすが今時の家電製品、隠しコマンドで累計動作回数をチェックできるのでした!
操作方法はよく見ていませんでしたが、ともかく我が家の洗濯乾燥機の使用回数は、洗濯が4200回程度、乾燥が2800回程度だったと思います。
つまり、少なくとも洗濯に関しては寿命を超えていることが分かりました。
洗濯乾燥機は相変わらず高く、最上位機種は実売価格が40万円に迫る勢い。
パナソニックのエントリー機「NA-VX300BL」でも通販最安値が15万を超えています。
しかし、この販売価格と比較しても、4万超という修理代は高額です。
かりに寿命10年とすると、1年あたりの洗濯機代は1.5万円程度。
修理代を4万かけた場合、さらに2年以上は今の機種を使い続けないともとがとれないわけですが、怪しいところです。
そして私たちの決断
しばらく考えましたが、修理を諦めることにしました。
メカケースの中身がよく分かりませんが、かりにギアのようなものだとすると、一定の動作回数を経て異音がするというのは納得のいくところです。
また、この部品はドラムを回転させる上で機械的な要になるものだと思われますが、「ケース」という名称からして、分解して注油、部品交換するような修理方法は想定していないのでしょう(素人が自己責任で蓋を開ければできるのかもしれませんが)。
そういう意味では、メカケース交換には一定の延命効果があると推測できます。
が、これだけ交換すればあと5年使える、といった保証が何もありません。
組み立て後、パナソニックの人が持ってきていた作業用防水シート(洗濯機にとって辛い洗い物)を2枚洗って確認したのですが、やはり異音は再現しませんでした。
修理の人が帰った途端に異音が復活するあたり、若干腹立たしいのですが、再現したところで結論はおそらく同じだったでしょう。
結論:「寿命10年」を胸に、計画的な購入を
ということで、10年目の修理は、前面カバーを開けただけで終わりました。
今回、唯一収穫があったとすれば「寿命10年 or 3500回」という見解が得られたことです。
使用頻度にもよりますが、1日1回という平均的な使用であれば10年間で約3500回となりますので、話は合います。
これを「10年しかもたない」と見るか、「10年はもつ」と見るか。
私たちは「両方」だと考えます。
10年しかもたない→計画的な資金調達を
まず「10年しかもたない」という見方をするなら、洗濯乾燥機の購入代金を10年かけて貯金する、といった備えが必要になってきます。
機種にもよりますが、年間2万円弱、月1500円程度で十分と思われます。
洗濯機の使用料と割り切って、積み立てておくのがよいでしょう。
10年はもつ→修理への備えを
次に「10年はもつ」という見方をするなら、10年以内に起きた故障は修理をして使い続けると想定し、家電の延長保証で修理に備えておくことを検討すべきだと思います。
できれば10年保証がよいでしょう。
「10年もつ」といっても、その間に修理が発生することは十分考えられます。
私たちの場合、今回も含め、覚えているだけで3回は修理を依頼しています。
うち2回は乾燥機能に関する修理でした。
修理が適切であれば、10年を過ぎても使い続けられる可能性は十分にあります。
理想的には、10年保証に入っておいて、9年目ぐらいに不具合が出て、その際に悪い部品を徹底的に交換する、といったメンテナンス方法が考えられます。
実際にはここまでうまくいかないでしょう。
不具合が出なければ修理を依頼できず、10年1ヶ月目に不具合が出るかもしれません。
また9年も経過していると、交換部品を入手できない可能性もあります。
しかし、6年、7年で多額の修理代が発生した場合、これを直さずに捨ててしまうのはもったいない話です。
10年保証は、備えとしては決して過大ではないように思います。
…で、10年保証ってどこの家電店でやってるの?という話を別記事に書きました。
何と、意外な会社にお願いすることで、後出しで10年保証に加入できます!
「入っておけばよかった」と後悔している方、ぜひご参考に。
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