我が家ではパナソニックの「ななめドラム」式洗濯乾燥機NA-VR3500を愛用しています。
平日は昼間に洗濯ができず、この8年間はほぼ毎日、夜中に乾燥機を回しています。
購入から8年目の夏、如実に乾燥が遅くなったので、前面の分解清掃に踏み切りました。
その結果、ソフトボール大の湿った埃を取り出すことができたのですが、乾燥機能の完全復活には至りませんでした。
本ページでは、分解に踏み切るまでの経緯と作業手順についてご紹介しようと思います。
乾燥終了まで10時間!?
乾燥機能の累計使用回数がおそらく2000回を超えている我が家の洗濯乾燥機。
これまでも乾きが悪くなる現象はあったのですが、また調子が悪くなってきました。
どのくらい調子が悪いかというと、1回の乾燥に10時間かかることがありました。
フェイスタオルを10枚、下着類を3人分など、確かにヘビーな内容ではありました。
しかし、ドラムに余裕で収まる分量で、ここまで時間がかかるのは異常です。
原因は埃だ!
原因は分かっています。
乾燥したときに洗濯物から出る埃です。
洗濯乾燥機は温風で衣類を乾かすのですが、温風の通り道に衣類の埃が付着すると通り道を塞ぎ、衣類は乾燥しにくくなります。
また、ヒートポンプ式の場合、熱交換器に細かい埃が付着し、湿気を取る効率が下がるということもあります(エアコンの内部を想像してください)。
「乾燥機を使ったら毎回掃除してください」というフィルターがあるのですが、ここを真面目に掃除していても、埃は見えないところに溜まっていきます。
これは素人にはなかなか除去できません。
プロに頼むという手もあるが…
では、プロに埃を取ってもらったら?ということになります。
我が家では購入時に5年延長保証に加入していたので、数年前に同じような症状が出たときには、即座に修理を依頼して無償で清掃、部品交換をしてもらいました。
ところが今、延長保証は切れています。
メーカに修理を依頼すると、思わぬ部品交換が発生する可能性もあり、多ければ5万円程度の出費になると思われます。
また、最近では洗濯乾燥機のクリーニングを行うという業者も多数あるようです。
それだけ皆さん悩んでいるのだと思います。
が、価格は2万円前後のようで、おいそれとは頼めません。
購入後8年を経過している機種ですから、きれいにした途端に致命的な故障で買い替え、となる恐れもあります。
「穴をほじくる」にも限界が
では、忌まわしい埃をどうするか?
オットーはこれまで「針金ハンガー」で闘ってきました。
適当に曲げた針金で、穴の中(配管)をほじくるわけです。
乾燥機を回しながらほじくれば、剥がれた埃が飛んで出てくるので、これをキャッチしていました。
この方法、ある程度の効果はあります。うまくいくとゴルフボール大の「収穫」があります。
が、手探りということもあり、奥の方の埃まではとりきれません。
図解! ここが危険地帯だ
大きな埃が溜まりやすいのは、「毎回掃除してください」というフィルターを外したところ、温風の吹き出し口の中です。
パナソニックのヒートポンプ式洗濯乾燥機の構造は以下の図のようになっています。
温風を衣類に吹き付けると、水分と埃が風に混ざります。
この埃を「毎回掃除してください」のフィルターで取り除きます。
その後、冷却器で温風を冷やして水分を結露させ、水分だけ除去します。
冷えた風を加熱器で再び温めて乾いた温風にし、衣類に吹き付けます。
以下、繰り返しです。
この中で、水分を帯びた埃の通過する区間が「危険地帯」です。
埃が湿っているので、雪だるまのようにまとまって、大きな塊になりがちです。
フィルターである程度の埃はキャッチできます。
そしてフィルターについた埃は簡単に掃除できます。
が、フィルターに到達するまでの管の中に残った埃はなかなか掃除できず、雪だるま式に増えていきます。
親切?意地悪? 吹き出し口はガード付き
管の中に手を入れて埃をかき出せればすっきりするのですが、実際にはこれはほぼ無理です。
というのは、以下の写真のように、吹き出し口には縦に2本、ガードがついているからです。
おそらく、大きな物を洗濯機の中に落とさないように、という親切心なのでしょう。
しかし、中の掃除をしたい人からすると大迷惑です。
いっそ切ってしまおうか、と思ったこともあります。
このガードがあるおかげで、掃除の仕方は「細いものを突っ込んでほじくる」という方法に限られます。
後日、何とパナソニックが純正の「掃除用ブラシ」を販売していることが分かりました!
ただ、我が家の洗濯乾燥機には、公式には対応していません。
分解を決行! その目的は?
これまで、乾きが悪くなるとハンガーでこまめにほじくっていました。
しかしそれでも改善せず、ついに乾燥時間10時間という新記録を達成してしまいました。
もう我慢の限界です。
洗濯機のカバーを外し、中の埃を手で剥がすぞ!と決意しました。
分解掃除のターゲットは2つある
ヒートポンプ式洗濯乾燥機の分解掃除というと、ターゲットは大きく分けて2つあります。
「温風の通り道の埃」と「ヒートポンプの埃」です。
前者については長々と説明したのでいいとして、後者は?というと、エアコンの分解清掃と同じです。
詳しくは、この文書の後編をご覧ください。
先ほどの図で分かるように、冷却器はフィルターの先にあるので、本来なら埃はここまで到達しないはずです。
しかし実際には、フィルターを通過するような細かな埃が徐々に積もっていき、フィンもだいぶ埃で汚れているようです。
今回の攻めどころ
実際に分解する前のオットーの見立てでは、温風の通り道の埃を除去するほうが、手間の割に大きな改善を期待できると思われました。
機種にもよりますが、先人の分解写真を見るに、冷却器のフィンを掃除するためには細心の注意が必要そうです。
一方、温風の通り道に関しては、上面と前面のカバーを外すだけでOK。それほど精密な作業は要求されません。
ということで今回は、ひとまず温風の通り道のみを攻めることにします。
これで十分な効果が得られなければ、あらためてフィンの埃を除去しようと思います。
ついに分解! その意外な結末は…
2017年7月某日、帰宅すると夕食もとらずに分解作業を始めました。
最初に断っておきますが、オットーは基本的に不器用で、日曜大工の類は苦手です。
工具にしてもドライバーぐらいしか持っていません。
作業の前に
作業の前に、電源コードと水道のホースを取り外します。
特にホースについては、取り外さないと上面カバーが外れません。
そして、できれば本体を広い場所に引き出したいところなのですが、これが至難の業。
何せ重量82kgです。一人では傾けるのが精一杯です。
さらに、多くの家では洗濯機置き場の広さはギリギリしかないはずで、何をやるにも苦労するでしょう。
今回、オットーは洗濯機を動かさず、必要なときに前に傾けるだけで分解に成功しました。
上面カバーを外す
まずは上面カバーを外します。
これを外すだけで掃除ができればもうけものだな、と思ってのことです。
上面カバーを固定しているネジは、まず「毎回掃除してください」というフィルターを取り外したところに4本。あと背面に3本、側面に2本ありました。
このうち側面については「ネジカバー」がついているので、マイナスドライバーをカバーの隙間に差し込んで上に押し出すようにするとネジが出てきます。
ネジを外せば、カバーは苦もなく外れます。
特にツメのようなものはないのですが、風呂水ホースを取り付ける部分(下の写真でいうと、左上の長円形のパーツに開いた穴)にカバーが引っかかりやすいようです。
取り外してみたのですが、掃除したい温風の通り道にはまだちょっと手が届きません。
仕方なく前面カバーも取り外すことにします。
前面下部カバーを外す
前面カバーは上下の2パーツに分かれており、まず下部から外すことになります。
ネジはボディの下部(床すれすれのところ)に2本、そして排水フィルター(左下)の扉を開けたところに1本です。
左側にはネジがあるのに右側にはないの?と思いますが、この3本を外すだけでカバーは外れました。
前面下部カバーを外すと、前面上部カバーを止めているネジが露出します。
扉を外す
では前面上部カバーを外そう!と言いたいところですが、その前に扉を外さないと、前面上部カバーは外れません。
ということで扉を先に外します。扉を開けたところのネジ4本を外せばOKです。
が、ここで問題が!
これまでネジは何とかギリギリ回ってきたのですが、ここにきて1本、どうしても回らないネジが出てきました。
しばらく格闘しましたが回らず、ネジ山を何度かなめてしまったので、扉を外すのは断念しました。
特に錆びてもいない部位なのに…ショックです。
なお、どうしても諦めきれなかったので、後日、回りにくいネジを回すための「薬」を買ってきました。
液というよりは、歯磨き粉のようなペースト状のものです。
ネジ山に適量垂らしてから回すだけで摩擦力が増大し、ネジが回るというのですが――本当に回りました!
その後も何度か使用しています。これは工具箱に1本入れておくべきだと思いますね。
前面上部カバー+操作パネルを外す
諦めきれないので、無理を承知で、扉をつけたまま前面上部カバーを外します。
操作パネルも外すことになります。
前面上部カバーを固定しているネジは、上面に2本、洗剤投入口に1本、ドラムの外周に6本(うち2本を外すとドアのヒンジ部の小さなカバーがまず外れます)、あとは前面のカバー最下部に2本だったと思います。
以上に加え、上面に1本、操作パネル(銀色の部分)と前面上部カバー(白色の部分)をつなぐネジがあります。
これも一応外しておきます。
操作パネルには電線が何本かつながっています。
電線は要所要所で本体に固定されていますが、固定用の結束バンドを切る必要はありませんでした。
電線を固定する結束バンドには傘状の突起がついていて、この突起が本体側の穴に引っかかり電線が固定されています。
突起の傘部分を指で縮めながら押し出すことで、突起が穴から外れます。
何度でも脱着可能なので安心です。
また、操作パネルから延びる電線には脱着可能なコネクタが2個ついていましたので、これも外します。
オットーは電子工作は大の苦手ですが、適当にやっていたら外れましたので、やってみてください。
以上の作業により、前面上部カバーはすっかり外れ、操作パネルも多少は動かせるようになる…はずなのですが、我が家の場合は扉が外れませんでしたので、以下の写真のように、本体右側がかろうじて開くようになった程度です。
片手でカバーを開きながらもう片手で作業するということになり、作業性はかなり悪いです。
ちなみに、扉をきちんと外すとこうなります(内部のゴムホースまで外した状態です)。
写真右上に、あの忌々しい空気孔が見えます。
太いゴムホースを外す
そしてついに敵陣へ乗り込みます。
ガードが邪魔だった温風吹き出し口から洗濯乾燥機の本体までの間に、太いゴムホースがついています(写真を撮り忘れましたが)。
これを外すと本体内部にアクセスできるようになります。
ホースの固定方法は至って単純。
輪っか状のクリップで固定されているだけです。
分解すれば、構造がすぐに分かると思います。
クリップを握って広げ、ホースの両端を外すと、ついに内部が見えました!
手を突っ込めば奥まで届く?
よし、いよいよ埃を掃除するぞ!と意気込んで手を突っ込みました。
――あれ? 思ったよりやりにくい!
以前に修理を頼んだ際、修理屋さんも同じように手を突っ込んで埃をつかみ取っていました。
なので、分解さえすれば簡単に中の埃が取れるものだと思っていました。
が、実際には内部が結構狭く、かつ奥が深いので、最奥部まではとても手が届きません。
無理やり腕を突っ込みましたが、素手だったので内部の突起に腕をしこたま引っかかれ、猫と格闘したかのような痛々しい姿になってしまいました。
依然として奥の方は手探りですが、太いホースを外したことで配管の曲がりが減り、作業しやすくはなっています。
手で探った感じでは、上の写真の穴の中は、左半分が奥まった袋小路(空気溜めのようなもの)になっており、右半分がドラム方面(温風の源)へつながっているようです。
袋小路は極太の盲腸のようなもので、風の流れを直接邪魔しませんが、埃はけっこう溜まっているようでした。
そして成果は…?
やりにくいとはいっても、手を突っ込んですぐ、湿った埃の塊に到達します。
これこれ、これが取りたかったんだよ!と興奮しながら引っ張ります。
その後も、奥へ行けば行くほど大物が出てきて、実に満足感のある作業となりました。
で、成果は↓のとおりです。ソフトボール大、といったところでしょうか。
針金ハンガーで精一杯頑張ってなお、これだけの収穫があるわけですから、全く手つかずだとどれだけ埃が出てくるのでしょう。
元に戻す途中、とんでもないことが…
できることはやりきったと思ったので、元に戻します。
分解の逆順で作業していけばいいので、外したネジをきちんと整理しておけば迷うことはないでしょう。
外すのは簡単、取り付けるのは?
と言いながら、オットーはゴムホースの復元を忘れ、まず前面上部カバーを取り付けてしまいました。
やり直しです。
しかも、前面上部カバーが完全には外れていないので、取り付けがかなり難しい!
外すのはわりと簡単でしたが、取り付けは3倍ぐらいの難易度です。
ドアが外れれば何てことはないのですが。
関係ない排水ホースが…
あとは順調に組み上げられたのですが、最後の最後に問題が。
片手で洗濯機を支えながら片手でネジを締めていたところ、ネジを1本、洗濯機の裏側に落としてしまいました。
このネジを探そうと、洗濯機の下の隙間をゴソゴソやっていたら、何と、排水ホースが排水口のエルボから外れてしまいました!
金属製のクリップで止まっていたようなのですが、引っ張られて外れてしまったようす。
隙間が狭いのでクリップを再度取り付けることもできません。冷や汗ものです。
結局、排水ホースをエルボに突っ込むところまではでき、多少のことでは外れなさそうな感触だったので、クリップなしでしばらく様子を見ることにしました。
しかし我が家の洗濯機置き場には防水パンがないので、万一水漏れすると洗面所全体が水浸しです。
どうしたものかと悩みましたが、翌日、クリップを一旦分解して形を整え、再挑戦したところ、何とかクリップを再度取り付けることができました。
作業後に必ずやること
これで嬉しがっていきなり洗濯してはいけません。
埃を取ったあとにはドラムの洗浄と排水フィルターの清掃が必須です。
先ほど掃除した配管の中の埃は、うまくいくとつまみ出せるわけですが、失敗すると洗濯機の内部に落としてしまいます。
この落ちた埃はドラムの外側へ行きます。
運が悪いとドラムの中に入って洗濯物に付着します。
さらに、この状態で洗濯~脱水すると、埃は(ドラムの内外問わず)水とともに排水口へ流れていきます。
排水口へ至る途中にフィルター(本体前面左下)があるので、そこで大部分の埃は引っかかります。
大量の埃が溜まれば排水が逆流し、せっかく洗った衣類が汚れます。
以上より、
- 洗濯物を入れずに数分間洗濯
- 脱水
- 排水フィルターを清掃
という仕上げの作業が必須です。
これは分解掃除でなくても、穴をほじくった際には必ずやったほうがよいでしょう。
気になる乾燥時間は?
夕食抜きで一気に仕上げた分解清掃。さて、その成果はというと…これが芳しくありませんでした。
確かに多少は乾燥時間が短くなった気はします。
が、何度か試したところ、やっぱり乾燥に10時間かかることがあるのです。
センサーの関係なのか、清掃直後は乾燥時間が短くならず(乾いているのに回り続ける)、しばらくしてからそれが解消される、ということは経験しています。
が、今回は8時間回しても洗濯物が濡れたままなので、純粋に乾燥機能の問題です。
自分で言うのも何ですが、今回の分解清掃で、乾燥フィルターの手前の埃は95%除去したという自信があります。
これで復活しないのですから、問題は乾燥フィルターより後、つまりヒートポンプユニットのほうにあると思われます。
終わりに:自己責任でお願いします
パナソニック NA-VR3500の前面側の分解清掃についてご紹介しました。
ヒートポンプの清掃については別の記事にまとめています。
言うまでもありませんが、勝手に分解すればメーカー保証の対象外となります。
延長保証を含め、保証期間が残っていれば分解修理はせず、乾きが悪ければ修理を依頼するのがよいと思います。
保証期間も切れ、有償修理をするほどの価値もない。
自前での分解は、そんなときの最後の手段だと思います。
その他の洗濯乾燥機記事まとめ
気付けば、当ブログで一番読まれている記事が洗濯乾燥機のメンテナンス関係ということになってしまいました。皆さんお困りなのだと思います。
以下に関連記事をご紹介しますので、気になるものがあればぜひお読みください。
まずは「乾きが悪い」という症状の予防から。
それでも乾きが悪くなってしまった場合、本記事のほか、背面の清掃も検討しましょう。
さらに、何らかのエラーが出た場合の対処法を。
故障によっては部品だけ買ってきて、自分で修理することもできますよ。
最後に、修理の人に聞いた寿命の話を…
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