2019年2月。世の中ではインフルエンザが大流行しています。
流行に全く興味のないオットーですが、1月下旬、家族に先駆けてインフルエンザに感染してしまいました。
発症したのは日曜日の午後。
診療している病院が少なく、高熱にもかかわらず右往左往することになりました。
同じような境遇の方の参考になればと思い、体験談を書くことにしました。
要点は「病院に行く前に、必ず電話せよ!」ということです。
2シーズン連続、まさかのインフルエンザ感染か?
正月が明け、半月ほど経った週末。
土曜日のうちから喉の調子が悪いことは分かっていましたが、日曜の朝、それは治っていませんでした。
寝坊してよい理由を作るべく、何気なく体温を測ると、37度台の前半。
微熱なので、このときはまだ「単なる風邪だろう」と思っていました。
熱が出ているのは風邪を治すための自然な反応であり、発熱を促せば早く治るのではないか!という素人判断により、厚着をし、布団をかぶって午前中はウトウトしていました。
お昼ごろ、熱を測ってみると、出ました。38度。
意図的に熱を出そうとした結果なので、目論見どおりではあるのですが、38度となるとインフルエンザの可能性も否定できなくなってきます。
実は、オットーは昨シーズンもインフルエンザに感染しており、そのときは熱が上がる際にひどい寒気がありました。
今回はそれがなかったので、違うのでは?と思ったのですが、今時、ちゃんと検査しないと会社に行っても白い目で見られます。
ひとまず通院することを決めました。
間違いなかったはずの病院選び
日曜の午後ですから、通常の診療を行っている内科医は近くにありません。
そこで、近隣の市を含め、休日診療を行っている病院をウェブで検索してみました。
幸い、ムスコーが何度か受診したことのある近くのクリニックが当番医として診療していることが分かりました。
1次、2次、3次…律儀に守ったのだけれど
ツマーは、近所にある総合病院の救急外来へ行けば?と提案したのですが、オットーは件のクリニックを選択しました。
クリニックの方が距離的に多少近いということもあったのですが、一番の理由は、各病院の役割分担です。
オットーの症状は、そこまで急を要するものとはいえません。
このような場合に、不要に総合病院の救急外来を受診することは推奨されていません。
「1次救急」「2次救急」という用語がありますが、オットーが行くべきは間違いなく「1次救急」です。
(参考)日本では1次救急、2次救急、3次救急という言葉がありますが、どういう意味なのですか?(日本救急医学会)
http://www.jaam.jp/er/er/er_faq.html#erfaq01
ツマーが提案してきた総合病院は、市の広報紙によると「2次救急」にあたることになっていました。
また、さらに規模の大きい総合病院も近くにあるのですが、こちらは「3次救急」にあたり、軽症患者が受診すると8000円+税の時間外選定療養費がかかります。
経済的なペナルティ(といっていいと思います)を課してまで、軽症患者を排除しているわけです。
1月の「1次救急」はパニック
「1次救急」である件のクリニックは17時まで診療なので、16時ごろに行きました。
待合室はパンパンだったので、受付を済ませて「一旦帰っていいですか?」と聞くと、「18時ぐらいにまた来てください」とのこと。
受付終了が17時だから17時までに戻れ、と言われるのかと思っていましたが、意外と親切な対応でした。
クリニックの前の細い道には、車でクリニックへ乗り付ける人が後を絶ちません。
家で一休みして、18時にクリニックを再訪。
待合室が空いていることを期待したのですが、かろうじて1人分の席が空いているだけで、1人帰ると次の人が来る、という状況でした。
受付はだいぶ前に済ませているので、すぐに呼ばれるだろうと高をくくっていたのですが、呼ばれるのは小さな子ばかり。
大人はなかなか呼ばれません。
どうも、小さな子を優先して診療していたようです。
我が家にも「小さかった子」がいますから、このへんは医者のポリシーとして共感できるものがあります。
待つこと1時間半。
この間に熱が上がったのか、時々「ウー」と唸らなければ堪えられないような状態になってきました。
待合室がそろそろ空になるぞ、というころにようやく診察室へ呼ばれました。
受験を控えた中3らしき女子を差し置いての診察室入りで、若干後ろめたい思いがありましたが、心底ほっとしました。
これがパンデミックか…!
ところがその数分後、医者からの宣告に二重のショックを受けることになります。
曰く。
症状からして、インフルエンザであることはまず間違いない。
しかし、今日は近隣の区からも大勢の受診があったので、検査キットが切れてしまい、検査はできない。
ええっ!?
検査ができないのでは、来院した意味がありません。
オットーの会社では、インフルエンザを発症したら報告せよ、となっています。
報告したからには、4日なり5日なり、しかるべき日数は会社を休まねばなりません。
逆に、インフルエンザではないただの風邪だった場合、4日も5日も休む必要はないわけです。
オットーの有給休暇は、ツマーの通院付き添いでほとんどを消化してしまっており、ここで4~5日休むかどうかは死活問題です。
「そもそも検査する必要があるのか、インフルエンザだろうと何だろうと具合が悪ければ外に出るな」というような意見があることは承知していますし、科学的にはおおむね賛同します。
インフルエンザの検査キットに一定の確率で「誤診」があることも知っています。
しかしオットーの場合、社会科的に、「客観的なエビデンス(=検査キットの陽性反応)がない限り、会社を4日も5日も休めない」という状況になっているわけです。
社会全体で、このような状況の方は意外と多いのではないでしょうか?
禁断の「病院のハシゴ」
見込みで処方されたタミフルの処方箋を手に、寒風の吹く院外へ出ました。
クリニックの目の前に薬局があり、休日診療に対応して営業を継続しています。
クリニックの患者が全員はければ即座に店を閉めるはずで、行くなら今しかありません。
しかし、オットーは薬局に寄らず、その場で「2次救急」に電話しました。
さすがにインフルエンザの検査キットはあるそうで、すぐさまその病院に向かいました。
不要な「病院のハシゴ」が医療費の無駄遣いだということは百も承知ですが、こちらも生活がかかっています。
インフルエンザ大流行、そのとき2次救急は…
24時間診療の救急外来へ駆け込むと、そこは閑散としていました。
電話で聞いたときに「あまり待ちません」とは言われましたが、「先客」がゼロというのは想定外でした。
皆が1次救急と2次救急の区分をしっかり守った結果なのでしょうか…。
ともかく、先ほどのクリニックとの落差に驚きました。
結局、インフルエンザでした
救急外来らしく、有無を言わさず血圧や酸素濃度などを同時に測定されました。
その後、医師の診察を待たずにインフルエンザの検査が行われ、数分後「A型陽性」の声が奥から聞こえてきました。
先ほどのクリニックの判断は、結果的には正解だったわけです(さすがにインフルエンザの型までは分かりませんでしたが)。
うなだれながら診察を受けたところ、抗インフルエンザ薬について選択を求められました。
飲むのか飲まないのか、飲むならどの種類か、すべて患者に選択権を与えられたのです。
タミフルはどうしても異常行動のイメージがあって嫌だったのですが、昨年服用したイナビル(1回吸入すれば済むタイプ)は「効果が一番薄い」、今シーズンにデビューした新薬ゾフルーザは「新しいので効果があるかよく分からない」とダメ出しがあり、結局はタミフルを服用することになりました。
抗インフルエンザ薬についても「効かないことも多い」「効いてもたかだか1日の短縮」「副作用が一定数ある」など否定的な意見が多くあり、あえて薬を服用しないという選択肢も考えたのですが、1日でも早く回復しないと、家庭も会社も問題が大きくなるばかりなので、ダメ元で服用を決めました。
なお、一時期騒がれた異常行動については、結局「タミフルのせいか、インフルエンザのせいか不明」ということで、現在では年齢制限なく処方されているとのことでした。
まとめ:流行期には想定外のことが起きる
以上、インフルエンザの診断を受けるまでの顛末をご紹介しました。
結局何が言いたかったかというと、インフルエンザの検査を受けたいのであれば、受診する前に電話で確認したほうがよい、ということです。
特に休日診療のようなイレギュラーな診療日には、普段とは違うことが起こり得ます。
そうでなくても、インフルエンザは季節性の強い病気です。
「ワクチン在庫なし」という張り紙もよく目にしますよね。
ワクチンが底をつくのですから、検査キットが底をついてもおかしくありません。
通い慣れている病院でも、問い合わせをしてから受診するのが無難です。
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